濃さは印刷プレビューで確認 ヘッダー画面で直接編集できる。
作例は、博物館が会員に送付する案内書の暫定版。文書の背景には、博物館の記念スタンプを透かしとして表示する。さらに、正式な文書に仕上げるまでは、「SAMPLE」という文字列の透かしも表示しておく。まずは、文字列の透かしから挿入してみよう。
文書の透かしは、「透かし」ダイアログボックスを表示して指定する(図3)。文字列の透かしなら「テキスト」ラジオボタンを選択して、文字列やスタイルを順番に設定すればよい(図4左)。「テキスト」欄のメニューに目的の文字列がない場合は、「テキスト」欄に直接文字列を入力しよう。サイズや文字色も指定可能だ。「OK」ボタンをクリックすると、文字列が文書の透かしとして表示される(図4右)。
Θ 文書に文字列の透かしを入れる。
図3、透かしを入れる文書を開く。「デザイン」タブの「透かし」メニューから「ユーザー設定の透かし」を選択する(1)~(3)。表示される「透かし」ダイアログボックスで透かしの種類として「図」または「テキスト」を選ぶ。ここでは「テキスト」を選択した(4)。
図4、文字列の詳細を指定する。ここでは「言語」に「英語(米国)」、「テキスト」に「SAMPLE」、「フォント」に「Arial Black」、「レイアウト」に「水平」を選んだ(1)~(4)。「OK」ボタンをクリックすると、文書の背景に透かしが挿入される(5)(6)。ヘッダーとフッターの領域に配置されるため、色は実際よりも薄くなる。
なお、図4左の画面で「適用」ボタンをクリックすると、「透かし」ダイアログボックスを表示したまま結果を確認できる。いろいろなサイズやレイアウトを試したいときに利用しよう。
Wordの透かしは、文書のヘッダーとフッターの領域[注1]に配置される。そのため、編集画面では実際よりも色が薄くなる。出力時のイメージは印刷プレビューで確認しよう(図5)。
[注1]本文から独立した欄外の領域で、ページ番号などの定型要素を入力する場所。ページの上部(ヘッダー)と下部(フッター)だけでなく、中央部分も透かしの配置などに利用できる。
図5、「ファイル」タブの「印刷」画面を開き、印刷プレビューで出力時のイメージを確認する(1)~(3)。色やレイアウトなどを変えたい場合は、「透かし」ダイアログボックスを開いて指定し直す。ただし、レイアウトは「対角線上」か「水平」の二択など、指定できる項目は限られる(右)。
透かしの位置やサイズなどを自由に変更したいときは、画面をヘッダーとフッターの編集モードに切り替える(図6)。本文部分は薄い表示になって編集できなくなるが、透かしを編集するのに邪魔な場合は非表示にすることもできる。
Θ 透かしの文字列を「ヘッダーとフッター」画面で修正する。
図6、透かしのスタイルを自由に変えたいときは、上余白部分を右クリックして表示されるメニューから「ヘッダーの編集」を選択する(1)(2)。画面がヘッダーとフッターの編集モードに切り替わり、透かしに修正を加えられるようになる(3)。本文部分を非表示にしたい場合は「ヘッダーとフッター」タブの「文書内のテキストを表示」をオフにする(4)(5)。
文字列の透かしは「ワードアート」というオブジェクトになっている[注2]。クリックで選択するとリボンに「ワードアート」タブが表示され、色や透明度などを柔軟に変更できる(図7)。サイズ、位置、角度もドラッグで自由に調節可能だ(図8)。
[注2]透かしのワードアートは旧バージョンの仕様になっており、現バージョンで採用されているワードアートとは異なる。
図7、透かしの文字列をクリックで選択すると「ワードアート」タブが表示され、各種のスタイル変更が可能になる(1)(2)。透明度を変える場合は「文字の塗りつぶし」メニューから「塗りつぶしの色」を選び、表示されるダイアログボックスの「透過性」の数値を指定して「OK」ボタンをクリックする(3)~(6)。半透明が「50%」なので、薄くしたい場合は数値を「70%」のように増やせばよい。
