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電解コンデンサの温度寿命 [05/11/30]

2006-01-07 | SuperComputer
ストレージでも問題となる熱について、サン・マイクロシステムの方の blog
"Heat Tolerance (1)", Nov 30 2005, Old Boyさん
 http://blogs.sun.com/roller/page/spade?entry=heat_tolerance_1
に、とても為になる話が書かれています(是非、目を通して下さい):
  "熱に弱い、で、一番周知なのは、電解コンデンサの温度寿命、いわゆる
  十度二倍則、です。即ち、30-deg.C で寿命 80k-hour の電解コンデンサは、
  40-deg.C では、半分の 40k-hour の寿命しかなくなってしまう。"
電解コンデンサは電源の平滑回路で非常に重要な部品で、これが故障すると電源
は駄目 (または非常に不安定) になります。
 Sunが Opteron(AMD)や T1、IBMが Powerの低消費電力 (=少ない発熱) を売り
にしているのは、熱と部品故障(寿命)に深い関係があるからです。当然ながら、
ディスクの発熱もすごいですから、ストレージシステムも排熱には十分注意して
いるはずです。

熱とコンデンサの関係については、☆たるさんのパソコンフィールドの以下の
エントリーが参考になります。沢山なのはそれだけ重要な問題だからです:
"トレンディーなマザーボードの死因?(前編)", 2002年11月10日
 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main48.htm
"トレンディーなマザーボードの死因?(後編)", 2002年11月27日
 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main51.htm
"トレンディーなマザーボードの死因?(設計コンセプト編)", 2003年1月14日
 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main54.htm
"トレンディーなマザーの死因?(設計コンセプト編2)", 2003年2月22日
 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main57.htm
"コンデンサ・パニック(前編)", 2003年9月24日
 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main71.htm
"マザボの修理と理想の電源", 2004年2月29日
 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main86.htm
"マザボの修理と理想の電源(もう少し重傷編)", 2004年3月15日
 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main87.htm
"定期調査・2005年マザーのフェーズ数", 2005年3月15日
 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main112.htm
(☆たるさんのパソコンフィールドは、参考になる記事が盛りだくさんです)。

"十度二倍則" については、電解コンデンサメーカ最大手の日本ケミコン
アルミ電解コンデンサの寿命について
 http://www.chemi-con.co.jp/catalog_j/TECH_NOTE/al_5.html
に詳しい説明があります。


なんと!、現在、コンデンサ関係で大問題が発生しています:
"デル1社では済まない--PCメーカーを揺るがす不良コンデンサ", 2005/11/28
 http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20091696,00.htm
  "キャパシタとは、電気を蓄積して電圧を調整するコンデンサのことで、
  Dell Optiplexワークステーション、Apple iMac G5の一部のマシン、
  2004年に製造されたHP xwシリーズのワークステーション、そしてIntelの
  D865GBF」マザーボードを搭載するPCでも、問題のあるキャパシタが見つ
  かっている。"

以前も、2001年後半~ 2002年前半あたりに製造された粗悪電解コンデンサを
使用したマザーボードがかなり出回っていたそうです(上記たるさんの記事に
関連情報があるはず)。例えば:2ch自作 PC板を元に作成された Webページ
"電解コンデンサの大量死 テンプレサイト"
 http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/6445/condenser/
今でも 2ch PC版ではこの話題のスレッドが立っています:
"【膨張】電解コンデンサの大量死 20μF目【液漏】", 2005/11/21~
 http://pc7.2ch.net/test/read.cgi/jisaku/1132584310/
"マザーをコンデンサで選ぶ人が集うスレ Part5", 2005/10/19~
 http://pc7.2ch.net/test/read.cgi/jisaku/1129725667/


コンデンサ "十度二倍則" の元になっているアーレニウス則は、以前紹介した
"MTBFクイズ"の Seagate社の調査報告
"Estimating Drive Reliability in Desktop Computers and Consumer Electronics
 Systems(TP-338.1)", 2000年12月
 http://www.seagate.com/docs/pdf/newsinfo/disc/drive_reliability.pdf
で HDDの温度特性のモデル化に応用されています。
 しかし、アーレニウス則は温度と化学反応速度(当然液体)について成立する
化学反応律則式なので、HDDの温度特性モデル化には理論的には少々厳しいか
もしれません。ただ現実的に温度と故障には何等かの関係はあるでしょう。

※追加
"Heat Tolerance (2)", December 01, 2005
 http://blogs.sun.com/roller/page/spade?entry=heat_tolerance_21
こちらで紹介されている日本 HPの技術資料:
"高密度コンピューティングのためのデータセンターの最適化"
 http://h50146.www5.hp.com/products/servers/proliant/whitepaper/wp019_040430/index.html


関連エントリー:
 MTBFクイズ [05/08/30], 2006-01-07
 Power Mgmt Enterprise Storage, データセンター設計メモ [], 2006-02-11


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