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夜汽車の客

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上野行き急行 八甲田 その2

2019-11-15 17:54:17 | 日記
  
津軽海峡は名にし負うその潮流の激しさで、そこを航行する船乗りを悩ませていたらしい。 1954年、1,000人以上の遭難犠牲者をだした有名な洞爺丸事故もこの海峡である。
折からの台風で青函連絡船は沈没。船の乗客は対岸の下北半島、大浦まで流れ着いた。 それから4年後、作家の水上勉さんはその事件を題材に、名作「飢餓海峡」を発表し、後に映画やテレビドラマにもなって、氏の不朽の代表作となった。 私が連絡船「摩周丸」で津軽海峡を越えたのは、事故から8年後の昭和37年、まだ中学校の1年生の頃だった。
函館の港を出て数時間が経過し、青森が近づくにつれて、人々は早々と出口の方へ列を作り始める。 勝手のわからぬ私は遅れてはならずと、重いボストンバッグを抱えて、列の後ろに並ぶのだった。
やがて開け離れたデッキのドアの向こうに、青森港の灯が見え始めた。 外はしんしんと雪が降っている。 どうやら無事にここまで来たのだと、小さな安ど感が湧いてきた。


二か国語の奨励

2019-11-13 08:51:57 | 日記
ある研究によると、複数の言語を話すことは、人間の成長における早い段階で、脳の発達を増進させるそうである。 言葉を話すには、その状況におけるふさわしい単語、言い回しを瞬時に選択する必要がある。それが二つの言語を擁していれば、複眼的な判断を可能にし、思考の幅を広げられるということらしい。更には集中力も付き、ひいては認知症の発症を遅らせることも可能であるそうだ。  
我が日本も遅まきながらバイリンガルの重要性を認識するようになりつつあるが、その道のりははまだまだ遥かなるかなたにあると思う。その国の外交を託されたトップの方々が、世界中の指導者の集まる席で、右往左往して、一人蚊帳の外といった惨めな体たらくでは推して知るべしである。 ましてや一般市民に至っては外国語など生涯まったく無関係という人々が大多数を占めるのも止むをえまい。
先ごろ問題となった文科相の発言においても、大学の試験に民間の英語検定を導入するなど、それほど短兵急に対処できる問題ではないようにおもう。 社会そのものの教育体制の見直しも必要かと個人的に考える次第である。




人は見かけによらぬもの

2019-11-12 21:54:23 | 日記
幸いにも、未だこの世の住人である限り、同時代に生きた幾多の隣人との付き合いは、世相の移り変わりや、自身の年齢の積み重ねはあれども、どこまでも付きまとうものである。 兄弟もなく、子供の頃から愚図で、引っ込み思案の傾向のあった私は、とりわけ他人との付き合いを苦手としていたものだ。 今でも根底にある内気な性格は変わってはいないはずだが、やはり年齢と人並みの経験を積んで、若い頃よりはさばけてきたようにも思える。 一人っ子特有の我がままで、気配り下手な性格は、ご多分に漏れず周囲と様々な軋轢を起こしてきた。 だが今更ながら思うには、人間とはかくも深遠な存在かと改めて感じ入ることがしばしばである。 古い知り合いで、ある時期はなんて嫌な奴と思っていた人が、長い年月が過ぎ、年を重ねるにつれ、なんと得難い心の持ち主かと、その人を見る見方が劇的に変わった例もある。 但しその逆もないことはない。 年を経ていっぱしの人格を持った通人ぶった己の不実、不明を恥じるばかりである。 不言実行はおぼつかないが、何事も帰するところは自身の力不足にある。但し、いくつになっても前向きの姿勢は変えずにいようと、心ひそかに誓いを立てたいと思う。   秋の夜長の手前勝手な独白であるのみ。