画家になりたかったようだ
実家は、K県なので
県内には
セレブの住む地域がある
父親は、その街に在住の
高名な画家さんに
自作の油絵を持ち込んで
弟子入りを志願したらしい
小学校の教師だったし
当時、安月給でも
地道な公務員
諭されて、返されたらしい
当たり前だよね
油絵の道具は持っていたし
おまえが、引き継げなかった
手先の器用さはあった
だけどさっ
いきなり、そこへ行くか❓
何故、そんな風に思ったのか
かなり、あり得ない
あんまり、経緯は
よく知らないけど
母親から、ちらちら聞いた
中三で亡くなる迄
本人にその時の話は
聞いた事もない
体よく門前払いで
黒歴史だったのだろう
父親は、スマトラから
一年遅れで復員
蘭軍の手先になって
現地の独立軍と戦ったから
長男が復員して
安心した祖父は
程なく亡くなり
父親は、教師に復職
祖母と
仕事の見つからない
次弟のの叔父と
重い結核の末弟の叔父と
やがては、祖母に逆らい
幼馴染の紹介の
母親と結婚
兄を授かる
とにかく、戦後は
地方の末端公務員など
収入はど底辺
それなのに
乳飲み子を抱えた
母親を残して
県内のHねに
写生旅行をしたらしい
母親、絶望
そりぁそうだ
その時描いた中の
自信作を持ち込んだのだろう
結局、思い直して
教師を続けた訳だ
場合によっては
おまえは、生まれなかったかも
それにしても、だ
父親から
手先の器用さは
引き継げなかったけど
現実逃避気質は
引き継げたのかも知れない
ただ、さすがに
おまえは
父親よりは
自分の現実に
少しは、自覚はあったかな…