経営法務研究室2023

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自筆遺言書について

2013-04-19 | (法律)

 あらためて、お話をすることではないかもしれませんが、念のため。。。


 自筆遺言書は、公正証書遺言とことなり、自分で作成する点で、費用がかからず簡便です。

 そのため、比較的現在でも利用されています。ただし、有効無効の議論となることも多く、その作成には注意が必要です。

 以下、おもな注意点について、列挙します。


1 全文を自筆で記載する必要がある。

  法律上、全文を自筆で記載しなければ無効となります。ワープロ等プリンター印刷物ではだめです。


2 簡単に消えないもので記載する。

  鉛筆や最近ではフリクションなどによって記載した場合、改変が容易であり効力を争われる可能性があります。


3 遺産の特定は、きちんと行う。
  遺産は、他の財産と区別しうるほど特定されていなければなりません。
  誤記等がある場合、効力が争われる可能性があります。


4 署名・実印による押印をするようにする。
  自署のほか、慎重な判断をした証としても、実印に押印をしましょう。

5 封筒に封印をして保管する。
  改ざんされていないことを補完するためにも、封印を補完が必須です。


6 執行時に家庭裁判所の検認手続きをすることになる。
  後日必ず取ることになりますが、この手続きは、遺言の存在を確認する趣旨の手続きです。
  遺言の有効性を確認する手続きではないので、注意が必要です。
  要するに、この手続きが行われても、上記各点に不明瞭な点があれば、効力を争われるリスクがあります。


 公正証書遺言の方がお勧めですが、自筆遺言を作成するばあには注意をしてください。

新規登録弁護士のための制度

2013-04-16 | その他

 東京弁護士会では、若手弁護士の支援制度を設けている。

 昔も、登録時に研修のようなものはあったが、露骨に新米であることを強調した制度はなかった。

 しかし、現在は、状況がだいぶ変わった。

 新規登録弁護士をいくつかのクラスにわけて、担任、副担任をつけて、教育をするのだ。講義の内容は、電話対応から始まるが、書面作成など形式からやり直すというか、やり始める。

 内容はどうであれ、個人的な印象としては、やはり、クラスとか担任とかは形式的な呼び名に過ぎないが、レベルの低さを許容させてしまうようなネーミングは避けた方が良いとは思う。

 実際、そうでなくても、試験のハードルが下がっていることから、合格者の意識として、試験が簡単なものと認識しているものが多いが、本来要求されるレベルは合格ぎりぎりのレベルであるはずがない。高みをみて、合格後も研鑽をつむべきが、そのようになっていない。

 実務では、基本六法の法律をゆっくり勉強する暇などなく、多数の特別法を使う。基本レベル向上は容易ではないはず・・・

 なので、チューター制とか、クラス制というネーミングの制度ができていることに、不安を覚えるが、中には、昔と同じ感覚の持っている新人弁護士もいる。

 法律事務所に依頼するお客様は、いろいろな意味で見極めが大変だと思う。。。。


  

労働契約法 改正 4月1日より施行

2013-04-14 | (法律)


 有期労働契約の反復更新の下で生じるいわゆる「雇止め」に対して、規制がなされました。

 労働者が安心して働き続けられるように、有期労働契約の適正な利用のためのルールが整備され、この4月1日より、施行となっています。



 1 通算5年を超えた場合、申込みにより無期契約にする転換できる制度の導入

 2 一定の場合(下記のいずれか)に、雇止めが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないとき」には、雇止めが否定されるとの制度の導入
   ① 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
   ② 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

 3 同一の使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることの禁止


 が主な内容です。
 

 これによって、有期契約社員の地位が強化されました。意外と有期契約社員は、更新がないという意味で、企業は、リスクを軽減化でき、最近増えつつある契約形態でしたが、それに歯止めがかかることとなりました。

 経営者の方は、アベノミクスにより経済的な恩恵を受けていると言われてはいますが、実際上は、中小企業の中には、まだまだ恩恵にあずかっていないところもあり、こうした制度も結構厳しいものといえます。

 優秀な人材であればパーマネントで採用すればよいですが、給与面での維持が難しいですし、賞与なども考えると有期雇用の活用がこれまで有益でしたが、これからはだんだんと厳しくなります。



