かいつぶり

かいつぶり水知り尽くしくぐりけり　　　　藤木洋良

冬の鷺

虚無の地に独り佇む冬の鷺　　　　　藤木洋良

冬鳥

冬鳥の声聞かば亡き母恋し　　　　　藤木洋良

冬の雁

不安とは水が溺れる冬の雁　　　　　藤木洋良

梟

梟の憩ふ木がある我が故郷　　　　藤木洋良

寒鴉

迷悟なく独りぼっちの寒鴉　　　　藤木洋良

鷲

顔貌は鷲に似ており我孤独　　　　藤木洋良

冬雀

冬雀頬ふくらます風愛せ　　　　藤木洋良

寒の鵙

寒の鵙ひっそり閑と空静か　　　　藤木洋良

葉牡丹

葉牡丹よ明日と云ふ日に幸よあれ　　　　藤木洋良

寒木瓜

寒木瓜に時がはにかむ朝かな　　　　藤木洋良

侘助

侘助や遺影の息子三十歳　　　　　藤木洋良

冬菊

冬菊や愚直に生きて七十五歳　　　　藤木洋良

寒椿

寒椿首の寂しき女あり　　　　藤木洋良

冬牡丹

冬牡丹寂しかないと風が云ふ　　　　　藤木洋良