よもやまばなし

面白き こともなき世を面白く

住吉の長屋

2005年08月29日 11時00分42秒 | 街で見つけた面白い物
自宅の近所に「住吉の長屋」という建物があります。
僕がこの建物の存在に気が付いたのは10年ほど前になりますか・・・
住宅のようにも見えるけど 入り口以外には窓も見当たらず、コンクリート打ちっぱなしの小さな要塞のような建物。
発見当時から気になって近くの人に聞いても誰も知りませんでした。
この建物「住吉の長屋」の正体を知ったのは インターネットを始めてしばらくした頃ですから、5年前です。
偶然ネット上で写真を発見して その正体を知った時は驚きました。
なんと世界的建築家の「安藤忠雄」さんが世に出るキッカケとなった記念碑的な建築物だったんです。
建築は1976年ですから、30年ほど経過しています。建築面積33、7㎡、間口3、3メートル、奥ゆき14、1メートルという細長くて狭い敷地を3分割して 真ん中の3分の1を中庭とし、手前と奥の3分の1づつに計4つの居室を配したシンプルな構造です。
建物両側には住宅が隣接しているため 外側にはあえて窓を作らず、中庭に面した壁面をガラス張りとすることで採光と通風を確保しています。
1979年に安藤さん設計の「住吉の長屋」は「日本建築学界賞」を受賞し、その後のご活躍はご存知のとおりです。
すごいと思うのは、部屋から部屋に移動する時、常に中庭を通らなければならないので 雨が降ると 自分の家の中で傘が必要だということです。
今見てもスゴイと思う建物ですから、30年前の建築時はさぞかしシュールだったんでしょうね。
当時無名の安藤さんの設計どおりに家を建ててすみ続けている方もスゴイと思います。
あらためて見てみると外壁のコンクリートは劣化やひび割れもなく美しい状態を保っており、触るとスベスベヒンヤリとしています。
とても築30年も経過しているとは思えず、安藤さんのコンクリートに対する拘りが感じられます。

この建物は個人の居宅ということで場所が公表されていないのと、世界的には有名な建物でも地元的にはまったく無名なこともあって探すのはけっこう困難なようです。

ネットで「住吉の長屋」で検索して 構造模型などを見てみるのも面白いと思いますよ。