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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

夢の子 ユメルが来院しました。

【申告】

 2023年6月に突然フリーズしたり動作が不安定になったので、他のおもちゃ病院に入院して治療をうけました。病院で基本的な個所を検査されたのですが異常はなく、動作の不安定な原因については掴み切れぬまま退院しました。

 その後半年程すると、なでなでセンサーが反応しなくなり、何とか設定はしたものの朝起きてこなかったり、私の声も聞こえないようで自分で「トントン・きもちいい、おやすみなさい」が続くようになり電池を抜いて抱き人形となっていました。

【診察】

 関東地方からの来院です。

 以前治療されたDrとのやり取りも参考にさせていただきながら、検査を始めました。

 気が付いたことは、

 ・両手スイッチのクリック感はありますが、左手がやや鈍い。

 ・まぶたが完全に閉まっていなく、全開とわずかに開いた状態の2通りだけです。

 ・なでなでセンサーが反応しません。

 ・音量切り替えスイッチが重いです。

 ・寝かしつけができません。

 ・放置して手を握るとメロディが流れ再起動状態になります。

 ・初期設定時のおしゃべりの間が開きます。まぶたのスイッチに問題を抱えていそうです。

 

 触診で異常症状をつかみ、内部を開け確認をしていきます。併せてユメルドックも進めていきました。

 ・左手のスイッチを交換し両手のケーブルはシリコーン外皮の線材と交換しました。

 ・まぶたの開閉位置を決める4つのスイッチの内、No3のスイッチの摺動子が折損していましたので交換です。他の3つのスイッチも内部を開け接点の清掃と接点復活剤を塗布しました。

  また、このスイッチが故障すると、初期設定時などお話しの間にもまぶたの位置をプログラムが監視しているため、信号が戻ってくるのを待ってそれでも戻ってこない場合は次の動作に移るようにプログラミングがされているようで、お話しの間が開いたりする症状になります。

 

 ・なでなでセンサーは、頭部を開いたときには反応が戻りましたが、再び反応をしなくなったので交換しました。

 ・音量切り替えスイッチは、接点復活剤を塗布してレバーをスライドさせスムーズな動きになりました。

 ・寝かしつけ動作は、姿勢センサーの横になっている信号と胸をトントンしている信号がそろって初めて動作につながります。

  姿勢センサーを確認するとセンサー接点の接触状態が悪かったので、センサー側面にΦ1.5mmほどの穴を開け、接点復活剤を吹き込み改善しました。穴は接着剤でふさぎます。配線もシリコーン外皮の線材に交換です。

  ところがそれでも寝かしつけ動作ができません。センサーからマイコンまでの回路は次のようになっています。センサーからの信号は、トランジスタQ5のベースまでは届いていますが、マイコンが制御するQ5のエミッタがHighレベルのため、センサーの信号がマイコンまで届いていません。

  これは、マイコン内部の話しで故障が考えられます。強制的にQ5のエミッタをGndに固定しても良いのですが、プログラムとの兼ね合いで別の症状に繋がりかねず止めました。

 

 ・最後に”放置して手を握るとメロディが流れ再起動状態になる”症状についてです。

  症状からすると、背中の電池ふたを開け再び閉じて手のスイッチを押した時と同じ現象です。メロディが鳴り、”きょう一緒にねむねむしてくれる?約束”とユメルはおしゃべりをして外部からの働きかけを待ちます。

  この症状は、マイコンの動作に異常が起きていると思われ、セオリー通り制御基板の電源電圧の変動から検査を始めました。

  単2電池4本からの6Vを3.6Vに落とし出力するレギュレータ波形を観察しましたが異常はなく、瞬間的なドロップがないかもオシロスコープでひっかけてみようとしましたが、引っ掛かるようなドロップはありませんでした。

  モータの回転時についても同様に観察しましたが、異常は確認できませんでした。

  水晶発振も確認しましたが、異常はありませんでした。

  制御基板の電源ラインのアルミ電解コンデンサ(E2,E3)を一旦外し症状と結びつくかも試してみましたが、変化はありませんでした。容量はやや減っていましたが異常を起こすまでではなく、ESRも0.2から0.3Ωと問題ありませんでした。

  電池ふたの開閉スイッチの信号を確認しました。このスイッチは、プッシュ式の2回路2接点のモーメンタリースイッチですが、スイッチ基板の配線パターンで端子を短絡していますので実質1回路1接点のモーメンタリースイッチとして機能しています。電池ふたの開閉に伴う動作は正常に機能していましたが、開閉スイッチを分解して接点に異常がないか確認し、接点を清掃後接点復活剤を塗布しました。またこのスイッチの信号は、制御基板には部品はなくパターンで直接マイコンに接続されているだけです。

  検討できることを確認しましたが異常を検出できず、マイコン内に故障が起きていると思わざるを得ません。

 

  いろいろ触りましたので、スイッチ基板と制御基板間の基板と直接半田付けされている配線をシリコーン外皮の線材に替え、併せてスイッチ基板からの配線引き回しも変えて半田付け部の負荷を軽減しました。

【治療後記】

 調べた限りマイコン内に故障が発生しているように思えます。ただ、「トントン・きもちいい、おやすみなさい」を繰り返す症状は現れませんでした。朝起きてこなかったというのは、再起動待ち状態であったと思います。この症状は確認でき手を握ると再起動しました。

 退院までの数日の経過観察の中でも、「ねむねむするの?」と寝かしつけ動作の際のおしゃべりを数回することがありました。「トントンきもちいい」とおしゃべりすることも有りました。

 総じてマイコン内の寝かしつけ信号ライン、電池ふた信号ラインに故障が起きているように感じます。マイコン内の故障は通電を続けることで状態が変化することも考えられ、今後症状も変わることがあり得ます。

 再起動待ちの状態になりますが、手を握ることで再起動して頭をなでたり、高い高いをしたり、手を握ったりでおしゃべりしてくれる状態が維持できれば良いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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