涙猫
作詞/作曲 涼平
「ニューロマンサー」が「ロマンサー」の続編なら、「涙猫」は「変態最終頁」の続編だ。「変態最終頁」がただの学生からビジュアル系バンドマンへの決意なら、「涙猫」はアヤビエを経て新たにメガマソで旅立つことへの決意だ。
これまでも何度も歌い続けてきたテーマ。おそらく涼平自身が思っているより、このこだわりは強い。他のメンバーだって戸惑うはずだ。議論していくことでますますグループの狙うところを明確にしていって欲しい。過去の流れを見ると、涼平の考え方や曲が大きな変化を見せたことは無く、おそらく、この議論で涼平が負けてしまうはずは無いのだから。それほど明確に自分のやらねばならないことがつかめているのだから。
涙猫はいつも夢見ていた、凍えようが掴むべき星を。
すべて賭しても彼は惧れさえもなく手を伸ばすの、
涙猫は僕の心の中に棲む理想のみ追う生き物。わがままで泣き虫だが、挑戦は止めない。
これまでいつも夢見ていた、美しい星。触ると冷たく凍えてしまいそうな星だが、そして、もしかすると悲惨な結果へ続く道だが、僕は勇気を出して掴もうと思う。
変わらず集えよ「変態」。
再び集まれ「変態」。(「変態最終頁」と同じく、声をそろえて叫んで欲しい?)
僕は、過去の僕の粛清を自身に求める。
しかし、雪上のこと(しかも、雪は降り止んでしまった)足跡は残る。言葉と共に。
これまでやってきた活動を省みれば、本来自分の理想から外れたことをいろいろやってきてしまった。これからは、過去にさかのぼってでも禁じようと思う。しかし、僕の作品は君たちの心に残っている。(消すことは出来ない。)
生理食塩水が君を蔽う、僕はまぶしく見つめるだけで。とめどなく溢れるは、あなたが存在してくれているから。
涙で君が見えなくなる。君たちの存在が僕の涙をとめどなく流す。
鬼は、歌の量の概算を自身に求める。
しかし、泥土のこと(しかも、泥は硬くなってしまった)映像は残る。歌詞を供に。
この業界で生きていくためには歌をある程度たくさん作らねばならない。そして自分は作り続けてきた。そして君たちの心の中に影像を残してきた。
看ずに猫は誘う、彼はまぶしく見つめるだけで、とめどなく毀れるは、僕が守るべき存在。
そんなことにお構いなく猫は理想を求める。理想からずれて消耗していく自分にかまわず。
安穏に逃げる人は怯え隠れるだけ、壊れそうで離せない自信。
術をなくしつ彼は惧れのみ持ちて手を伸ばすの。
手を伸ばさねばいいのに。楽な道はあるのに、でも涙猫の持つ自信は手を伸ばすことをやめようとしない。
それでいい。怖いのなら、目を瞑って手を伸ばせばいい。
一番怖いのは、手足を自ら切断してしまうことだ。
それでいい。一番やっていけないことは、恐れあきらめて手を伸ばさなくなってしまうことだ。それは自分の存在を失うことだ。
生理食塩水が君を蔽う、僕はまぶしく見つめるだけで。とめどなく溢れるは、僕が守るべき存在。
僕はこの涙猫を守っていかねばならない。
涙猫は怯え隠れるだけ、壊れそうで離せない自信。
術をなくしつ彼は惧れのみ持ちて手を伸ばすの。
恐れつつも、涙を流しつつも手を伸ばすことを止めようとしない涙猫を。
己の才覚に限界を感じている人はいつも夢見ていた、凍えようが掴むべき星を。
すべて賭しても彼は惧れさえもなく手を伸ばすの、いつかは。必ず。
自分の才能に限界を感じている人はいつも夢見ている。この星をいつか必ずつかんでやろうと。(でも自分の才能の限界が見えるということは、その限界を超える可能性があるということに他ならない。壁が見えない人には超えることは出来ない道理だ。)