
◯ スマホがパソコンのカメラに! Windows 11のAndroid連携が進化。
【今回のポイント】パソコンとスマホの連携を試す。
今回は、Windows 11とスマホの連携機能を紹介する。バージョン24H2で追加された新しい連携機能と(図1~図3)、以前からある付属アプリ「スマートフォン連携」を使う機能がある(図4~図6)。連携にはWi-FiやBluetoothを利用するが、一部の機能はスマホがモバイル回線に接続時でも使用可能だ。
図1、バージョン24H2では、スマホとの連携設定が2つの項目になり、「スマートフォン連携」アプリと独立した設定が増えている。
図2、」新しい設定は、現在のところAndroidとの連携専用。スマホ側では「Windowsにリンク」アプリを使用する。
図3、Androidと連携させると、スマホのカメラをWindowsのカメラデバイスとして使用可能になる。ビデオ会議などで選択可能だ。
図4、11に付属する「スマートフォン連携」アプリでの連携は、AndroidとiPhoneの両方に対応。ただし、使える機能には違いがある。
図5、連携アプリを使うと、スマホで撮影した写真の閲覧、電話の利用、SMSの送受信、通知の確認などがパソコン上で可能になる。
図6、連携アプリでリンクしたパソコンとスマホは、互いにファイルの送受信ができる。11からの送信時には共有画面にスマホが表示される。
電話、カメラ、撮影した写真… スマホの機能やデータを幅広く。
24H2で、「設定」アプリの「Bluetoothとデバイス」にある「モバイルデバイス」を開くと、「このPCによるモバイルデバイスへのアクセスを許可する」と「スマートフォン連携」という2つの項目がある(図7)。
図7、「設定」アプリの「Bluetoothとデバイス」から「モバイルデバイス」を開く(1)。「このPCによるモバイルデバイスへのアクセスを許可する」と(2)、「スマートフォン連携」の(3)、2つの項目がある。
前者は新しく追加されたもので、「モバイルデバイスを管理」画面を通じてスマホとの連携設定を行う(図8)。連携したスマホは画面下に表示される。
Θ 「モバイルデバイスを管理」画面。
図8、図7の「デバイスの管理」をクリックすると、別のウインドウでこの画面が出る(1)。スマホと連携させる際は「デバイスの追加」をクリック(2)。連携済みのスマホと使用する機能の設定がその下に表示される(3)。
11とスマホの連携設定は、11側に表示されるQRコードをスマホのカメラで読み取って行うか、手動で実行するかを選べる(図9)。いずれも、パソコンとスマホで画面の指示通りに操作し、確認コードを入力することで連携機能が使用可能となる(図10)。
図9、連携の設定時にQRコードが表示される(1)。これをスマホで読み取ると、アプリのインストールやMicrosoftアカウントでのセットアップなどが自動で進行する。手動で設定する場合は(2)を選ぶ。
Θ確認コードの入力で連携を完了
図10 設定の最後に、パソコン側に確認コードが表示される。これをスマホに入力することで連携が完了する。
スマホ側では、マイクロソフトが提供する「Windowsにリンク」アプリを使用し、11と同じMicrosoftアカウントでサインインする(図11)。QRコードで連携した場合はサインインが自動実行されるほか、アプリを未入手の場合はPlayストアの入手ページの表示や、インストール後の実行も自動で行われる。
Θ スマホ側のアプリの設定。
図11、「Windowsにリンク」アプリのホーム画面(左)で右上のボタンをタップすると(1)、設定画面が開く(右)。同期の切り替え(2)、アカウント設定(3)、モバイルデータ通信での同期設定などが可能だ(4)。
同じMicrosoftアカウントを使用していれば、パソコンとスマホはそれぞれ複数の端末と連携設定が可能だ(図12)。ただし、同時に接続できるのは互いに1台のみとなる。なお、2025年2月上旬時点では、パソコンとスマホの両方で、連携した相手(端末)を削除する機能がない。この点が気になるユーザーは多そうだ。
図12、アカウント設定の画面。サインアウトする場合はここから(1)。同じアカウントでリンクしているパソコンがその下に表示される(2)。複数のパソコンとリンクできるが同時に接続できるのは1台のみ。接続済みの項目をタップすると接続が解除されるので注意しよう。
連携後は、「設定」アプリから「Bluetoothとデバイス」→「カメラ」の順に開くと、「Windows仮想カメラ」としてスマホが表示され、ビデオ会議用のカメラなどとして使えるようになる(図13)。項目をクリックすると詳細設定が開き、映像のプレビューも可能だ(図14)。スマホをカメラとして使用している間は、コントロール画面も表示される。
図13、「設定」アプリの「Bluetoothとデバイス」から「カメラ」を開く(1)。「接続済みカメラ」の欄に、「Windows仮想カメラ」として、スマホの名称が表示され(2)、クリックすると詳細設定が開く。
図14、図13でスマホを選び、詳細設定画面を開いた(1)。スマホのカメラの映像をプレビューできる(2)。カメラの使用中は操作用の画面も表示される(3)。
