なんか、おかしいなって
だって、しろより
ちびの方が、ずっと
先を、歩いている
こんなこと
今まで、なかった
その頃には
いぬたちの散歩は
もう、家族で一緒に行くなんて
なくなってしまっていて
自分か、妻か
そうでなければ、次男が
しろとちび、二匹を連れて
一人で、散歩に
連れて行くのだった
そこそこのサイズの
いぬが、二匹だから
散歩に、一人で
連れて行くのは
そんなに楽ではない
まあ、リードを
時に絡めたりして
二匹が、あんまり
自由に、あっちこっち
行けないように
工夫して、散歩していた
まあ、自分は
体重90kgを、
超えちゃったりもしたから
重さで、二匹を
強引に、押さえつけてたけど
妻は、なんでも器用だから
普通に、上手く
二匹を、操ってるんだ
でも次男は、最初
一人で、行き始めた頃は
あっちこっちする
二匹を、上手く捌けなくて
引き摺り倒されて
泣きながら、散歩に
行っていたことも
あったんだよな
でも、次男は、やがて
家族で、一番
大柄に、なっちゃって
楽々と、二匹を
引き摺り回していたけどね
ただ、しろとちびも
ちょっと、歳を取って
おじいちゃんと、おばちゃんに
なってしまっていく
そんな頃だったんだ
自分が、ちょっと
違和感を、感じたのは
知らず、何故か
しろより、ちびが
先を歩くようになった事を
気づいた時だ
そうだ、しろの
リートの引きが
随分、弱くなってるな、と
大袈裟に言えば
しろは、ちびの
倍は、引きが強かったんだ
確かに、おじいちゃんには
なってしまったんだよね
でも、こうして散歩していて
気がつくと、リードは
引っ張られていない
ちびは、まだ引っ張るけど
しろは、もう
自分と、一緒の足取り
あちこち、嗅ぎ回ろうと
したりもしなくて
楽で、良いんだけど
なんか、おかしい
しろは、ずっと
ずっと、元気の良い
疲れを知らない
脚も速い
性格の弱さは
ともかくとして
体力では、滅多に
どのいぬにも負けない
そんな子だと
思い込んでいたから
でも…
なんか、おかしい…