気まぐれ雑感

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前立腺肥大症

2011-02-17 16:09:32 | 健康
【前立腺手術するまでの経緯・体験等の記録】
 病院によって手術・治療方法は大筋では同じであるが、違うところもあるようです。
Dr.が言われたことの話の中に言い回しの違いがありかも知れません。

前立腺肥大症
 以前から人間ドッグ等で前立腺肥大が指摘されてきたが、それほど不便も感じないまま時が流れた。機会があれば一度前立腺がんの検査をと思い、平成15年7月福井市の健康診断で前立腺腫瘍マーカー(PSA)検査を申込み、結果はPSA値5.0ng/ml(基準値4.0ng/ml)で「要精密検査」であった。
 ちょうどそのころ定年退職後の第二の勤務先が大学病院に事務所を置いていたこともあり、泌尿器科のDr.との接触も多く、この病院で再検査を実施した。結果は6.50ng/mlと増悪。これが大学病院での初診で平成15年8月5日であった。

「前立腺肥大症でもPSA値が基準値より大きくなる時があるが、“がん”を心配するなら生検(前立腺の一部の組織を採ってする検査)をして調べる方法もありますよ」と言われたが、恥ずかしさもあり、その勇気も当初はなかった。
 でも一度生検し、不安を払拭しようと決断し、平成15年9月2泊3日の検査入院となった。

 生検
 検査は手術室で約30分程かかったでしょうか。痛さはそれほど感じず、組織を採る時の音とDr.と看護師との話し声が聞こえるだけ。短時間だったが「終りましたよ」と言われた時はほっとし、力が体から抜けたような感じだった。
 数日後の外来受診で「悪性所見見られませんでした」とDr.から言われ、気分が清々したことを覚えている。

 その後、薬物療法を行いながら定期的にPSA検査を実施し経過を観察していた。翌年の検査で8ng/mlと数値が大きくなり再度生検を依頼し、今回は1泊2日の検査入院となり、8箇所からの組織を採り検査したが、二回目も組織に悪性は見られなかった。

 二回の生検を経験し、悪性は二回とも見られず、今後薬物療法で経過観察しようということになり、薬はハルナール・アビショット錠・ユリーフ錠などを服用しながら治療を続け、6ヶ月に一度くらいの間隔でPSA検査を行った。
 PSA値は、5.0ng/mlから9.0ng/mlの間の数値だった。
 しかし、排尿障害は当初と比べるとわずかながらも悪化してきた。
 
尿閉
 このような日々を送っている時、所属団体の研修旅行で兵庫県加西市へ行った時のこと、車中尿意を感じ、次のサービスエリアまで尿をこらえ、トイレに飛び込んだ時には尿が出ない。出発時間がきてバスに戻ったが、尿意はますます強くなり、我慢したまま目的地に着き、一人で市立病院の救急窓口を尋ね尿を排出(600cc)。やっと開放され、気分爽快な気分で再度仲間のバスに戻り無事福井へ着くことができた。
このことがあって手術する決断をし主治医に相談。

術前検査
平成22年10月12日、半日の術前検査を受け手術に備えた。
 心電図・超音波・尿流・括約筋筋電図・膀胱内圧測定・胸部レントゲン等々の検査を受け、手術日の決定を待つ。

経尿道的前立腺切除術
前立腺肥大症の手術に二通りの方法があることを紹介された。
 1.経尿道的前立腺切除術TURP(従来から行われており、この治療が主流で、尿道から内視鏡を入れ電気メスで前立腺を切除する手術方法) 
 2.ホルミウムレーザー切除術HoLAP(最近行われるようになったレーザーで切除する方法)
どちらかを選択する必要にせまり、どちらも一長一短があり迷う。安全性を第一に考えるのであれば、現在の前立腺手術の主流でもあり、主治医の手術経験数から察して従来から行われている経尿道的前立腺切除術の方法を選択することを決断した。
 
 病院から入院日平成22年11月11日・手術日平成22年11月12日9時からとの連絡があった。

入院日(平成22年11月11日(木))
 午前10時に入院センターで受付を済ませ、6階病棟の病室(4人部屋)に入る。
午後5時ごろ主治医から明日の手術の説明があり、妻と二人で聞き同意した。
          
