こんな宵にもなって
ふと、ただ不意に
突然、取り止めもなく
思いが湧いてきたんだ
思い立ったんだ
歩こう❗️
確かに、もう
会社を、辞める前から
決めてはいたんだ
歩こう
それが良い
歩くこと
難しいことじゃない
歩く
それだけ
でも、最終日の
昨日迄、残業だよ
希望退職で
大量退職の
あの会社は
確かに、バブル崩壊の
成れの果てで
混沌、混乱の極みで
その残務整理と引き継ぎは
ただ、必死の忙しなさで
もう自分は
ただ、疲弊
ただただ、疲弊
辿り着いた我が家では
泥のような眠りについて
昼前に、やっと
薄ぼんやりなままに
やっと、起きたんだ
さあ、何をしようかなんて
思うはずも、なかったんだけど
でも、ふと…
凍てつく空気は
頰をかすめているけど
でも、このハーフコートも
纏った身体は
汗みずくだ
でも、その汗は
頬を斬る寒気にも
凍りもせずに
滴り落ちて
口元を、濡らすんだ
コートなんて、いらなかったな
もっと、行ける
いや、無理だ
いやいや、もっとだ
でも、無理だよ
気持ちは、すっかり
行きつ、戻りつだけど
でも、今は
なんの、かんので
ここまで、来ちゃったら
たいして、変わらない
もっと、行くぞ
人っ子一人いない
闇に沈んでる
巨大な県立公園
よし、今度は
裏道だ
幹線を外れれば
人気どころか
たまに、通っていた
あのクルマの
ヘッドライトや通過音も
消え果ててしまった
でも、自分には
大怪我の後遺症だってある
この頼りない脚しかない
いったい
この深く沈んで
なんにもない
田舎の裏道の
深い闇の底から
自分は、自分を
引き摺り上げることなんて
出来るのだろうか…