とらやまのベンガルとらやま通信

中途半端な田舎から都会に出てきた自称とらやまが何もない日常の中のどうでもいいことを書き綴るブログです

Kすがさんの憂鬱①~愛は地平線の果てに~

2008-12-02 22:59:22 | 日々のできごと
エピローグ ~朝、電車にて~

その日もKすがの耳には朝の退屈で憂鬱な音が聞こえていた。

規則正しくそして果てしなく続くその音を意識しないまま彼はただ揺れていた。

「五t五t…足して十豚…それじゃ豚だ…そういやどっかに美豚って店があったなぁ…あのOLか何かケバイのかキツイのかわからん女の人vuittonのバッグだ…あぁ似合わないって誰か言ってあげないのかぁ…俺が言うか…ここで言ったらただの説教おやじかぁ…昨日の飲み屋のおやじ奥さんきれいだったなぁ…なんで釣ったんだろう…ただのゲテモノ好きだったのか…ゲテモノっていったいどんなものだろう?」

ただ単調な電車の走るその音から彼はゲテモノの意味を調べようと心に決めた時、その日はただの一日になるはずだった。いつかの日のように…。


まだ、到着駅までは暫くある。
寝てはだめだ。寝てはだめだ。だめだだめだダメだろう君。
寝てしまったらいつかのように気付いたらはるか遠くにいってしまう。
なんのために1本早い電車に乗ってるんだ。
寝てしまって乗り過ごしても一駅で気付いたら折り返して間に合うようにじゃないか!

その努力のせいで、さらに睡眠時間が短くなっているのに彼は気付いていなかった。

あぁ、でも朝の空気はまるで寝ろと言わんばかり。
電車の中ってどうしてこんなに生暖かいんだろう…人間の暖かさか少しよどんで湿った暖かさだよな…くかっ(-_-)zzz

ああああぁ、いかんいかん!ふぅ…
頭を振ってまわりを見回したとき、彼は気付いた。

あれ、汗かいてる。
彼は首の汗をぬぐった。
あついのかな?あついけど。

それがまた運命がこっそり近づいてきた前触れなのを彼は知る由もなかった…



ステージ1  ~○○ストーリーはいつも突然に~


突然だった。

それは針のような鋭さと、アイロンを間違えてさわったような熱さと、さらにバットで後頭部をたたく様な荒々しさで彼を襲った。

多分それが本当なら、常人なら死んでいただろう。


…簡単な言い方をすると、たいぎゃ痛かったったい!


突然だったのだ。


しかし、朝の腹痛に彼は慣れていた。

いつものことか…あと3駅くらいだ。大丈夫!なんとかなる!
なんとかなると思えばなんとかなるんだ。
トイレの個室を占領してでてこないヤツがいない限り。
人がかなりがまんして待ってる時に限って中から新聞をめくる音がしやがるんだ!
新聞は家か会社で読め!トイレは新聞喫茶じゃねぇ!

そこまで考えたとき、彼は気付いた。

あれ、なんか違う…


痛い!痛い!


そのとき、昨日の真夜中腹痛に襲われたことをやっと思い出した。

にんにくを玉ごと2玉食ったからじゃなかったのかな?


常人ならその時点でお腹をこわしているのを棚に上げて彼は心でつぶやいた。


その間断なく続く、お腹の中身をねじ切るような痛みが彼の記憶を呼び覚ました。


「これは…腎臓結石かもしれない」


彼は数年前、腎臓結石をわずらっていた。
その痛みはしっかり腹痛とは別腹として、彼の記憶の十字架に刻まれていた。


やばい、やばい


このままでは動けなくなる。

トイレに行く行かないの話じゃない。


やばい


はああああああうぅうぅ

獣の叫びか、Kすがのさけびか、はたまた断末魔の叫びか

そんな事はどうでもいい。

大事な事はそのとき、幸運にも駅についたことだった…



ステージ3  ~愛という名のもとに~


背後でドアのしまる音がした。

電車からは降りれた。良かった。


しかし彼はそのとき自分の美しい未来を考える余裕はなかった。

ここはどこだ?
そうか駅だ。
どうする。人を呼ぶか。
病院にいかなきゃ。どこに行く。


答えは本当に簡単だった。

すぐそばに、あの人間ドックの病院があるじゃないか。


きっと神様はいる。

彼はそう信じた。信じるに足る理由を見つけた気がした。


きっとよろめく足で病院に向かっていたはずだ。
その時の記憶は彼にはない。

その時考えていたのは、

「会社に電話しなきゃ。あぁ誰に電話しよう。課長はまだ出てないし。Kさん?
だめだまたただの酒のさかなになってしまう。とらやま?だめだ、またブログになんて書かれるかわかったもんじゃない。そうだアルバイトのあの子にしよう。いやまてよ、あの娘、昨日俺が席で踊ってたら物凄い冷たい目で見てたよな…なぜいつも笑ってすますあの娘があんな目で…踊った俺を軽蔑してたのか…いや踊ったのが悪かったのか…いや、俺のせいじゃない。なんかどうしようも無いことが起こるとかならず俺を躍らせて事をすませようとするK係長やとらやまに対して軽蔑してたんだ。きっと俺は悪くない。気に入らなくてもあんな顔しないはずだ。俺は別に嫌われるようなことしていない。そうだ。あの娘に嫌われたらどうやって生きていけばいいんだ。そう、いつも心に愛を持たなきゃ。」

そのとき、彼は自分が病院のカウンターの前に立っていたことに気付いた。

カウンターの向こうから、職員がまじまじと見ている。



「なんでしょうか?」

いったいいつからここに立っていたんだろう。
そういえばこの人この前人間ドックの時にいたおねえさんだ。
覚えてるかな?覚えられたらいやだな。なんて言えばいいんだろう。

「なんですか?」

少し声に怒気がこもり始めているのに気付いた。

いかんいかん。怒らせてどうする。大体なんだったけ(;O;)
忘れた(-o-)、いや違う腹痛だ腹痛だ。
トイレはどこですか?
いや違う、トイレは駅でいけば済む話。
痛いんだった。お姉さんの顔で癒されたよ。違う違う。
結石だ結石だ。泌尿器科だよ。わっはっは。←ここまで0.2秒

「あの~、昨日から腹痛で。結石だと思うんで、泌尿器科に」

少し間があった。

怒ってるのか。そうなのか。ひょっとして人間ドック忘れてたのに気付いたか?
もう済んだことだから忘れてくれ。あぁっ、また痛みが。あなたのせいだ。いや違う急いで(>_<)お願いだからm(__)m

彼は息をのんで答えを待った。
スピードが命だ。痛みも愛も。

「あの~~、うちには泌尿器科無いんですけど…」

愛と痛みが絶望に変わった瞬間、時は止まった。

風に飛ばされる砂の城のように、もろくも壊れてく現実があるだけだった…(続く)




久々にKすがさんネタです。
1月以上昔の話ですけど、記憶を呼び覚まして書いています。

この後Kすがさんはどうなったのか?

それはまたあさって以降…
(明日は飲み会さ(^^ゞ)

ちなみに推敲も何もしていないので、書き直す可能性大!


疲れたので寝ます。風邪がぶり返した。こんな事してるからですね。おやすみなさい(-_-)zzz