富士山を遥か遠くに眺める日々

2017年富士山のすそ野から転居
本や映画、テレビなどから感動、
感心した言葉を書き留めていく

親の心子知らず、子の心親知らず

2024-10-18 16:18:17 | 読書

最近首都圏周辺で高齢者宅を狙った緊縛強盗が多発してその残虐非道な手口に震撼する。以前は息子を語る犯人に親、特に高齢の女性が騙され、高額な現金を盗られる「オレオレ詐欺」事件が頻発した。

ニュースを耳にするたび、母親とはいくつになっても息子の生に密着し、その責任を負い、失敗を償おうとするものなのか、と衝撃とともに暗く悲しい思いに沈んでしまった。 

息子の母親として生きた、母親としてしか生きられなかった人生が背景にあったのかな。。。そんな息子に

「死ね、クソババア」なんて言われたらどんなに悲しく切ないか....

タイトル:「死ね、クソババア!」と言った息子が55歳になって帰ってきました」
著者名:保坂 祐希/著  

タイトルから「55歳で…」となると多分、離婚して行き場がなくなった不良息子が親元に戻って来る話かな…と想像した。ところが母と息子の関係が途絶したきっかけは大学受験の志望選択のすれ違いから発したもの。息子は不良どころか真逆の優等生、今では大学教授を目指す研究者なっているのだ。「離婚?」も本人の誤解と思い込みなだけで、息子の相手は「名の知れた会社の役員で、夫思いのとてもデキたお嫁さんだ」と母親は知る。

「死ね、クソババア」の過激な捨てゼリフを浴びせられた後、母親が息子と会ったのは数回、冠婚葬祭の折のみで、まともに言葉を交わすことなく30数年が過ぎていた。

いっときも頭から離れることなく息子の身の上を案じてきた母親。思いがけず始まったぎこちない同居生活で、息子の「息苦しさ」を知り、「思うままの人生を歩ませてやりたい」と強く願うようになる。(離婚するとなったら)ひとりで暮らせる生活力をつけてやらなければならない、とまで考え家事を教える。つくづく母親とは恐ろしい生き物だ、と感じさせるところだが私自身、息子に生活力を身に付けさせなかった後悔と反省から大いに共感するところだった。悲しくも切なく哀れなり、、、

小説は怒涛の最後(ちょっとオーバーかな?)に向かって、落涙必至の映画のワンシーンを見せられるように終わる。🍁

 

 

 

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人の命を守るべきはずが。。。。

2024-09-29 14:15:02 | 読書

『凍て空と日だまり』あさのあつこ著

五歳の時、眼力を失ったお梅は揉み師を生業としている。ある時、武家屋敷に呼ばれ当主、和左之介の凝りを解いてほしいと依頼される。若い和左之介は無実の罪を着せられ切腹の沙汰が下されているという。その期限は三日後。武家の子息らの乱行を取り締まるため、みせしめとして和左之介に重い処分を科したようだ。死なせてはならないと、お梅は岡っ引き、十丸、天竺鼠

たちの手を借りて証拠を集め、奉行所に処分取り消しを願い出ようとするが。。。。刻限は迫っているし、そもそも公儀が一度決めた沙汰を覆すはずがない。ご公儀はいつでも正しい。真実がどうとか正しいかどうかなど関係ない。公儀の面目を保つことが優先されるのだから。

この武家時代特有と思われていた悪弊、その名残りが今でも生きていると思い知らされるニュースが最近いくつかあった、そのひとつは、

『58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件の再審=やり直しの裁判で26日、袴田巌さんに無罪の判決が言い渡された。判決は有罪の決め手とされてきた3つの証拠が捜査機関によりねつ造されたと指摘した。検察側は今だに「真犯人は袴田さん」だとする主張を崩していない。』

この自分たちは間違っていないとする検察側の態度は、江戸時代のご公儀に通じるものがある。

そういえば、命をかけて告発されたにも関わらず「自分はあくまでも正しい」と主張する兵庫県知事の姿勢も同じ。

権威とか面目、建前よりも人権が優先されるはずなのに、、、

ところで、和左之介の運命はどうなったかというと

「奉行所へ願い出ることを断念したお梅たちは、切腹を回避すべく協力して和左之介を江戸から出奔させることに無事成功」

こんな風に、人の一生や命が不当に扱われるのを阻止できる手立てがあるといいね!

