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竹内時計店 鳳本通商店街

時計・宝石・貴金属

オーバーホールについて6

2005-06-06 14:43:21 | Weblog
歯車などは、歯の欠けや曲がり
などが無いか確認します。
針合わせの歯車類を外したら、
表側を分解していきます。

書き忘れてましたが、
自動巻き機構はケースから出す前に
外してました( ;^^)ヘ..


オーバーホールについて5

2005-06-04 12:38:12 | Weblog
このムーブメント2892は良く使われている
のでいいのですが、初めて分解する
ムーブメントの場合は、組立て方を
考えながら分解していきます。
わからなくなりそうな所は、スケッチしたり
デジカメで撮影しておきます。
また、ムーブメントを製造しているスイスのETA社では、
サイト展開図を置いていますので、それも参考にします。

不具合の修理は、分解しながらしていきます。

写真はカレンダー機構を外した所で、
歯車が見えてるのは、針合わせ機構の歯車です。

オーバーホールについて4

2005-06-03 17:58:34 | Weblog
文字盤と針の取り外しは、特に慎重にします。
文字盤は汚れを付けると取れないんですよ。
しかも、お客様が一番見る所ですから(^_^;)
汚れてたらすぐにわかります。

で、慎重に文字盤を外したら、
カレンダー機構の歯車が見えます。
こちら側がムーブメントの裏面になります。

裏面のカレンダー機構から分解していきます。

オーバーホールについて3

2005-06-01 19:47:05 | Weblog
ムーブメントを取り出したらもう一度巻き真を差込み、
秒針、分針、時針を重ねます。
ここで一応秒針分針を確認します。
秒針と分針が擦れています。

針抜き工具で3本の針を重ねたまま外します。
このとき、文字盤にキズが付かないように
ビニールを被せて針を抜きます。

次に文字盤を外します。
ムーブメントのへんしんネジを
半回転させると文字盤が外れます。

オーバーホールについて2

2005-06-01 18:48:33 | Weblog
つぎに、埃をはらって裏蓋を開けます。
8本のマイナスネジを外したら、裏蓋が取れます。

ムーブメントは、ETA2892ですね(^_^)

それでは機械を取り出します。
ケースの中枠と機械を止めているネジ2本を
外して、巻き真を引き抜きます。
そうしたら、中枠とムーブメントが取り出せます。

オーバーホール(overhaul)について1

2005-05-30 22:14:48 | Weblog
辞書には、
「機械などを分解して点検や修理を行うこと。
一定の使用期間を経た機械・エンジンなど
を分解して検査・修理すること。」
となっています。

時計のオーバーホールも分解して修理するのですが、
ご要望がありましたので具体的にどういう事をしてるのか
順をおって紹介していこうと思います。

オーバーホールする時計は、
極端な進みという事で修理する事に
なりましたブルガリのアルミニウムです。

まず、外装から調べます。

ケース、ガラスのキズなどを確認。
現在時刻と合っているか、
動いているか、止まっているかを確認。
龍頭を回してゼンマイが巻けるか、
一段引いてカレンダーの早送りができるか、
二段引いて時刻修正が出来るか、
秒針が止まるか確認。

ここで、分針の一部に黒い塗装が
剥げているのを発見しました。
写真では小さいので分らないですね(ーー;)
原因は秒針と分針が擦れているっぽいです。
分針がずれたようで、落としたりしたのか
強い衝撃を受けた事が予測されます。

つぎに歩度測定機にかけてみます。
コチコチ音で時計の進み遅れを測定
する機械ですが、シャリシャリという
雑音が入っているので測定できません。
ヒゲゼンマイが擦れている事が予想されます。
分針がずれた時の衝撃でヒゲゼンマイも
曲がってしまったんじゃないかと思います。

こういう風に、蓋を開ける前にある程度
故障箇所を予測しておきます。

電池の寿命4

2005-05-26 20:42:35 | Weblog
電池容量と消費電流がわかれば、
簡単な計算で電池寿命を知る事ができます。

電池寿命(時間)=容量÷消費電流

マクセルのサイトにマクセルの酸化電池の表があるんですが、
ここには参考値として電池容量が載っています。
ただし、条件が書いていて
「標準容量は、20℃において標準放電電流で、
1.2Vまで放電した場合の容量です。」となっていますので、
実際には違う値になると思いますが、
私の腕時計では電池がどのくらい持つのか
計算してみます。ちなみに、取説によると5年です。

時計はセイコーのキャリバー7N43C。
電池は、SR920SWなので容量39mAh(ミリアンペアアワー)
テスター(回路計)で測定した消費電流0.95μA(マイクロアンペア)
1000μA=1㎃なので、単位をμAにあわせて計算します。
39mAh×1000=39000μA

これで、式に当てはめると、
39000㎂÷0.95㎂=41052.63158時間
41052.63158÷24=1710.526316日
1710.526316÷365=4.686373468年

4年7ヶ月ぐらいなんで、取説との差は5ヶ月。
微妙(^_^;)



電池の寿命3

2005-05-23 17:48:31 | Weblog
2のつづき

で、なぜ電池の消費量が規格値より多くなるのか。

結論から言うと、ほとんどの場合、
歯車の軸の油が乾いてきたり、
汚れてきたりすることにより、
摩擦が増大して、歯車を回転させるのに
より多くの力を必要とするからです。

クォーツ腕時計は歯車を回すために、
回路から1秒に1度動かすための信号が
発信されます。
業界では、パルスと呼んでいるんですが、
回路からパルスが出た時に、
何らかの抵抗があって歯車が
1秒分回転しなかった場合、
回路がそれを感知してより強い力を
出すパルスを発信するのです。

セイコーでは、補正駆動パルス方式
と呼んでますが、今のクォーツ腕時計は、
どのメーカーのものも殆んどが同じ機能を備えています。
補正駆動パルスが発信されると、
1度目のパルスと2回目のパルスで、
単純計算で最低でも、電池の消費は2倍以上になります。

こうなった場合どうすれば良いかと言うと、
分解して洗浄し新しい油をさせば、
規格どおり電池が持つようになります。

電池の寿命2

2005-05-23 12:17:42 | Weblog
クォーツ腕時計の電池寿命は取扱説明書などに
約X年という風に書いていますが、
その半分の期間も経たずに
電池が切れてしまう
事があります。

使用していて特に遅れや止まりもないので、
「電池が古かったから?」って
ほとんどの方は思われるでしょう。

もしかしたら、そういう事もあるかもしれませんが、
たいていこういう場合は、テスター(回路計)で機械の消費電流値を
計測するとメーカーの規格値を大幅に超えています。
つまり、電池の消費量が規格値より多くなる
車で言うと燃費が悪いって事です。


電池の寿命1

2005-05-22 16:29:28 | Weblog
よく腕時計のバンド交換などのついでに、
「いま入ってる電池、いつまで持ちますか?」
って感じで聞かれたりします。

はっきり言って、それは判りません(^_^;)

電池の残り容量を測る機器は、未だに開発されていません。
テスターやバッテリーチェッカーで測れるのは、電圧なんです。

一般的なマンガン乾電池などでは、
容量が減るにつれて電圧も減ってくるので、
バッテリーチェッカーで電圧を測れば予測することができます。

しかし、腕時計に使われている酸化銀電池は
時計の精度を保つ為、電池寿命が尽きる直前まで電圧が
一定に保たれるようにつくられているので、
バッテリーチェッカーで電圧を測っても、
全容量の何割が残ってるかなどを知る事はできません。