さとね便り

山梨の巨峰農家の主婦・野菜ソムリエが、農の楽しみと里山でのベジ&フル・ライフをご紹介

アカデミック・レストラン

2010-01-30 23:01:59 | ベジ&フル生活
ベジタブル&フルーツマイスター協会の主催の、アカデミック・レストランというイベントに初めて参加しました。

野菜ソムリエがシェフを勤めるイタリアンレストラン、『ミラノ・クッチーナ』が、今日のレストラン。


シェフのおすすめの季節野菜を豊富に使った、オリジナルのコースメニューをいただきながら、レシピのポイントまでレクチャーしてもらえる、美味しいイベントです。

しかも、今日のテーマは『抗酸化力を高める』

ビタミンA・E・Cや話題のポリフェノールなどを豊富にとることができるメニューを、デモンストレーションも見ながら、レクチャーも聴きながらで、あっという間の2時間でした。



初めに、抗酸化力の代表選手、トマトのジュース。
これは幻のトマトジュース、知る人ぞ知る『狼の桃』
実は初めてでした。
青臭さはまったく無く、甘味が濃い、飲みやすいジュース。
グラスのふちには、ミディトマトのハッピートマトが。
これがまた、甘くてジューシー。



オードブルは茹でたチキンに季節の野菜とオレンジ系のドレッシング。
3種類の柑橘を絞ったジュースとエキストラバージンオリーブオイルのドレッシングで。


次は3種のカリフラワーを使ったソースで絡めた、帽子のような形のパスタ・オレキエッテ



メインは鯛とトマトとほうれん草の煮込み



ほうれん草は、シェフのおすすめの、昔ながらの日本ほうれん草。
その軸の甘味に、シェフも感動されたそうです。



ちなみに、野菜ソムリエなら必ず教わるほうれん草の種類。

野菜売り場でほうれん草を買うと、葉っぱがギザギザのものと長細い丸型のものと、ありませんか。
これは日本型のほうれん草と西洋ほうれん草の違いなんです。

葉っぱがギザギザの方が、昔から日本にある日本ほうれん草。
こちらの方が、軸が柔らかくて甘く、根元の近くがピンク色。

ちなみに、野菜は旬のものを食べるのがいいと言われていますが、その理由の一つが、栄養価の違い。
ビタミンCでは冬のほうれん草は夏のものに比べて、約3倍と云われています。



締めくくりのデザートも、4種のかんきつ類の甘酸っぱさにピスタチオの食感がベストマッチのズッパイングレーゼ。

今日は一日で7種類の柑橘を食べた事になります。

そして、イタリアンといえば多彩なオリーブオイルを使い分けるのだそうです。
今日もイタリアの3つの地方の3種のオリーブオイルをバケットにつけて食べ比べ。

それをお料理ごとに使い分けて、味の変化も楽しめる様に工夫されていて、盛りだくさんな欲張りなメニューでした。

夜、自宅の夕食で早速試してみようと、ドレッシングをおさらい!
柑橘類が無かったので、にんじんのジュースにビネガーを合わせて、オリーブオイルのドレッシングにしてみました。

でもでも、お昼にいただいた爽やかな酸味ではなく、何かが違う・・・

やっぱり、プロの味のセンスは、簡単には真似できませんね。

頂き物

2010-01-29 22:44:05 | ベジ&フル生活
ご近所にいらっしゃる方と、ちょっとしたことが縁でお話しする機会があり、お茶にいらして頂いたら、お手製のにんじんケーキを持ってきてくださいました。

にんじんの甘味が活かされた、お砂糖控えめの美味しいケーキ。



にんじんには抗酸化力のあるβカロテンがいっぱい!
「お肌にいいですよ!」と、コメントつきでくださいました!

お肌のためには、更に細胞を老化から守るビタミンCも重要。

冷蔵庫のイチゴも一緒に、デザートプレートに盛ってみました。

たまの贅沢に、フレッシュクリームを少しだけ添えちゃいました。
でも、ホントに・たまに・なんですよ!