説明書・同意書
 病名:前立腺肥大症(BPH)
 術式:経尿道的前立腺切除術(TUR-P)
 1、手術の理由
  前立腺は膀胱から出ている尿道の途中にある臓器です。前立腺が大きくなると、おしっこが出にくくなったりします。現在の症状も、前立腺が大きくなっているためと考えられますので、大きくなった前立腺の一部を削って尿道を広くする必要があります。
 2、手術の方法
  下半身麻酔を予定しています。尿道より内視鏡を入れて前立腺を電気メスで少しずつ削って、尿道を広げます。手術時間は大きさによりますが麻酔の時間も含めて約2時間ぐらいです。
 手術当日はベットの上で安静にしていただき、翌日は原則としては自由に動いて結構です。尿道の管は4日前後、入れさせていただき、血尿の具合を診て抜きます。採集した組織は病理検査を行い癌がないかどうか調べます。排尿困難や夜間頻尿が改善されないこともあります。
 3、手術の合併症 ・尿に血液が混じります。再度手術室にて止血術を行うことがあります。出血がひどい場合は、可能性は低いのですが、輸血や再手術をおこなうこともあります。
 ・発熱、感染症:術後、細菌が原因で熱が出ることがあります。抗生剤の点滴で治療します。
 ・逆行性射精:射精時精液が前に飛ばず膀胱へ精液が入ってしまうことです。体に悪い影響はないのですが満足度の低下と不妊の原因になります。稀に勃起不全を起こします。
 ・術後尿閉:一時的に尿が出なくなることもあります。
 ・尿道狭窄
 ・一時的に尿失禁を起こすことがあります。
 ・静脈血栓症
 ・穿孔→開腹術の可能性もあります。
 ・TUR症候群:体内の電解質異常をきたし吐き気などが生じることもあります。稀ですが生命に危険を及ぼすこともあります。
 ・その他予期せぬ合併症が起こることもあります。
 
以上のような説明が主治医からあり、これに同意し主治医を信じて明日の手術を待つことにした。

午後9時より絶食、午前0時より絶飲。  
 
手術日(平成22年11月12日)
 午前6時 障害者用トイレで浣腸す。  
 午前9時 手術室へ徒歩で向かう(手術部の手術室は10室あり、一番奥の手術室)
 手術室に入ったのは9時を15分は過ぎていただろう。
 手術準備をし、まず下半身麻酔(背中腰辺り腰椎麻酔?)。「力を抜いて背中を丸くして」と言う看護師の指示があった。緊張して力を抜こうにもままならない。
Dr.の「では麻酔の注射打ちます」と言って針が刺さる。思ったより痛みを感じなかった。
10分ほど経った頃、麻酔の効き目の確認(胸腹部に冷たい物をあて感じるかどうかを確認)があった。
下半身は完全に麻酔が利き、意識はあるものの足を動かそうにもしびれて動かない。カーテンのようなもので区切られ、どのような体勢であるのかもわからない。
 Dr.は主治医の他1名、他に看護師数人と見学を目的に立ち会った医学生一人。
スタッフの「よろしくお願いします」との掛け声がはっきり聞こえ手術が始った。
尿道から内視鏡を差し込まれたはずだが全く痛さは感じない。
緊張だけはしていたのか手先が冷たくなり、看護師の方が「冷たい手ですね」と言ってこすってくれていた。Dr.たちの話し声が聞こえる。他の部位を傷つけてしまったのかな、何かトラブルがあったのでは?と主治医を信用しながらも常にマイナス志向で考えてしまう。
 咳やくしゃみをするとDr.の手を狂わせてしまうということもあり緊張してしまう。
 看護師との話で「最後の段階です」とDr.の声が聞こえる。しばらくして「終りましたよ」と声がかかりやっとのことで緊張から開放され、実際のところうれしかった。
 麻酔は利いたままで動けない。病棟用のベットに移され手術室を出る。手術終了は11時20分。手術時間は準備・麻酔時間等含めて約2時間だった。
 手術終了後はカテーテルを留置する。電気メスで削り取った前立腺組織の切片を見せてもらった。
 カテーテルを留置したまま用意してあった紙おむつをして病室へ戻った。下半身は麻酔が利いた状態が続いている。
病室に戻ったのは11時30分を過ぎていた。

手術後
手術日の翌朝までは絶対安静で、頭をあげることが出来ない。抗生剤の点滴、膀胱消毒のための生理食塩水とカテーテル(尿道に入れた管)がついたままで思うように寝返り出来ず、背中、腰などが痛くなり、手術より苦しい思いをした。一晩中熟睡出来ず。