 

 

 

 

 

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紫と黄色と満月の夜

2024-09-17 20:35:21 | 日記

紫式部の花は地味だが人の目を引き付けずにおかない 『光る君』は道長の栄華の頂点に向かって佳境

 

「真夏のような暑さは今週末まで」と待ってましたの天気予報、例年通り「暑さ寒さは彼岸まで」ということか。。。。

今夜は中秋の名月  

残念ながら雲の陰....雨降りお月さんではないけれど

庭のおしろい花

午後4時頃に開花するから英語名は「four o'clock 」、

確かにその頃に開花し、翌朝午前中には萎んでしまう ひとつの茎に違う色の花が咲いたり違う色が模様のように混じったりする不思議な花....白、ピンク、黄など 染色体が関係するらしい

今年は黄色の花が咲いたが来年は違った色が出てくるかもしれない

黒い種をつぶして中の白い粉を顔に擦り付けた子供の頃の思い出、馴染みの花のひとつ

 

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からかさないときゃ

2024-09-14 23:31:07 | 読書

童謡『雨降りお月さん』、作詞は野口雨情、作曲は中山晋平

 1  雨降りお月さん 雲のかげ お嫁にゆくときゃ

   誰とゆく 一人でからかさ さして行く

   からかさないときゃ 誰と行く

   シャラシャラ シャンシャン 鈴つけた  

   お馬に揺られてぬれてゆく

影絵のような景色が目に浮かび、寂しげながらも優しいメロディと謎めいた歌詞。この歌が好きだという人、特に女性は多いと思う

子供の頃好んで歌ったり聴いたりしたが、今でもふと口ずさんでいるかも。。。。

「ひとりでからかささしていく」が特に印象的だったが、それがタイトルの

『ひとりでからかささしていく』(江國くに香織著)

八十代の三人(男ふたり、女ひとり)がコロナ禍の大晦日に猟銃自殺する。当然遺族はうろたえる、三人の生前の関係性を知っている人はほとんどいないから、なおさらのこと。

子、孫、友人の立場で生前の記憶を手繰りよせる一方、これを機に各自の過去と現在、家族間の関係性、特にその冷たいと思えるほどの希薄性が明らかにされる....「生者よりも死者の方を身近に感じる」ほどに。

当事者たちはそれを良しとしているから、今後も距離感は縮まらないだろう。新たな繋がりが生まれる予感も無し....

高齢者三人の猟銃自殺という衝撃的な出来事をきっかけに何かドラマが起きるわけでもなく小説は終わってしまう

「世の中いろいろな人間がいるものだ。それを思い知らされることが気に入った」

この小説とタイトルはどう結び付く?

『雨降りお月さん』の登場人物は、お嫁さんと馬丁と馬(人ではないが)の三人

死出の旅に出た当事者も三人連れだから、、、

と、勝手に推測した

お嫁に行くときゃひとり、死ぬときゃひとり

 

 

 

 

 

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真夏の朝の出来事、小鳥が…

2024-08-21 15:51:32 | 日記

この夏熱中症警戒アラートが発表された日はもう30日を超えた。ところが何ときょうは発表なし。。。。

涼しくなると思いきや、最高気温は32度、依然として暑いことに変わりはない....

そんな朝、食事の最中に窓ガラスに何かが激突する音! ベランダを見ると小さな小鳥が墜落していた。

すわ激突死!!息も絶え絶えの様子…

もし生きていたら元気になるまで飼ってみたいという下心が芽生え、そっと網をかぶせて様子を見守ることにした。

やがて息を吹き返し、つぶっていた目も開き、意識が戻ってきたようだ....

「勝手に飛び立っていくから網を外しておいてやれ」と家人が言うものだから…

言われた通り放っておいたら、しばらくして勝手に飛び立って行った、

死なずに元気になって良かったと思う反面、もう少し手元に置きたかったという残念な思いは拭えなかった、

この間15分位の出来事!!  

ところでこの小鳥、何の鳥?

真夏に現れたウグイスのような気がするけど。。。。

 

 

 

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