極個人的発言録Blog

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映画「山本五十六」

2012-01-21 23:26:18 | 映画・DVD
破滅的な軍国主義に傾倒する当時の日本において、その活躍から「軍神」とまでもてはやされた連合艦隊司令長官・山本五十六だけど、正味、その人物像や功績についてはほとんど知らなかった俺。
元々日本史は嫌いではないこともあり、興味深く観る事ができた映画だったよ。

もちろん、実際の五十六を知るはずもなく、この映画の中で脚色されたキャラではあることを承知の上でも、実に、当時の日本において希少な人材だったのだろうと想像できたよ。

いわゆる「人物」なんだよね。
古き良き日本の、実直で誠実な人格を持ち、寛容で温厚。客観的な視点と冷静な判断力を持っていた人のようだよ。
「戦争」や「戦略」をしっかり把握していて、だからこそ日米開戦には反対を唱えた1人。
精神論だけでは如何ともし難い「国力の差」を認め、それを堂々と口にすることが出来た数少ない日本人の1人だった。
当時自国を「神の国」と信じて疑わず、客観的なデータよりも精神論を重視していた世論や政治に対して、真正面から意を唱えることができた人物。
結果的にそのことが中央から彼を遠ざけ、海上・戦地に追いやり、死をもたらしたわけだけれど....。


切ない物語だったな。

決して本意ではない戦いに赴き、それでも、戦う以上は無様な真似は絶対にしない。全力を尽くして使命を全うする。
苦渋の戦いの中で、大切な部下を、同僚を、仲間を失っていく。それでも自分は生きて、戦い続けなくてはならない...。

淡々と戦いの海路を進む五十六の心中を察するに...切ない物語だったよ、うん。


五十六を演じた主演:役所広司。心中に多くの哀しみを抱えながら、毅然と使命を果たしていく....そんな五十六を感情を抑えつつ見事に演じていたと思う。

印象に残ったのは、五十六と常に行動を共にしていた部下の作戦参謀・三宅を演じた吉田栄作。
かつてのトレンディ俳優の軽薄な演技は既に皆無。誠実で忠義心溢れる軍人をソツなく演じていたと思う。
惜しむらくはハンサム過ぎる顔の造作だね(笑)
でも、彼は表舞台に帰ってきてから各出演作品でイイ演技をしているよね。重要なポジションを上手に締めていると思うよ、うん。

香川照之率いる新聞編集部が、全く同じメンツでありながら、戦後直後から手の平を返したような記事を当然のように報じ始める様子に、当時の日本の異常さを端的に表していたように感じたね。

今思えば異常だった当時の日本。
でも、それが当時の「普通」だったんだよね。

では、今の日本はどうなんだろう。「愛国心」という言葉からは遠くかけ離れた国民性。
多くの不満を抱えながらも、大きな声で主張はせずに、くすぶっている若者達。
「一億総中流」というぬるま湯につかり、リスクを嫌い、一生を「やり過ごそう」としている我々。

もう一度、「自分が今の日本に生きている」ということの意味を、そして、課せられた使命に目を向けるべきなのじゃないだろうか。

日本という祖国の繁栄を信じ、自らの命をその礎(いしずえ)として捧げた先人達は今の我々をどんな風に見ているのだろう。


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