つらつら日暮らし

「第一官律名義弁」其二十二(釈雲照律師『緇門正儀』を学ぶ・22)

ということで、もう10回以上、釈雲照律師『緇門正儀』の「第一官律名義弁」の内容を見ている。なお、これは【1回目の記事】でも採り上げたように、「今略して、僧に位官を賜ひし和漢の官名、職名及び初例を挙示せん」とあって、職名の意味というよりは、任命された最初の事例を挙げることを目的としているようである。よって、この連載では、本書の内容を見つつ、各役職の意義については、当方で調べて、学びとしたい。現在は日本の役職となっている。

それで、前々回の記事では奈良時代の制定された僧侶への位階である【四位十三階】を論じたのだが、詳細を『緇門正儀』で載せている内容から検討してみたい。

一 修行位〈又、伝灯無位と称す〉 八位相当
一 誦持位
一 伝灯入位 六位相当
一 伝灯住位 六位相当
一 伝灯満位 五位相当 已下を三階と謂う
一 伝灯法師位 四位相当
一 伝灯大法師位 三位相当 弘仁十一年十月大師之に任ず
 延暦十七年九月乙卯、治部省の解に偁く、僧位に俗位を与え、相当すること、僧綱の牒に偁く、僧位に五階有り、入位・住位・満位・法師位・大法師位なり。即ち此に準ぜば、又、無位の僧は八位に当たり、入位は七位に相当し、住位の僧は六位に当たり、満位の僧は五位に当たり、法師位の僧は四位に当たり、大法師位の僧は三位に当たる。〈日本逸史第七〉
    『緇門正儀』11丁裏~12丁表、原文を参照しつつ訓読は拙僧


色々と分からないことばかりなのだが、拙僧自身の勉強を主たる目的としているから、その結果のみを書いておきたい。まず、ここで釈雲照律師が参照された『日本逸史』という文献だが、平安時代に編纂された『日本後紀』の復原を企図して編集された文献で全40巻、江戸時代の元禄5年(1692)に成立し享保9年(1724)に刊行された。それで、同書7巻に確かに上記の引用文が入っていた(『国史大系』巻6[経済雑誌社・明治30年]を参照した)。

そこで、以前の記事で「四位十三階」の僧位を良弁が上奏したことは既に論じたが、その後朝廷が定めたのは、「二色九階」の制度だったという。要するに、伝灯大法師位を最高位としつつ、その下に伝灯の四位、修行の四位を於いて、伝灯・修行の二色が、全体として九階だったことを意味する。

なお、「一 伝灯入位 六位相当」は誤植で「七位相当」だと思う。また、「弘仁十一年十月大師之に任ず」は、弘法大師空海のことを指している。とりあえず、少しずつ理解を進めるが、今日はここまで。

【参考資料】
釈雲照律師『緇門正儀』森江佐七・明治13年

仏教 - ブログ村ハッシュタグ
#仏教
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「仏教・禅宗・曹洞宗」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事