先進国ではおカネがスムーズに、かつ末端まで循環しなくなっている。 製造業から金融業への産業シフト、高度消費社会の消費行動、高度工業化社会の耐久財の出現。 さらに、生産工場の海外移転は、海外へ雇用とおカネを流出させているからだ。 だが、これらは従犯にすぎない。
1986年、サッチャー改革から始まった金融ビッグ・バン。 これが主犯である。 金融ビッグ・バンで、おカネでおカネを買う貨々交換が完全自由になった。 国内だけではない。 だれでも自由に海外の通貨、債券、国債、株式までも買えるようになった。 さらに、ゴールド、原油、穀物といった実物から、天候、平均株価指数などといった実体のないものにまで値段をつけ、金融市場で売買できるようにした。
貨幣でモノを買うよりも、おカネでおカネを買った方が手っ取り早く、しかも巨額な儲けが期待できる。 モノに向かうおカネの量が激減するのも当たり前だろう。
リーマンショック以前、世界の貿易額合計は約30兆円といわれている。 昔ながらのおカネでモノを買う取引である。 一方、資本取引つまり貨々交換の取引額は貿易の約50倍から80倍と推計されていた。 今でも、日米欧の金融機関は、金融緩和でジャブジャブになったマネーで、海外の金融市場に多額の投資を行っている。
以上、アメリカの実体経済が回復しない原因である。
もっとも、日本は株価自体がほとんど回復しない。 欧米の景気回復のために、国内経済を犠牲にした政策を当局がとっているからだが、とりあえず本稿は今日で終わりにします。 明日からは、合併か談合に戻ります。
今日も読了ありがとうございました。 おやすみなさい。
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