寒じめちぢみほうれん草

2010-01-22 13:24:30 | ベジ&フル生活
去年はちらほらと見かける程度でしたが、この冬は青果物コーナーで、常に1コーナー占拠しているのがちぢみほうれん草。



ご覧のように、地を這うように平に広がった、タンポポのような形ですがほうれん草ですよね。

しかも、甘いんです。

ほうれん草は、シュウ酸というアクの成分があり、少しえぐみがあるので、お子様方にも若干苦手な野菜かもしれませんが、鉄分、ビタミンCの豊富な栄養価の高い野菜ですから、出来ればしっかりと食べて欲しいですよね。

このちぢみほうれん草ならば、甘味が強いのでお子様にも食べやすいのではないでしょうか。

しかし、ほうれん草を秋から冬にかけて畑で栽培していると、霜が降りる頃になると、自然に葉が寝てきて、放射状に地を這うようになります。

また、根っこに近い部分から甘味が強くなって、おひたしでオカカをぱらっと乗せてお醤油を回しかけるだけで、旨みがある美味しい副菜になります。

元々、冬場のほうれん草は縮むのであり、すっくと立ったまっすぐなものの方が不自然です。ですが、平に寝るとどうしても土が付き、見た目も良くないですから、今まではあまり消費者に好まれなかったのかもしれませんね。

ここ数年、野菜ブームの影響というべきか、冬場の霜に当たって縮んだほうれん草は甘いという情報が流れると、この冬はちぢみほうれん草の天下に。
従来のすっくと立ったほうれん草たちは、心なしかちょっと寂しげに見えます。

話が大きくなってしまうのですが、今の農業の現状を変えていかないと、将来にわたっての食の安全が、脅かされるのではないかという漠然とした不安が、生活者にも農家にも蔓延しています。
その底にあるのが、農家の低収入です。
それを解消する為に、生産者も試行錯誤をしていて、何とかほかと違ったものや、付加価値の高い作物を作ろうとしています。

この寒じめちぢみほうれん草も、季節限定・独特の甘味・栄養価の高さなどの付加価値が、生活者に認められたからこそ、従来のものよりも高い価格で、スーパーの一角を占めることになったのでしょう。

でも、寒じめは、低温で栽培するため栽培期間が長くなります。
ところが、もともと縮れた葉っぱのタアサイを掛け合わせると、何もしなくても葉っぱの縮れたものができ、ちぢみ○○として市場に出ている場合もあるそうなのです。

こういう情報に接すると、まるでスカートのデザインを変えるように、まっすぐだのヒラヒラだのチリチリだのと、野菜まで流行にしてしまうような風潮には、やはり抵抗を感じます。

私も野菜を買うものの一員として、野菜本来の姿を良く知って、野菜そのものが持っている本来の価値と、手際よく作りこまれた意図的なものを見極める目を持てるようになりたいものです。

もういっこ!

2010-01-21 17:56:37 | ベジ&フル生活
もういっこ!食べたくなるような美味しさという意味でしょうか。

先日甲府市内のスーパー、アマノパークスにて、初めてのイチゴを発見しました。
その名前が『もういっこ』

値段は1パック398円と、標準よりは少し安め。
お買い得なので2パック買いました。



ところがところが、野菜ソムリエにもあるまじき失態。

冷蔵庫の上の段の奥にしまったもので、数日食べ忘れていたのです。
昨年のミニ講座でも、イチゴはきわめて鮮度が落ちやすいので、買ったその日に食べるくらいのつもりで、なるべく貯蔵は避けたほうが良いと、皆さんにお話したばかりなのに、自分で長期保存してしまいました!しかも5日も!!!

これは大変と、恐る恐るポリ袋から出してみると、あれ???
全然、しなびてないし、艶もそのまま。

とても5日も経っているようには見えません。



上の写真、左が5日前に買った『もういっこ』で右が今日買ってきた章姫ですが、どちらもヘタがピンとして、果肉も艶やかな張りがあり、ツブツブもクッキリしています。

では、お味の方は・・・

章姫と比べると、甘さは少ないものの酸味とのバランスがよくて、果肉はしっかりとしていてジューシーで、あとくちがサッパリするので、確かに『もういっこ』手が伸びます。

ちなみに糖度計で計ってみると、
章姫はヘタの部分が9.5度  三角の先端の部分では15.8度
もういっこは、ヘタで8度  先端では11.5度という結果になりました。

章姫は数年前まで店頭に多く並んだ品種ですが、このところほとんど見かけなくなりました。
この品種は果肉が甘く酸味が少ない分、果肉が柔らかく、輸送や貯蔵に難点があったようです。

その甘~い章姫と比較しても、新しい『もういっこ』は、サッパリして食感がしっかりしていて、とても美味しいのです。



その上、貯蔵ができるというのは、大変に便利なイチゴですよね。

この『もういっこ』、宮城県作出のオリジナル品種とのこと。
平成17年頃から出ているようです。

首都圏ではすでに、流通しているのかな~?

