〇「Apple Vision Pro」が目指す新時代、眼前に圧倒的な存在感。
「Apple Vision Pro」が、いよいよ北米市場で出荷開始された。今のところ日本語は表示できるものの、文字入力は英語のみ、修理も米国内のみと制約は大きいが、どのような価値をもたらすのか、米国に赴いて入手した。
起動すると、目の前に自分が居る部屋の風景が広がり、見慣れたアイコンが浮遊する様子が見える。近づいてみると精巧な工芸品のようだ。そして、視線を送るだけで、それらはさりげなく反応する。
アプリが表示する情報は、まるで肉眼で眺めているかのようなリアリティーで空間に描写される。
操作の大多数は視線入力に違和感なく置き換えられている。親指と人差し指をタップしてクリックを模倣したように、つまんで手を動かせば、そのままドラッグもできる。
起動すると、目の前に自分が居る部屋の風景が広がり、見慣れたアイコンが浮遊する様子が見える。近づいてみると精巧な工芸品のようだ。そして、視線を送るだけで、それらはさりげなく反応する。
アプリが表示する情報は、まるで肉眼で眺めているかのようなリアリティーで空間に描写される。
操作の大多数は視線入力に違和感なく置き換えられている。親指と人差し指をタップしてクリックを模倣したように、つまんで手を動かせば、そのままドラッグもできる。
眼前に圧倒的な存在感。
「Mac」を開くと目の前に巨大なデスクトップが広がり、そのまま手元のキーボードやトラックパッドで操作できる。Apple Vision Proのアプリで空間に配置したメモやWebの情報を頼りに、Macでのメール処理や文書をまとめるといった作業も可能だ。iPadアプリの大多数もそのまま動き、キーボードを用いて、単独の情報端末としても利用できる。
空間に描かれる情報は、その全てが立体だ。2D表示のように見えるiPadアプリやMacの画面も、近づいてよく見ると、薄い板としてそこに存在しているかのようだ。
そんな板(スクリーンパネル)の上に描かれる3D映像はスクリーンパネルから飛び出る形で描かれるが、異なる点もある。一般的な視差3Dよりも奥行きが自然に表現され、スクリーン枠から大きく逸脱するような立体表現も違和感がない。
最新のレーザー4Kプロジェクターで見る大画面と比べても、Apple Vision Proの方が勝っている部分もある。OLEDパネルは漆黒の黒からの階調を的確に描き、ハイコントラストなシーンでのHDR表現も的確だ。
ホームプロジェクターに投資してきた人は、Apple Vision Proで描かれる映像作品の画質に少なからず感銘を受けるに違いない。銀幕に反射する映像とは風合いが異なるが、体験として素晴らしいことに異論はないはず。
ネイティブアプリなら、表示枠にとらわれず、空間に浮かび上がる物体として表示させることも可能。机の真上で回る地球を眺めながら、グローバルの天候について観察する体験は、まるで何かのアトラクションのように感じるに違いない。
使用中、何かを知らせるアラートは、情報の元となった表示の方から自然に聞こえる。部屋の形まで反映した反響、残響で自然に耳へと届くため、すぐにその情報を見つけられる。
空間の中に映像と音響をコンピューターで描き出し、現実空間と仮想空間をぴたりと重ね合わせて描く本機は、デジタルコンテンツとヒトとの関わり方を変えるだろう。
かつてパンチカードの時代から、画面にテキストが表示される原始的なコンソールの時代、それに現代的なGUIの時代を経て、新たに空間を活用した新しいコンピューターの時代が始まる──そのことを、本機をセットアップしながら実感している。