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スマホみたいな AR グラス専用デバイス が 登場。

◯ Apple Vision Proの対抗馬になるか !

 AR(拡張現実)グラスを提供する中国Xreal(エックスリアル)が、「XREAL Beam Pro」という新しいデバイスを発表した。見た目はスマートフォンだが、ARグラス専用のデバイスだ。ARグラスに接続すると、スマホ向けコンテンツやアプリを大画面で楽しめる。米Apple(アップル)が提供するゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」の対抗馬になり得るだろうか。

ARグラスに接続して利用するデバイス。

 Apple Vision Proの国内販売が決定したことで、再びARに対する関心が高まりつつある。そうした中、ARグラスで知られるXrealが、ARに関する新たな取り組みを発表した。

 同社は2024年6月19日に新製品発表会を実施し、XREAL Beam Proを国内投入することを発表した。XREAL Beam Proは、同社の主力製品であるARグラスではない。そのARグラスに接続して利用するデバイスである。

Xrealは2024年6月19日、ARグラスに接続する専用デバイス「XREAL Beam Pro」を発表した。写真は同発表会から
画1、Xrealは2024年6月19日、ARグラスに接続する専用デバイス「XREAL Beam Pro」を発表した。写真は同発表会から。

 その形状を見ると、限りなくスマホに近い。本体には6.5インチのディスプレーを搭載し、タッチで操作する。OSは、米Google(グーグル)のスマホ向けOS「Android」をベースに独自の機能を追加した「Nebula OS」。「Gmail」「YouTube」「Google Play」を利用でき、Androidスマホ向けアプリも追加可能だ。

XREAL Beam Proの形状はスマホそのもの。Androidベースの「Nebula OS」が動作し、Android向けアプリを利用できる。写真は2024年6月19日のXreal新製品発表会から
画2、XREAL Beam Proの形状はスマホそのもの。Androidベースの「Nebula OS」が動作し、Android向けアプリを利用できる。写真は2024年6月19日のXreal新製品発表会から。

 ただスマホとは異なり音声通話には対応していない。日本向けに投入されるのは、データ通信がWi-Fiに対応したモデルのみである。本体の底面にはUSB Type-C端子が2つ備わっている。一方は充電用、もう一方には「XREAL Air 2」などの同社製ARグラスを接続する。

 つまりXREAL Beam Proは、AR空間上でAndroidベースのアプリやコンテンツを直接利用できるようにする、ARグラス専用デバイスなのである。従来同社製のARグラスを利用するには、スマホやパソコンなどを用意する必要があった。XREAL Beam Proがあれば、別途デバイスを用意する必要がない。

安定的な価値の提供には専用ハードが必要。

 実は、2023年にも「XREAL Beam」というデバイスをXrealは提供している。だがこちらは、スマホやコンシューマーゲーム機といった他のデバイスとARグラスをワイヤレスで接続し、楽しみやすくすることに重きを置いたデバイスだった。

 一方、XREAL Beam Proはデバイス単体でコンテンツを楽しめる。XREAL Beam Proの提供により、同社のARグラスの戦略が大きく変わりつつあることが見て取れる。

XREAL Beam Proと「XREAL Air 2」などのARグラスを接続すれば、他にデバイスを用意しなくてもコンテンツを楽しめる。写真は2024年6月19日のXreal新製品発表会から
画3、XREAL Beam Proと「XREAL Air 2」などのARグラスを接続すれば、他にデバイスを用意しなくてもコンテンツを楽しめる。写真は2024年6月19日のXreal新製品発表会から。

 これまで同社のARグラスは、他のデバイスに接続して利用することに重きを置いてきた。Apple Vision Proのような高機能・高性能を目指さず機能を割り切り、ARグラスの薄型化及び軽量化に注力してきた。それが評価されて、販売を伸ばしてきた。

 だが一方で、外部デバイスとの接続で提供できる価値に限界が見えてきた。スマホやMacに向けては、ARグラス専用のアプリを提供することで価値を高めてきた。だがWindowsパソコン向けのアプリは提供できていない。また実際にアプリを使ってみると分かるが、デバイスによって挙動に差が出てしまう場合がある。

 そうしたことから、外部デバイスと接続して安定した視聴を実現するハブとなるXREAL Beamを提供したと考えられる。だが利用者からすれば、外部デバイスと接続することなくコンテンツなどを楽しみたいというのが本音だろう。そこでより一歩踏み込んで、接続するだけでコンテンツを利用できるXREAL Beam Proを提供するに至ったといえそうだ。

目指すはARグラスの大衆化か。

 ARグラス専用のXREAL Beam Proを提供することは、視聴環境を安定させる以外にもメリットをもたらしている。それは、立体表現が可能な空間ビデオの撮影機能である。XREAL Beam ProとARグラスを用いれば、空間ビデオを撮影し視聴できる。

XREAL Beam Proは空間ビデオの撮影機能も搭載している。ARグラスと接続すれば撮影から視聴までをワンストップで実現できる。写真は2024年6月19日のXreal新製品発表会から
画4、XREAL Beam Proは空間ビデオの撮影機能も搭載している。ARグラスと接続すれば撮影から視聴までをワンストップで実現できる。写真は2024年6月19日のXreal新製品発表会から。

 空間ビデオといえばApple Vision Proが話題だ。だがApple Vision Pro用の空間ビデオを撮影するには専用デバイスや「iPhone 15 Pro」シリーズが必要である。しかもiPhone 15 Proは搭載されている複数のカメラの性能がそれぞれ異なるため、専用デバイスと比べれば撮影の面では不利だ。

 一方、XREAL Beam Proは空間ビデオを撮影するために、背面に5000万画素のカメラを2つ搭載。精度の高い空間ビデオを実現するため、2つのカメラの性能は全く同じにしてある。さらにカメラ同士の距離も、人の目の距離に合わせて設計されているという。空間ビデオの撮影に特化したカメラ設計を実現できたのも、ARグラス専用デバイスだからこそといえるだろう。

XREAL Beam Proの背面には、空間ビデオ撮影用の2つのカメラを搭載。性能は全く同じで、カメラ間の距離は人の目の距離に合わせている。写真は2024年6月19日のXreal新製品発表会から
画5、XREAL Beam Proの背面には、空間ビデオ撮影用の2つのカメラを搭載。性能は全く同じで、カメラ間の距離は人の目の距離に合わせている。写真は2024年6月19日のXreal新製品発表会から。

 それでいてXREAL Beam Proの販売価格は3万2980円からだ。公式ショップでは5万4980円で販売されているXREAL Air 2とセットで購入しても10万円を超えない。およそ60万円で販売されるApple Vision Proと比べると、かなりリーズナブルであることは間違いない。

 ただこれまで触れてきた通り、XrealはXREAL Beam Proで本格的なAR表現を追求するというより、仮想的な大画面でコンテンツを視聴しやすくすることに重きを置いている。追求する方向性や提供する体験価値は、Apple Vision Proとは大きく異なる。

 そうしたことからXREAL Beam Proを投入するXrealの狙いは、アップルに対抗することではなく、ARグラスの使い勝手を向上させて市場自体を広げることにあるといえそうだ。

 とはいえXREAL Beam Proを提供したことで、Xrealは自社単独でARのデバイスからアプリケーションまでを包括的に提供できる立場となった。そのことが将来的に、コンテンツ視聴にとどまらないARアプリケーションの拡大、そしてARグラスのプラットフォーム化へとつながれば、Apple Vision Proの対抗馬となり得る可能性もある。実現できるかどうかは、今後の同社の取り組みにかかっている。


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