私は初めてでしたが、この日持ちのよさは、ケーキなどにも向きますね。
今後、注目してみます。

ちなみに保存するには、売っている状態のフィルムの上から、しっかりとラップするか、ポリ袋に入れて冷蔵してください。



紅化粧

2010-01-16 23:43:07 | ベジ&フル生活
紅化粧

なにやら艶めかしい名前ですが、これは大根の品種の名前です。

外の皮だけが、鮮やかな紅色。
中はうす緑がかった白い大根です。





長さは普通の大根の2/3程度で、太さは普通の大根くらい。
少しずんぐりしていて、根の先端も、丸みを帯びた形です。


このところ、少しずつ目新しい大根を見かけます。

大根は和食には欠かせない野菜ですが、その原産は中央アジアからコーカサスあたりだと言われています。
日本には、すでに縄文から弥生時代にはすでに伝来していたようで、日本書紀にある於朋泥(オホネ)が大根の事だとされています。

ですので、日本全土の各地で長く栽培されていたために、昔は地方地方の独自の品種が数多くありました。

でも、その割にはスーパーの野菜コーナーで見かける大根は、ほとんどが青首大根ですよね。

これにはいくつかの理由があるのです。

皆さんがお店の野菜コーナーで野菜を見るときには、ほとんどの野菜が同じような顔をしています。

その光景は余りにも見慣れているので、別に不思議とも思わないですが、家庭菜園などで野菜作りをしてみると、1つの株から取れる野菜でも、その大きさや形は決して同じものばかりではありませんよね。

プロの農家の人が作っても、勿論多少は品質にバラつきが出てきます。
でも、そのバラつきを少しでも少なくしないと、農家の生産性は上がりません。

なぜならば、一般的に生産者が農作物を出荷する時には、農協などの共選に出して、規格を統一するのです。

その規格ごとに、市場で価格をつけて売りさばかれていくので、規格外の青果物は流通経路に乗る事が難しく、価格も大きく下がってしまいます。

そうなると、農家にとっていかにロスを少なくするかと言う問題を解決するためには、病気になりにくく、生産性が高く(実が大きいとか沢山生るとか)、また成長の速度が均一で一斉に収穫できるような種類の作物の方が、より作りやすいのです。

逆に地方固有の品種、固定種とか在来種などと言いますが、そういう野菜は、その土地の風土や食の習慣に即して食べられているので、全国の方の均質の味覚に合わないとか、ほかの地域で栽培しても、おいしく出来ないとか、更には先ほどの栽培や流通の効率に合わないといった理由で、大量には出回らないため、結果として同じような品種のものだけが店頭を独占する事になったのだそうです。

ちなみに、大根について言えば、青首系のものが大半を占めている理由は、
・この品種は生育期間が短く、収穫までに日数がかからない
・形がすらっとしているので、引き抜きやすく、農家の作業が楽な事
・更に太さが均等になれば、流通の際に箱詰めするにもキッチリと詰められて余分な空間が要らないので、効率が良くなります

え~!そんな理由だったの?と、思いませんか?

勿論、味も重要で、従来のものに比べて辛味が少なく、子供さんにも食べやすいと言うのも大きな理由ではあります。
でも、以前にご紹介した金沢の源助大根や、京野菜の代表選手、聖護院大根など、おいしい品種はいくらでもあるのに、意外と手に入りにくいのは残念ですよね。

東京近郊でも、昔からの有名な大根と言えば、練馬大根、亀戸大根、神奈川の三浦大根などがありますが、三浦大根が東京市場に出荷されるのは、今や年末の三日間程度だということです。

で、話は目新しい大根に戻りますが、こうした地方の在来種を、もう一度見直そうという動きがある一方で、更に新しい品種を作って、消費者の選択肢を広げようという動きも同時に起きているので、大根は今や、色も形も様々なものが出回りつつあります。

今日のテーマの紅化粧は、後者の方。
これはサカタのタネが開発した品種で、数年前から市場に出ています。

甘味が強く、何よりも皮の色がきれいで、料理の彩としても重宝です。
生で食べないと色が落ちてしまいますが、酢漬けにすれば更に発色がよく、サラダの材料にもなるので、和食、洋食どちらにも使える大根です。
都市部の家庭では、食の洋風化が定着していますし、外食産業の中でも、サラダに使える野菜のニーズは広がっているのではないでしょうか。



写真は千切りにしてなますにしたものを、サラダの一品に。
酢を、普通の日本のお酢ではなく、サラダ用のリンゴ酢で作ったので、洋風なますといったところですか。


皆さんも珍しい大根を見かけたら、是非、味わってみてください。
そして、その由来を、ちょっとだけ調べてみてから、もう一度、味わってみてください。