お大師様のむら

太陽の恵みをいただく“いしがきむら”こと高野町杖ケ薮。
そこで活動した元むらづくり支援員の日記。

お大師様への誓い

2010年04月30日 | 支援員の思い
29日、昭和の日。そして杖ヶ薮では御影供の日。
この日はむらの4か所のお大師様と龍福寺でお供えをしてお参りする。
むら人、元むら人、親類縁者がそのうちのいくつかのお大師様を参るが、
私は朝から、深田和、河合橋、お墓の横、谷の井そして龍福寺と全部のお大師様を廻った。

深田和には朝10時半むら人一人、元むら人二人、そして私がお参りに。
丹生神社から山道を20分さらに登っていく。
たどりついたお大師様は薄黄色の毛糸の帽子をかぶっておられた。
京子さんからのお供えの巻きずしがお弁当だ。

午後1時河合橋へは車で。ここからはむら人、元むら人らが十二、三人お参り。
むらへ向かって、途中のお墓横のお大師様にお参りする。

そして、むらの水を守っておられる谷の井のお大師様。
そこには、むらの三人のおばちゃんと最長老のおっちゃんが、
温かい太陽の光の下、ござを引きお供えも整えて私たちの到着を待っておられた。
ここで初めて全員そろってお参りし、最後は龍福寺でお参りの後お餅まき。
お茶やお酒の楽しい交流会。

               

このむらへ移り住んで9カ月。
むらを出られた後も行事に関っておられる方たちと、何度かお顔を会わせてきた。
そしてようやく、大家のMさん、Oさん、Kさん、Hさんそして区長さんと
一つのテーブルをはさんで、お酒やお茶を酌み交わし話を交わすことができた。

「杖ヶ薮はほんまに南斜面のいい土地や」

から始まり、山の話、豪勢だったころの話etcの自慢話、そして…

「杖ヶ薮は残さんとあかん」

お大師様の前で、このむらへの愛を確認しあった心にしみる、いい時間だった。

このむらの中で、自立して生きること、伝統を守ることに専念する住民
むらの外から、側面支援の継続と、次世代へのパイプ役の元住民
むらの中と外を結び、都会との接点を慎重に広げるむらづくり支援員

この役割分担がぼんやりとだが見えてきたように思う。

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戻った時間

2010年04月27日 | 日記
また、このひと時が戻ってきた

「今日は暑かったな、まあ食べてってよ」

退院して以来、寒い日が続き
 おっちゃんの体調はすぐれない
デイサービスに行くのがやっと

昨日、草ひきに恵美子さんを訪ねると
 二人はお家に居なかった
おばちゃんは畑だろう
 おっちゃんは???

畑を観る
膝をついて‘ちょいちょい’を片手に
 草ひきをするおっちゃんの姿だ

一緒に汗した後
 一緒に頂く食事は何ヶ月振りだろう

食卓にはおっちゃんの好物

トウガラシの葉とじゃこの佃煮
甘い豆を炊いたん
そしてBEER

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Reフレッシュ

2010年04月26日 | 支援員の思い
このむらが生活の場であり職場

異空間を楽しむ時期はとうに過ぎ
 日常に埋没していく

ときどき出会いを繋げるために飛び出す
 4月初旬は紀南へ
 そして最終末は日本海へ

帰路、
 車は慣れた山道にスピードが増す
疲れはピークのはずなのに
 頭がさえてくる
仕事モード

新しい一日の始まり
たった2日の間に成長した若葉

私も少しは大きくなっただろうか


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雨上がり

2010年04月24日 | 日記
雨が上がった日は
 絶好の草ひき日和

むらの真ん中を通るむら道
その脇を流れる用水路と石垣に
 斜面の畑から流れ出た
 栄養豊富な土が溜まる
それが草たちの寝床

小さな可愛らしい花
 ごめんなさい、種が増えるから
チクッと心が痛む

昨日のような寒い日は
 恵美子さんの温かい牛乳コーヒーで
 ほっと一休み

畑に現れたのは
 鮮やかな色の オオルリ?

 
コメント (5)
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看取り

2010年04月23日 | 日記
「おばあさんも耳が遠かったんじゃ」

補聴器を調整に行った帰りの京子さん
 昔話の始まり

おばあさんとは嫁ぎ先のお姑さん
年も暮、そのおばあさんが倒れた
高野山の個人病院から
 先生が毎日診察に通った

お正月準備もできないまま
 おばあちゃんは食事をとれない毎日
とうとう1週間目
 先生から今日までと言われる
正月2日のことだ

翌3日はむらの年始の行事
 弓撃ち神事
京子さん夫婦は
 お祭が終るのを待って
区長さんに訃報を伝えた

20数年前の
 寒い雪の多かった冬のお話し

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2010年04月22日 | 日記
国道とむらを結ぶ
 1.2km、唯一のくるま道
崩れやすい地質で
 道にはこぼれた岩のかけら

住民が学生の頃は
 人が通れる道幅しかなかった
近隣の集落からむらの小学校へ
 替えの草履を持って
 途中の軽食を持って通ったそう

今年年女のまさちゃんは
 高野山の女学校へ毎日通った一期生

道中では
 今もお大師様が見守っている
コメント (2)
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人の恵み

2010年04月21日 | 日記
ようやく春の気温

「すっぽん持っていぬか?」

おばちゃんから
 いたどりと
 ‘戴きもの’のわらびを戴いた

植林したころは10年ほど
 わらびやぜんまいが沢山採れたそう
今では
 背の低い槙の間のいたどり


 美しい風景はそこに
  美しくしようとする人がいるからある

と、どなたかの言葉


 おいしい山菜もその土地に
  人の手が入るからこそ食べられる

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サロン

2010年04月20日 | 日記
龍福寺からの眺め
毎月21日、ここでお大師様を拝む

と言っても、高齢化と土地の傾斜
 ここでも「生活の知恵」
毎月の保健師さんの回診と抱き合わせた

回診の前、ご先祖様とお大師様に
 お茶と持ち寄ったお供えをあげ
 集まった者で手を合わせる

それからが本番
簡単な健康聞き取りと血圧測定を終えると
お茶とお下がりのお菓子で
 おばちゃんたちのよもやま話だ

 畑のこと、季節の料理のこと、
 家族のこと、体のこと etc

「旬旬のことをしていかな」

「出来る間はしていかな」

コメント (2)
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同居作戦

2010年04月19日 | 日記
朝6時前、布団を何とかどかして
 縁側から今日の空をチェック
その私の日課がいつの間にか
 チェックされていた

昨年の秋
 このむらにふらりと住みついた
窓や縁側から侵入したり
 ゴミを荒らしたりの
お決まりの「野良仕事」

それがようやく
 食事姿を見せるようになった
そろそろ名前がいるかな

いつか一緒に住んでよ
 鼠猟できるしね

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準備

2010年04月18日 | 日記


昨日は御影供法会の準備
 お大師様のお掃除
杖ヶ薮ではそれぞれのお大師様で
 紅白のお餅をまく

河合橋、お墓の横、まっちゃんの家の隣
 3か所を
まさちゃん、栄子さん、私の
 3人で
苔を取って、草を引き、槙のはなを供えた


「お大師さんがにこにこしとる」

「ようやっておくれよ。
  お大師さんの代わりに言うわよ」

と、笑顔のまさちゃん


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