傷痕の痛さは殆どないが、濃い血尿が見られた。「水分は多くとり、尿を出すように」と支持がある。

入院三日目(手術翌日・平成22年11月13日(土))
 朝食から常食となる。
 熱はなく体を動かすことが出来ることになり気分が良い。
 点滴や尿袋を吊り下げたハンガーなどをつけ、ゆっくり10mほど看護師と徒歩訓練。ふらつくこともなく普段通り歩くことが出来た。カテーテルが入っているため違和感は少々あった。
 尿は濃い血尿で、時々血痕(削り落とされた痕のカサブタ?)が管から流れるのが見られた。看護師が尿袋取替に時々病室へ。Dr.による一日に一度の回診があり、「順調ですよ」との一声で安心した。
 「カサブタなどが詰まらないように水分を多目に取って下さい」と回診ある毎に言われた。
 尿袋に落ちる血尿の色を見ながら一喜一憂したものです。
 止血剤の点滴も付けられるようになった。 
昨夜の睡眠不足を補うように昼間よく眠れた。
 午後、風呂に入れないため、看護師さんが熱いタオルで下腹部を拭いてくれた。カテーテルを入れているため血尿が漏れた尿道口の汚れも拭いてくれた。若い女性に拭いてもらうのだからこの年になっても恥ずかしいものだ。でも仕方ない。感謝・感謝です。
 
入院4日目(平成22年11月14日(日))
 昨日と同じく、尿袋に落ちる血尿の色を見ながら一喜一憂。
 少しづつではあるが血尿は淡いピンクになることも多くなってきた。
 本日も体を拭いてもらう。 

入院5日目(平成22年11月15日(月))
 午前8時尿道に入れられていたカテーテルが抜かれた。
普通のパンツに履き替えた。
カテーテルの抜かれた直後の排尿は、血尿ではあったが勢いよく放出され、途中で尿が途切れることもなく、終了時にだらだらと続く排尿もなくなり、手術のお蔭と感謝するばかりであった。
ただ不安なことは頻尿・血尿のことだ。今は水分を多く採っているため排尿の回数が多いのは止むを得ないだろう。 
 尿の勢いは、徐々に術直後の尿の勢いよりは衰えてきたが、術前の勢いよりは随分満足するものだった。
 
入院6日目(平成22年11月16日(火))
 尿の勢い検査・エコー検査のため外来受診を受ける。
 主治医から「勢い、エコーでの前立腺状況全く問題なし。いつでも退院できる状態だ」と太鼓判押され病棟に戻った。
退院後の不安もあって明日一日様子を見、Dr.との相談の結果、退院は明後日にすることに決めた。

入院7日目(平成22年11月17日(水))
 血尿は肉眼では見られないほどになった。水分は多目に採る。
 病院内を散歩。
 
入院8日目(平成22年11月18日(木))
 午後1時退院する。

診療費
 総支払い額は9万円弱であった。
入院時、市役所(国民健康保険)に申請して頂いた「限度額適用認定証」を提示してあったため自己負担限度額までの支払額で済んだ。
 
退院後の注意事項
・手術後1ヶ月でも突然血尿が出る時があるから、一時的なことが多いので、慌てずに安静にして水分を充分採ってください。血の塊が尿道に詰まって尿が出なくなる尿閉を起こすことになるからです。
・飲酒は控えてください。血管を広げ出血を助長するからです。
・自転車・バイクの乗車は控えてください。また、車の長い時間の運転も控えてください。前立腺傷口を圧迫し出血を助長する危険性があるからです。
・激しい運動はしないようにしてください。


 
 
退院後第一回目の再診(平成22年11月30日(火))  
 退院後の状態を報告。
 尿検査:肉眼では血尿は確認できないが、まだ少し血尿が認められる。
 頻尿: 尿回数が多いのが心配と心情を打ち明け。Dr.曰く「前立腺の内側から削り採った傷で回復には時間を要する。その傷口に「カサブタ」が出来そこに皮膜が出来るようになるまで数ヶ月掛かる。そのために水をしっかり採り排尿の回数や量を増やして傷口を洗い流すようにする。3ヵ月経てばそのような悩みも薄れる」 
 
 Dr.の一言で安心して帰ることが出来た。
 次回は来年1月11日(火)再診を予約。

 頻尿は8回~10回/日と少なくなってきた。尿の勢いは随分と改善され、残尿もほとんどなくなったと感じられるようになった。

退院後第二回目の再診(平成23年1月11日(火))
 順調であったことを報告。
尿流測定検査では「手術前より良くなり全く問題ありません」
超音波(エコー)検査でも前立腺も小さくなっており問題ありません」と太鼓判を押され「次回(平成23年2月8日)手術後3ヶ月の節目として最後にPSAの検査をし、問題なければ終診とします」と言われた。
これで薬(薬物療法)とも縁が切れると思うとうれしくなってしまう。
 
主治医の先生や看護師の方々に感謝、感謝の気持ちで一杯である。 

 平成23年2月8日(火)
  最後の再診の生体検査(PSA)結果 1.735
   推移 2008年05月  09年03月  09年10月  10年10月  11年02月 
       5.217    6.956 6.634 8.384   1.735

  本日の最後の視察をもって治療終了し、現在異常はありません。

 





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