図8、透かしの文字列の位置はドラッグ、サイズは周囲のハンドルのドラッグ、角度は回転ハンドルのドラッグで調節できるので、文書に合わせて自由に設定する。位置などを決めるときは「ヘッダーとフッター」タブの「文書内のテキストを表示」をオンにして、本文部分を表示したほうがレイアウトしやすい。ここでは本文を避け、上部のページ罫線に重ねて表示した[注3]。修正が終わったら、「ヘッダーとフッター」タブの「ヘッダーとフッターを閉じる」ボタンをクリックして通常の編集画面に戻る。
[注3]ページ罫線は「デザイン」タブの「ページ罫線」で設定できる。透かしはページ罫線の下に配置されるが、図2のように上に重ねたいときはページ罫線のオプション画面で「常に手前に表示する」をオフにする。
「画像」メニューから図を挿入 ウォッシュアウトで透かしに。
透かしに図を使う場合は「透かし」ダイアログボックスで「図」ラジオボタンを選択し、画像ファイルを指定する(図9上)。図には「ウォッシュアウト」という効果が付けられ、本来の色よりも淡い表示になる(図9下)。サイズや位置などは、文字列と同じようにドラッグで調節できる。なお、図9上の画面で「にじみ」のチェックを外すか、図9下の「色の変更」から「自動」を選ぶと、図は元の色で表示される。
Θ 透かしの文字列を図に変更する。
図9 図3左の要領で「透かし」ダイアログボックスを開く。「図」を選択して「図の選択」ボタンをクリックし、透かしにする画像ファイルを指定する(1)(2)。「OK」ボタンをクリックすると(3)、透かしが画像ファイルの図に変わる。図6左の要領でヘッダーとフッターの編集画面に切り替え、図の透かしをクリックで選択する(4)。「図の形式」タブの「色の変更」メニューを開くと、図に「ウォッシュアウト」が設定されているのがわかる(5)~(7)。
文字列の透かしを消さずに図の透かしも入れたいときは、ヘッダーとフッターの領域に画像ファイルを直接挿入する(図10)。図がヘッダーの行内に挿入された場合は「前面」に変更し、自由に配置できるようにしよう(図11)。あとは「ウォッシュアウト」で淡い表示に変え、文書に合わせて位置などを調節すればよい(図12、図13)。
Θ 文字列と図の透かしを同時に表示する。
図10 図6右の状態(ヘッダーとフッターの編集画面)から操作する。「挿入」タブの「画像」メニューから「このデバイス」を選び、表示される画面で透かしにする画像ファイルを選んで「挿入」ボタンをクリックする(1)~(6)。
図11、ヘッダーのカーソル位置に画像ファイルの図が挿入される(1)。「図の形式」タブの「文字列の折り返し」から「前面」を選ぶ(2)~(4)。これで図は文書内の好きな位置に移動できるようになる。
図12、図をドラッグして配置場所の近くに動かす(1)。「図の形式」タブの「色」メニューから「ウォッシュアウト」を選ぶ(2)~(4)。これで図が透かしと同じ表示になる[注4]。
[注4]図9上と図10下で指定した画像ファイルは同じものだが、挿入後のオブジェクトはタイプが異なる。透かしの図は旧バージョンの仕様なので、「図の形式」タブで設定できるスタイルが少ない。
図13、文書に合わせてサイズ、角度、位置を調節する。サイズは周囲のハンドルのドラッグ、角度は回転ハンドルのドラッグ、位置はドラッグで調節できる。作例では、図の右側をページの外に少しはみ出させた。
なお、文字列の透かしは「テキストボックス」で配置する手もある。テキストボックスは、「挿入」タブの「図形」メニューから「テキストボックス」を選んでドラッグで描く。この方法なら、透かしをいくつでも配置できる。