思いが、浮かんでいる…

少し、うら寂しい
この部屋の、灯りの下
たったひとりだ
考えている、いや…
考えて、いないな
なんにも、考えていない
考えること、無いしね
でも、いや…
思いは、浮かんでいる
その思いは、なんでもない
でもそれは、思いで
思いたくなくても
思いを、思っていて
その思いは
確かに、あるけど
どこに、あるのかな
いや、ここなんだろう
そうだな、ここだな
でも、ここって
どこなんだろう
どこの、ここなんだろう
ここは、どこなんだろう
ここを、ここだと
思っていたから
そうやって、ただ
ここだって
思っていたけど…
まあ、多分
地球上だよな
地球は、太陽の惑星だ
だから、太陽系の中だね
それで、太陽系は
天の川銀河の中にある
天の川銀河は
他の銀河も集まる
巨大な銀河団の
中にあるんだと言う
その銀河団は
別の無数の銀河や
その銀河たちの集まる
それも無数の銀河団と
ともに、大宇宙にある
でも、大宇宙の他にも
別の宇宙はあると、聞いた
なんか、そうらしい
それも、無数か…
だから、きっと
大宇宙なんて
ちっとも、大きくなくて
だから、多分
その芥子粒に過ぎない
大銀河団も
ただの塵芥で
そのまた、芥子粒の
天の川銀河は
塵芥以下だ
そのまた、更に
芥子粒にもならない
太陽系も
その支配者の、太陽も
ましてや、その
惑星に過ぎない
母なる星のはずの
この地球などは
限りなく極小の、極小
まあ、微粒子以下か
その極小の世界の
そのまた、極小の空間
そこが、ここ
きっと、そう
でも、そこは
そこのここは
どこのどこ❓…
こうやって、おまえは
この、どこだか分からない
この部屋にいて
ごろっと、転がっていて
それで、なんとなく
うら寂しい灯りの
頼り無げな光を
ぼうっと、眺めている
そして、こうして
意識があって
その根無し草の空虚に
思いが、浮かんでいる
とにかく、あれだな
地球上には、いるんだよね
いや、そうかな
地球は、丸いから
反対側が、上かも知れない
おまえは、地球に
その引力のおかげで
ぶら下がっていて
意識は、そのおまえに
ぶら下がっていて
その意識が
本当のおまえ
危ういおまえ
思いが、ぶら下がっている
そうなの、だろうか…