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氷川きよしについて ★ by とねりこ

☆あなたのブルース〜Kiinaの歌声を味わい尽くす♬277

アルバム「演歌名曲コレクション17〜最後と決めた女だから〜」全12曲後半の6曲はカバー曲です。7曲めは矢吹健さんが昭和43年に発表された「あなたのブルース」。Kiinaの歌唱はこちら

https://m.youtube.com/watch?v=N_ccPq64Iac

歌詞は歌ネットより。

https://www.uta-net.com/song/138430/

 

この曲は矢吹健さんのデビュー曲でした。初めてこの曲を聴いた時の衝撃を今でも覚えています。「こ、怖い」。

でも嫌いではありませんでした。「あなたあなた」とひたすら連呼する矢吹さんの背後に、一途にひとりの男性だけを思い続ける女性の姿が見える気がして。私はまだ小学生でしたけど。

 

Kiinaは長良会長に「良い歌があるんだよ」と言われていて、どうしてもアルバムに入れたかったそうです。

この年の102日放送の歌謡コンサートで、偶然この曲の歌唱依頼がNHKからあったそうですが、この時もうレコーディングは済んでいたのでしょうか。

ダビングの山の中からこの日の歌謡コンサートの録画を探し出すのに小一時間、1枚のディスクに2011年と2012年の歌謡コンサート15回分のKiinaを詰め込んでいたので、102日にたどり着くのに更に小一時間かかりました(ついつい全部見ちゃったせいです)

 

この日は綾小路きみまろさんがゲストで出演されていて、Kiinaの「あなたのブルース」にイントロナレーションをつけてくださいました。

今改めて聴いてみると、きみまろさんのナレーションと、私のイメージする「あなたのブルース」はちょっとズレがあるかな?という気がしました。

きみまろさんは「失った恋」と捉えていらっしゃいましたが、私はこの歌にはストーリーがない、全編をひたすら「情念」だけで塗りこめた稀有な歌だと思っています。

 

女性の情念を歌った歌は沢山あります。例えば「天城越え」は不倫の歌ですし、「夜桜お七」は逢いに来てくれない相手に愛憎をぶつける歌。そこにストーリーがあります。

でも「あなたのブルース」は、どんな相手なのかどんな恋なのか、失った恋なのか、それ以前に相手に届いてもいない恋なのか、「あなた」について何ひとつ説明がありません。

描かれているのは「あなた」だけが世界の全てであるという「私」の心だけです。

 

そしてKiinaの歌唱は。

Kiinaは「レコーディングの時、入りこみ過ぎてちょっと苦労しました」とお話ししています。Kiinaは憑依する人ですから、ディレクターさんに「もう少し抑えて」と注意されたのでしょうか。

CDを聴いてみると、1番は少し感情をセーブして、その分を2番にぶつけていますね。

特に「ルルラ ルラ」から「押さえ切れずにはげしく 泣いて唄うは」の流れは、感情の嵐、まさに慟哭そのものです。

 

「あなたのブルース」は大変インパクトの強い曲でヒットもしましたので、沢山の歌手の方がカバーされていますが、色々聴いてみると、なるほどただ歌唱テクニックがあるだけでも、創唱者の矢吹さん並にハスキーボイスなだけでもこの歌は響いてこない、どこかに飛んでいっちゃった?ぐらいに気持ちが入りこまないと、この主人公の感情の深い部分までは表現出来ないのだろうと思いました。

 

Kiinaが会報の中で「こんな曲調のオリジナル曲が欲しい」とお話ししていましたが、「あなたのブルース」を何十回と繰り返し聴いていて、ふと「『枯葉』のMVの世界が近いと言えば近いのでは?」と思いつきました。

「あなたのブルース」のように感情を思い切りぶつけられる曲が、本当はKiinaは好きなのでしょうね。国フォのスペシャルコンサートで歌ってくれたほか、翌年のツアーコンサートでもセットリストに入っていました。

 

余談ですが。

「あなたのブルース」は、一面では「あなた」を思う「私」のブルースでもあります。

この「私」を矢吹さんとKiinaは「あたし」と歌っていて、カバーされた歌手の方は「あたし」派と「わたし」派に分かれるようですね。

それぞれイメージの中でどんな主人公として歌っているかによるのでしょうか。

 

矢吹健さん。2015年に亡くなられました。ご家族も次々に失くしておいでで寂しい晩年だったようですが、「あなたのブルース」は名曲としてこれからも何人もの歌手によって歌い継がれていくでしょう。

