つらつら日暮らし

マルティン・ルター『九十五箇条の提題』を学ぶ・42

ドイツ宗教改革の発端にもなったとされるマルティン・ルターの『九十五箇条の提題』の日本語訳を学んでいく連載記事である。連載42回目である。なお、英訳された『九十五箇条の提題』を、当方で日本語訳して掲載することとした。

17〔42〕 キリスト教徒は、教皇が、恩赦を買う(贖宥)ことと、慈悲の行為とを比較するつもりがないことを、教えられるべきである。
    訳は当方


この記事では、贖宥と、慈悲の業とが、比較されることでは無いことを知るべきだという。この場合の、「慈悲の業」とは何を意味しているのだろうか?それは、イエスによる罪の購いを指すという。いわば、イエスがゴルゴダの丘で処刑された一事をもって、「慈悲の業」としているようである。つまり、イエスによる慈悲の業と、贖宥状との機能とは、比較できることでは無いと示しているのである。

【参考文献】
Works of Martin Luther:Adolph Spaeth, L.D. Reed, Henry Eyster Jacobs, et Al., Trans. & Eds.(Philadelphia: A. J. Holman Company, 1915), Vol.1, pp. 29-38
・マルティン・ルター著/深井智朗氏訳『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』講談社学術文庫・2017年
・L.チヴィスカ氏編『カトリック教会法典 羅和対訳』有斐閣・1962年
・菅原裕二氏著『教会法で知るカトリック・ライフ Q&A40』ドン・ボスコ新書・2014年
・ルイージ・サバレーゼ氏著/田中昇氏訳『解説・教会法―信仰を豊かに生きるために』フリープレス・2018年
・田中昇氏訳編『教会法から見直すカトリック生活』教友社・2019年

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