また、エクスプローラーのナビゲーションウインドウ下部にスマホのアイコンが表示され、Androidの「storage」フォルダーにアクセスすることも可能になる(図15)。多数のファイルをコピーしたいときに使うと便利そうだ。
Θ ワイヤレスでスマホのフォルダーを参照。
図15、連携の設定により、エクスプローラーからスマホのフォルダーにアクセスすることが可能になる。ナビゲーションウインドウにスマホのアイコンが表示され(1)、「storage」フォルダー内を参照できる(2)。
スマホ側では、パソコンとの接続中に通知が表示されるほか、カメラ機能の利用開始時には許可を求める通知や、機能の制御画面も表示される(図16)。
Θ スマホ側の表示。
図16、パソコン側で仮想カメラを開始すると、スマホに許可を求める通知が出る(左)。これをタップすると許可扱いとなり(1)、画面が切り替わる(右)。図14右下と同様のコントロールボタンが表示される(2)。
これらの連携が設定済みの場合、11の付属アプリ「スマートフォン連携」(以下、連携アプリ)を使用する際には、初回起動時の連携設定を省略できる(図17)。連携していない場合は図17右の画面から行うが、ここではiPhoneも選択可能だ。
Θ 初回起動時の設定。
図17、アプリの初回起動時には専用の設定画面が出る。スマホが連携済みの場合は左の表示になり、そのまま次へ(1)。連携していない場合は右の表示となり、接続先を「Android」か「iPhone」から選ぶ(2)。
連携手順は前述の方法と共通で、QRコードを使うか、手動で設定するかを選ぶ。なお、iPhoneでQRコードからアプリを入手する場合は、「Windowsにリンク」アプリ全体ではなく、連携に必要な部分だけがインストールされる(後からアプリ全体のインストールも可能)。
初期設定が終わると、追加の設定を求められる(図18)。ここでは、スマホの通知を読み取る許可を与える、パソコンとスマホをBluetoothでペアリングするといった作業を行う。
Θ 追加の設定。
図18、初期設定後、ウインドウ左に「すべての機能をロック解除する」という表示が出る(1)。「開始」をクリックすると(2)、スマホの通知の表示や、Bluetooth経由で電話機能を利用するための追加の設定が始まる。
これらの設定が終わると、連携アプリ上で次の機能が使えるようになる。
まず、スマホに保存された写真の閲覧やダウンロード(図19)。これは、現在のところAndroid専用の機能で、iPhoneは非対応だ。
Θ 写真の閲覧やダウンロード(Androidのみ)。
図19 ウインドウ上部で「フォト」を選ぶと(1)、スマホで撮影した写真が新しいものから一覧で表示される(2)。1枚を選ぶと大きく表示され、文字を認識させたり、パソコンにダウンロードしたりできる。
次に、パソコンからスマホの電話機能の利用(図20)。最近の着信履歴の確認や、音声通話の発着信ができる。
Θ パソコンから電話を使う。
図20、ウインドウ上部で「通話」を選ぶと(1)、パソコンからスマホの電話機能が使える。最近の着信履歴を確認できるほか(2)、パソコンからの発着信も可能(3)。検索機能を使って連絡先を指定することもできる(4)。
3つめは、スマホ経由でのショートメッセージの送受信(図21)。一般のSMSにのみ対応しており、「+(プラス)メッセージ」や「iMessage」のような独自サービスは使えない。
Θ ショートメッセージの送受信。
図21、ウインドウ上部で「メッセージ」を選ぶと(1)、スマホのSMS(ショートメッセージ)が利用できる。画面左に最近のメッセージの一覧(2)、右側にメッセージの送受信画面が出る(3)(4)。
また、連携アプリのウインドウ左側で、スマホのステータスや通知を確認することも可能だ(図22)。
Θ スマホの状態や通知の確認。
図22 ウインドウの左上の「>」をクリックすると(1)、表示が広がって、上部にスマホのステータス(2)、下部に未確認の通知が表示される(3)。メッセージの返信など、通知の操作も可能。この領域は、アプリのウインドウサイズが十分大きければ標準で表示される。
そのほか、パソコンとAndroidスマホの間でファイルの共有(送受信)もできる。それぞれ、OSの共有機能を介して利用する(図23~図26)。
Θ パソコンからスマホに送る(Androidのみ)。
図23、エクスプローラーでファイルを選択し(1)、ツールバーの「共有」をクリックすると(2)、共有画面が表示される(3)。「自分のスマートフォン」を選ぶと連携しているスマホにファイルが送信される(4)。
図24、ファイルを受信したスマホでは通知が表示され、タップすると保存したフォルダーが開く。ファイルは通常「ダウンロード(Download)」フォルダー内の「Send from my PC」フォルダーに保存される。
Θ スマホからパソコンに送る(Androidのみ)。
図25、スマホからのファイル送信時は、共有画面(左)で「PCに送信」か(1)、以前送信したパソコンを選ぶ(2)。(1)を選んだ場合は、次の画面(右)で送信先を選ぶ(3)。
図26、ファイルを受信したパソコンでは通知が表示される。保存先は「ダウンロード」フォルダー内の「Phone Link」フォルダーとなる。