◯ グーグルの生成AIサービス「Gemini」、概要と基本的な使い方。
文書や画像の生成に便利なグーグルの生成AIサービス「Gemini(ジェミニ)」。最近は「Gmail」や「Google Workspace」といった、グーグルの各種サービスとの連携が充実してきた。本講座では、Geminiの活用方法について紹介する。今回は、文書生成など基本的な使い方をマスターしよう。
グーグルの生成AIサービス「Gemini」を目にする機会が増えてきた。「Google」のサービスメニューに組み込まれたひし形のアイコンを目にしたことのある人も多いだろう。Geminiは「Gmail」や「Google Workspace」などの、ほかのグーグルの機能と連携ができる(図1)。使いこなせば心強い秘書として活用が可能だ。
Geminiには、無料と有料のプランが用意されている。無料プランでも、日常的に使う分には問題ない(図2)。Geminiを利用するには、Googleアカウントが必要だ。まずChromeを開き、Googleアカウントでログインしておく。次に、画面右上の「Googleアプリ」ボタンをクリックし、「Gemini」を選択する(図3)。初めて利用する場合は、登録が必要だ。
GeminiのWebページにアクセスすると、画面下部に入力欄が表示される。この入力欄に指示を書き込むだけで使える。入力中に改行する必要が生じたら、[Shift]+[Enter]キーを押す。
ChromeでGeminiを使っているときは、アドレスバーから直接Geminiに質問できる(図4)。アドレスバーに「@」を入力すると下にメニューが開くので「Geminiに質問」を選び、続けて質問を入力すれば、即座に回答が返ってくる。
文書の作成と修正をする。
まずは生成AI活用の基本である文書作成を試していこう。手紙やビジネス文書など、さまざまな文面を作る際に役立つ。ほかの生成AIと同様、作成したい文書の概要と目的を伝えればよい。
文書作成のカギは、概要と目的をいかに明確に伝えるかだ。加えて、書き手や送り先の情報も伝えると、より意図に合った出力を得やすくなる(図5)。こうしたポイントを押さえて作ったビジネス向けの新年の挨拶文が図6だ。与えた指示に基づいて文書が作成された。
なお、生成AIによる出力結果は、毎回同じになるとは限らない。図5と同じ文章で依頼しても、図6と同じ結果になることは基本的にない。この点は以降で紹介する回答例についても同様だ。
Geminiは文章の校正も可能だ。メールや論文などは生成AIに任せず、自分で一から書きたいもの。しかし、入力ミスや誤変換といった人為的なミスをゼロにするのは難しい。こうした誤りをGeminiに指摘してもらえばよい。入力ミスの訂正だけでなく、文体の調整や読みやすさの向上にも役立つ。
文書の修正を依頼するには、修正対象のテキストを貼り付け、「校正して」と指示するだけでよい(図7)。すぐに入力ミスが訂正された文書が出力される(図8)。また、修正箇所が明示されるため、どの部分が変更されたかを確認できる。仮に不必要な修正があった場合でも、その部分の再修正を指示すれば元に戻せる。
新情報についても回答。
最新の情報に関する質問にも回答でき、ニュースをまとめさせたり、詳細を説明させたりできる。試しに、例えば、1日前に発表された製品について詳細を尋ねたところ、正しい情報を表示した(図9、図10)。参照元のWebサイトへのリンクも提示した。
ただし、必ずしも正しい情報を提供するわけではない。誤った情報であっても、文書の体裁が整っているため、正しいと錯覚する恐れがある。一見正しそうな回答でも、検索結果の最後にある「…」マーク→「回答を再確認」と順にクリックし、生成された内容がWebサイト上に存在するかを確認しよう。
なお、2025年3月上旬現在、「回答を再確認」のボタンはスマホ版だとグーグルの「G」マークのアイコンになっている。パソコン版もアプリ版も、今後デザインが変わる可能性がある。
該当ページが存在する場合は緑、存在しない場合は赤でハイライトされる(図11)。さらに、ハイライトの最後に表示される「>」マークをクリックすると、検索したサイトにアクセスできる。
赤のハイライトの場合は、事実に基づいていない可能性が高いので、自分で確認するなどの注意が必要だ。
米グーグルは2024年12月11日(米国時間)に新しいAIモデル「Gemini 2.0 Flash」を発表した。当初は有料版ユーザーのみが利用できたが、2025年1月末に無料版ユーザーにも開放された。特徴は処理速度が大幅に向上したことだ。それまでのモデル「Gemini 1.5 Pro」の2倍の速度で処理できるという。さらに、テキスト、ビデオ、画像、音声など多様な情報を理解し、テキスト読み上げや画像形式での出力も可能になるなど、マルチモーダル化が進んでいる。画像認識能力も向上しており、画像内の各部分に何があるかを正確に認識できる。
なお、利用中のAIモデルは画面左上に表示されている。この表示をクリックするとメニューが開き、「Experimental」と書かれた試験運用中の最新AIモデルに切り替えて、その回答を試すこともできる(図A)。