T.Shimada's Diary

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福井城址の活用(思案)

2009年03月15日 19時57分42秒 | 福井
(写真:福井城址(散策路から東側(巽櫓跡)を望む)


 福井市中心部の福井城址。1601(慶長6)年、徳川家康の次男である結城秀康により築城されたこの城は、外様大名である前田氏を抑える要衝として、相当な規模をもっていたという。

 福井城址については、これまでに何度か復元の話が上がっているが、完全な復元なら本丸にある県庁・県警本部の移転が必要であり、一部にしても十数億もの費用がかかるため、具体的な整備計画までには至っていない。

 しかし福井城に関しては近年、徐々にその整備が進められている。平成17年度には天守台の整備、石垣ライトアップ、平成18年度の大手門東側の石垣上の散策路の整備や「福の井」の整備、昨年3月29日完成の御廊下橋(福井藩主登城の専用橋)の復元、今年3月29日には天守台への階段が完成する。また、平成14年度に発足した、有識者・個人などで組織された「福井城の復元をすすめる会」による、本丸の東南にあった巽櫓(たつみやぐら)の復元の実現に向けた活動が進められている。このうち、御廊下橋の復元には県のワンコインサポーター募集やヒノキ板の購入募集を行い、より県民が親しみやすいよう配慮された。この御廊下橋の復元により、福井城址を訪れる県民・観光客の数は増加しているという。

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 また福井城址周辺には、福井城に関連したスポットが多々ある。
・御廊下橋
・舎人門遺構(福井市郷土歴史博物館)
・養浩館庭園(旧御泉水屋敷)
・芝原上水(福井県国際交流会館)
・百間堀の遺構(JR福井駅西、中央通り)
・呉服町商店街(旧北陸街道)
・福井城石垣(北陸銀行福井支店前)
・柴田神社(北ノ庄城遺構、柴田勝家・お市の方を奉る)
・九十九橋(福井城下の玄関口)
…など

 当時の遺構をほぼそのまま保存してあるもの、復元されたもの、あるいは当時の面影が残っていない(または分かりにくい)ものなどがある。いずれにしても、これらの場所にはたいてい、その歴史・由来を解説する案内板がある。しかし、これらの歴史スポットに関しては、それぞれの結びつきがいまだ弱いように感じる。

 観光客のような、福井県(福井市)以外からの来訪者となると、これらの歴史スポットについてあまり知らずに、訪れる機会を失う可能性がある。JR福井駅の西口などには、周辺の案内板が設置されてはいるものの、ごく一般的な案内板であり、福井城址に特化したものではない。

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 最近では、城や戦国武将といった、歴史に関するファンが多くなっていると聞く。歴史ファンは従来の中高年層に限らず、マンガやゲームなどをきっかけに若い女性など若年層にも増えているとのこと。

 福井市の場合、福井空襲と福井震災により、戦前以前の重要な建物・文化財などが多数焼失してしまい、当時の面影を伝えるものがあまり残されていない。福井城址も例外でなく、また整備に関しては近年まで、土地権利など様々な問題・課題があったという。

 福井城址の整備はまだ序の口、の段階と感じている。復元の声が上がっている巽櫓については、早くに焼失した天守に代わって長く福井城の象徴であり、可能であるのならば、復元事業を進めて欲しいと思っている。費用が多額であるが、御廊下橋と同じく、何割かを寄付として募集するのも1つの方法であるだろう(この辺は、経済の動向に左右されてしまう心配がある)。同じく復元の要望がある天守に関しては、個人的にはまず必要ないと感じている。巽櫓の方が天守としての役割を持った時代が長いことが第一であるが、復元の仕方によっては(1669年の天守焼失後、天守の代わりとして改築した後の姿で復元する場合は)、巽櫓単独の方がバランスが良いのではと感じているからである。

 また、福井城址整備に加え、福井城と関連するスポットの整備や案内・移動手段のサポート整備も必要であると感じる。特に養浩館庭園・舎人門や柴田神社、九十九橋は、福井城址の成り立ち・構造と深く関係しており、各地への案内が欠かせないと感じている。周遊バスを運行するのもひとつであるが、従来の路線バス(京福バス・福鉄バス)、すまいる号、福武線を活用できれば、公共交通の活性化にもつながる。

 福井市の形成に深く関わる福井城址。上記に掲げた場所以外にも潜在的な歴史スポットは多く、観光資源として十分、活用が期待される。ただし整備するに当たっては、それらの歴史的背景・価値を壊すことのないよう、また県民にとっても親しみやすいものになるよう、配慮される必要があるだろう。


 なによりも、福井の町のルーツを見直すきっかけとして、歴史史跡の保存・復元・再生の整備が進められることを望みたい。


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