なお、 詳細は、厚生労働省のページにてご確認を。

 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/

弁護士の選び方

2013-04-09 | その他

 弁護士の選び方は、一昔と比べ、難しくなりました。

 ネットでたくさんの法律事務所が専門性のアピールをしているので、専門的にやっている事務所を探すことはできますが、実際のところ、その専門的な知識、経験、手腕等の程度はわからりません。

 確かに、その点がわからないのは昔から同じではあるのですが、何が変わったのかというと、あたりが相対的に少なくなったことです。

 やはり、司法改革によって、合格者を増やしたことは、単純に言って、昔のままの制度では、合格しなかった人まで入らざるをえません。こればかりは否定しようのないことです。

 もちろん、テストで点数がとれることと、仕事は別ですが、やはり、基礎能力という点において上下の差があるのが、弁護士のレベルとしても、上下差があるのが、現在の弁護士業界です。

 なので、専門をうたっている事務所のレベルが同じかというとそうではない点で注意が必要です。
 
 たとえば、交通事故専門といっても、いろいろな紛争の訴訟を経験していないと応用がきかないし、交通事故の損害においても、営業損害などは、それなりの勉強をしていないと難しいです。事案によっては、刑事事件も絡みます。
 相続だって、不動産や資産として有価証券や金融商品など絡むし、税務だって絡みます。そこに、不在者や痴呆症の方が絡むと不在者財産管理制度や後見制度の理解も必須です。株式がある場合、株式会社や有限会社の組織の承継なども重要な点となります。

 要するに、専門と言っても、ほかにも経験があり、結局はある程度全部できるも、専門的に取り組んでいる弁護士と、最初からそれしかしていない弁護士では、意外と差があることがあります。

 典型的な案件であれば、誰を選んでもそう差はあまりないと思いますが、そうでなければ、弁護士を吟味する必要があります。

 直感も大切なので話をしてみて、まずは合うかどうかを入り口として、違和感を感じれば、別の人を探すというのも大切かもしれません。今の自体、弁護士はたくさんいますので。。。





弁護士が税理士からのアドバイスに対して損害賠償をするケース

2013-04-07 | (税務・会計)

 弁護士でも一般的には、税務に明るいわけではなく、税務まで手が回っている弁護士はそれほど多くはありません。

 それでも、普通に弁護士が知っていておかしくないことについては、裁判所も厳しめの判決を出しています。


 そのうちの、一つに、顧問契約を締結した税理士らが誤回答をしたとして、弁護士法人が不法行為に基づく損害賠償請求をした事例(東京地裁H21.2.19判決)があります。  

 事案としては、弁護士法人設立の際に、節税に資する資本金額について、税理士に相談したところ、資本金額はいくらでもよい旨の回答を得たため、資本金額を1000万円として設立したが、それによって、消費税3060万9700円を課せられることになったというものです。資本金1000万円以上の法人となると、消費税の納税義務が生じ、法人設立における猶予なるメリットが受けられません。
 実際上の、本件の争点は、税理士側(従業員)が、節税に関連して資本金額等について誤った回答を行ったか否かという点であり、あくまでも事実認定上の問題にすぎず、回答の有無が認定できないということで処理されているようですが・・・・

 実際上は、このようなレベルの問題で、損害賠償請求を認めるべきではないという価値判断も働いていると思います。

 また相談レベルで多額の損害賠償請求を認めるには、それ相応の客観的な証拠が必要であるという価値判断もあるかもしれません。

 
 相談ごとについては、手間等もあり、弁護士も必ず書面をもって回答できるわけではないですが、重要だと感じたら、書面での説明を求めておくべきともいえますね。。。


 専門家への相談は、重要状況と判断したら、相談内容の書面化を求めることも場合によっては必要な対応だと思います(書面化することで多少の費用が生じたとしても、行うべきときもあると思います。)。

  

エンディングノート

2013-04-02 | (法律)

 最近エンディングノートという書式ノートが書店等でよく見かけます。


 主に、相続などを考えて、自分の相続人のために、財産やもしものときの重要事項をまとめるためのノートです。


 財産関係等身の回りの整理をするのに役立つものです。

 

 この売れ行きが良いのか、最近は、保険会社が配布しているものもあります。


 ちょっとしたつてがあれば、無料で手に入れられるということでもあります。


 保険の代理店などお付き合いある人は、一言、担当者に言ってみるとよいかもしれません。


 私の事務所でも、そうしたものを何冊かもらっているので、お客様へお配りしております。。。。