亀山努殺人事件

１９９２年。
この年はオールド阪神ファンにとって
特別な一年で
今なお記憶に残っている方も多いだろう。


この前年まで阪神の成績は２年連続最下位。
そして誰もがこの年も指定席に収まるだろうと思っていた。

しかしシーズンが開幕すると
予想外の快進撃が始まった。

強力投手陣が育った阪神タイガースは
順調に勝ち星を増やしていき
春先、夏、と勢い衰えず
最後の試合まで優勝を争っていた。

久しぶりのチームの優勝争いに
ファンは興奮し
道頓堀に身を投げた。

この快進撃の立役者の一人が亀山努。
これまで全く知名度が無かった彼だが
この年はプロ野球の主役となっていた。

一塁へ駆け込むとヘッドスライディング、
強肩、好守備。
ファンは亀山に釘付けとなった。

しかし、亀山の活躍は長くは続かなかった。
翌年から怪我に悩まされ、さらには
睡眠時無呼吸症候群にかかり満足に睡眠をとることができなくなったのだ。

そのため寝坊が原因の遅刻が増えだしていく。



阪神タイガースは人気球団だったため
マスコミは見逃さなかった。


ヘッドスライディングの亀山は
寝坊の常習犯亀山と呼ばれるようになり
日本一だらしの無い選手として報道されるようになっていた。

怪我や病気の事情など全く触れられることなく。


そして彼は２度と活躍することなく、
阪神ファンから忘れかけられた頃
２８歳という若さでひっそりとユニフォームを脱いだ。


その後

丸々と太った亀山がテレビに登場する。
少年野球の監督となった亀山は
チームを世界一まで導いてしまうのだ。

野球の神様はまだ彼にスポットライトを当て続けていた。


その頃、亀山はユニクロのＣＭでこう話している。

人生は延長戦


亀山の野球人生は引退で幕を閉じたのではなかった。
まだまだ続いていたのだ。