〇 NEC製の8.8型タブレット「LAVIE Tab T9」を試す。
8~9型タブレットは2~3万円台の格安製品が売れ筋だ。ただ価格が安いタブレットは搭載するSoCの性能が低く、メモリーやストレージの容量も少ない。アプリケーションをインストールしても満足に動かず、不満を感じて高性能な製品を買い直したという人もいるのではないだろうか。
小型でスペックが高いタブレットが欲しい――。こうした要望に応える製品がNECから発売された。それがAndroidタブレットの「LAVIE Tab T9」である。スマートフォンの上位機種に搭載されている米クアルコム(Qualcomm)の「Snapdragon 8+ Gen 1」をSoCに採用し、高い処理能力がある。
LAVIE Tab T9のラインアップは2種類だ。メモリーが8GBでストレージ容量が約128GBの「T0995/HAS」(実売価格は税込み9万8780円)と、メモリーが12GBでストレージ容量が約256GBの「TAB09/Q01」(実売価格は同10万9780円)である。ただし後者はNECの直売ストア限定となる。今回、NECからT0995/HASを借りられたので、早速レビューをお届けしたい。
2つのUSB Type-C端子を備える。
LAVIE Tab T9の本体サイズは、カメラ位置を上にした縦置き状態で幅129.5×縦208.5×厚さ7.6mmである。ただし厚さはカメラ部分のみ突起しており、それ以外は6.5mm(実測値)だった。画面サイズは8.8型で、実測すると幅118×縦189mmだ。画面解像度は横1600×縦2560ドットである。
本体を縦置きすると、右側上に音量ボタンと電源ボタンがあり、左側上にmicroSDカードスロットがある。左側面中央と下部中央にはUSB Type-C端子を備える。電源ボタンは指紋認証センサーを備えているので、生体認証によるロック解除も可能だ。前面のカメラは800万画素。背面には1300万画素と200万画素のカメラを備える。
2つのUSB Type-C端子はどちらも、周辺機器と接続したり、本体を充電したりするのに使える。本体を充電しながらUSB機器も接続できるので使いやすい。ただし2つのUSB端子のうち、USB 3.2 Gen 2でデータを転送したり、映像を出力したりできるのは、本体を縦置きにしたときの左側にあるUSB端子に限られる。
microSDカードスロットは、内部トレーにカードを乗せて挿入する。付属の工具や先端が細いクリップなどで内部トレーを引き出して利用する。
画面が広く感じ、動作にもたつきなし。
T0995/HASを実際に持つと、仕様よりも薄く感じた。画面のふちが狭く、本体サイズの割に画面が大きく見えた。漫画の単行本とほぼ同じ大きさなので、電子書籍を閲覧するのにちょうどいいのではないか。
本体は角を少し丸めるラウンドエッジ加工が施してあり、手で持つと指になじみやすい。きょう体は金属の質感を残しつつ、非光沢な表面処理をしている。手触りがよく、指紋も付きにくい。背面は「ストームグレー」と呼ぶ濃いめの灰色だ。中央に小さなブランドロゴがあるだけなのでとてもシンプルに感じる。ただし防水や防じんといった機能は備わっていない。
搭載するSnapdragon 8+ Gen 1は「Zenfone 9」(ASUS JAPAN)や「Galaxy Z Fold 4」(サムスン電子)などの高性能スマホが採用しているSoCだ。処理能力が高く、ホーム画面の操作や画面の切り替え、アプリの起動など、動作が一切もたつくことはなかった。有名なスマホ用のベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark」(中国アンツツ)のスコアは13万を超えている。かなり性能が高いといえるだろう。
グラフィックス性能も高いと感じた。3Dグラフィックスを多用する「Call of Duty: Mobile シーズン4」や「PUBG Mobile」といったゲームをプレーしてみたが、高画質設定でも驚くほど滑らかに動いた。負荷がかかるゲームやベンチマークアプリを数回実行しても、本体上部がわずかに温かくなる程度で済んだ。
画面のリフレッシュレートは最大144Hzに対応し、Webページのスクロールが滑らかだった。操作していて心地よい。 Webページに表示された画像の注釈文や、文庫本のルビなどの小さい文字の輪郭がはっきりするので読みやすい。画面の表面は光沢だが反射や映り込みは少なく、赤色や青色、黄色がはっきり描画されて色味のよさを感じた。
バッテリー容量は6550mAhである。USB PD対応で最大68Wの充電器が付属しており、それを利用すると約60分で充電が完了する。付属の充電器が小型なのもメリットだ。NECによれば、Web閲覧ならば約10時間稼働するという。実際に適度なタイミングでWeb閲覧やアプリを利用し、半日程度使ってみたところ、バッテリーは30%以上も残っていた。平日の通勤・通学時に利用するだけなら、1週間に1回程度の頻度で充電しても十分に活用できそうだ。
LAVIE Tab T9のオプションには「デジタルペン3」(税込み1万1880円)と呼ぶBluetoothでペアリングして利用する電磁誘導ペンがある。ペンの筆跡は滑らかだ。まるで紙にボールペンで書くように曲線を描ける。またペン先の細かい強弱も入力されていたように感じた。
利用しているタブレットの性能不足に悩むならお薦め。
OSにはAndroid 13を搭載する。ホーム画面やアプリ選択画面はカスタマイズされているものの、Android標準の画面構成に近い。操作に戸惑うことは少ないだろう。ただプリインストールアプリが多いのは気になった。
搭載するSoCの性能は高く、ホーム画面やスクロールが滑らかに動く。画面もきれいであり、3Dグラフィックスを多用するゲームやアプリも軽快に動作する。約10万円という価格だが、同じSoCを搭載するスマホと比べると同等または安いとすら感じる。現在、8~9型のタブレットを使用していて性能に満足していない人には、ぜひお薦めしたい1台だ。