コメント一覧

サファイア
再び失礼します。 みつこさん、私もその大阪での「百万本のバラ」、聴きたかったです。

>CDだけ聴くとそこまでは表現されていない
そうでしたか。 それは「氷川きよし MVベスト~ロック・ポップス~」での「枯葉」も同じです。 最後の方で少し腰を振ってはいますが、クリコン20のそれとは比べ物になりません(ついでに「ボヘミアン・ラプソディ」も、初披露(クリコン19)の時が一番迫力があって、良かったと思っています)。

>kiinaの真髄はコンサートの歌唱に在る
その通りですね。 無理はしないでいいですが、ファンとしては、やはり早めの復帰を願わずにはいられませんよね・・・。
みつこ
>どこかに飛んでいっちゃった?ぐらいに気持ちが入り込まないと歌えない歌
そうですよね。憑依して歌うkiinaだからこそ歌える歌ですね。『枯葉』もそうですし、もう一つ、『百万本のバラ』をあげたいです。大阪の歌舞伎座での公演で黒いドレス姿でkiinaが歌った時の入り込み方が凄かったです。穏やかに語りかけるように歌い始めたのに、徐々にボルテージが上がって、狂気の叫びになって行く歌唱に圧倒されて、歌い終わった時しばし会場がシーンと静まり返りました。その後は拍手喝采👏👏👏CDだけ聴くとそこまでは表現されていない〜聴く人が引いちゃったらいけないと思ってディレクターさんが抑えたのかも?やはりkiinaの真髄はコンサートの歌唱に在るのです。kiinaのコンサートが早く再開できますように!毎日祈っています。
サファイア
>描かれているのは「あなた」だけが世界の全てであるという「私」の心だけです。
ほんとですね。 そういえば昭和は、「あなた(←主に男)がすべて」という内容の歌が多かった気がします。

とねりこさん、せりさん、チャチャチャさんの仰る通り、そういえば「枯葉」に似てますね。 前に言いましたが、クリコン20の歌唱では、まさに「狂気」→最後は「だだっ子(ある意味本心むき出し)」になりました(で、私はあの腰の振り方で、ぎっくり腰を心配しました(^^; )。
もちろん私は、クリコン20のkiinaの「枯葉」が大好きです(^^) 。
藪つばき
こんにちはー。矢吹健さんの「あなたのブルース」インパクトが凄くて忘れられない曲ですね。同じく矢吹さんの曲でチャチャチャさんが紹介して下さった「うしろ姿」や「私にだって」も大好きな曲で、よく口ずさんでいたことを思い出します。亡くなられていたとは知りませんでした。でもとねりこさんのおっしゃるように矢吹さんの歌われたヒット曲は私たちの胸に永遠に残るんですよね。
そして、元布団の中のお母さんさんがおっしゃっているように、「~味わい尽くす」の1曲1曲のとねりこさんの解説がすばらしくて、私も「どうしてこんなに上手く書けるのだろう」といつも心酔してしまいます。
「~味わい尽くす」も後何日で最終回を迎えるのか、それともまだまだ続くのか分かりませんが、とねりこさんこれまでの一日一日の記事本当に有り難うございます!。
チャチャチャ
矢吹健さんの「あなたのブルース」は若い頃良く聴きました。大好きだったと思います。テープも持っていました。亡くなられていたのですね。ハスキーボイスでさびの迫力で印象深く(うしろ姿)や(私にだって)など次々にピット曲を出されました。独特な歌い方が印象ずけられのでしょうね。kiinaの歌声を聴く前に本人の曲も聴いてみました。kiina、負けてないですね。素晴らしいあなたのブルースです。外の曲もkiinaに似合っているかもしれません。聴いて見たいですね。
Kiinaの「枯葉」はすごいですよね。誰もカバー出来ないのではないでしょうか。
歌番組では歌うことは出来ないくらいスケールの大きな曲です。コンサートに参加される方が羨ましいと思いますが。乗り物に乗れない私はDVDで大満足です。
せり
おはようございます。「あなたのブルース」kiinaの歌声もいいですね。感情を思い切りぶつけて最後は森進一さんのような慟哭になってました。とねりこさんもおっしゃってますが「枯葉」を思い出します。とにかく「枯葉」は凄いです。MVでも国フォでも狂気さえ感じさせる熱唱には驚愕しました。真っ赤な炎のような衣装で身をよじって歌うkiinaに圧倒されたものです。
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