よろず戯言

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交響組曲ドラゴンクエストⅩ

2013-04-15 22:11:02 | 音楽

休みを利用して、初めてクラシックコンサートへ行った。

福岡市にある、多目的複合施設、アクロス福岡

そのなかにあるコンサート・イベントホール、シンフォニーホールにて開催された、

“ファミリークラシックコンサート ドラゴンクエストの世界 in 福岡

九州交響楽団×すぎやまこういち 交響組曲ドラゴンクエストⅩ目覚めし五つの種族” 。

 

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右のチラシは次回、京都で開催されるときのもの。

 

このブログで新旧ジャンルを問わず、いわゆる“J-POP”をよく紹介しているので、

ブログをずっと読まれている方には、自分にそんなイメージがないかもしれないが、

実はクラシック音楽が好きで、初めて買ったCDはチャイコフスキーのバレエ組曲集だったりする。

 

これまでもクラシックのコンサートに興味があり、何度も行こうと思ったが、

敷居が高く感じられ、なんとなく二の足を踏んでしまい、行けずじまいだった。

高校生のブラスバンドのコンクールみたいなのや、

消防局や自衛隊駐屯地の演奏部隊が地方のイベントなどでやっている、

演奏会みたいなのは鑑賞したことはあれど、

交響楽団による本格的なオーケストラコンサートを鑑賞するのは今回が初めて。

 

ドラゴンクエストの音楽といえば、大先生、すぎやまこういち氏。

今回のコンサートで、氏自らが指揮者としてタクトを振る。

「青少年のオーケストラ入門になれば・・」という、氏の希望で、

このドラクエのオーケストラコンサートは定期的に開催されていて、

その存在も前々から知っていた。

 

ドラクエの音楽に興味があれど、実は過去にプレイした作品で、

それほど音楽に対してあまり印象がなく、

コンサートに対してもあまり興味がなかった。

 

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パンフレットに記載されていた、すぎやま先生と九州交響楽団のプロフ。

 

が、今現在、ドラクエ初のオンラインゲームとなった、ドラゴンクエストⅩに大ハマリし、

毎晩ログインしてその世界と共に音楽も楽しんでいる。

今回のコンサートは、そのドラクエⅩの音楽が生演奏のオーケストラで聴ける!

先日発売されたWiiU版のドラゴンクエストⅩも、音楽がフルオーケストラということで、

それだけのために購入を検討しているくらい。

 

これは・・・行かなきゃだめだ!!

10日連続勤務の休日が、見事にコンサートの日と一致し、

まだ当日券もあるとのことで、もうこんな機会は二度とないかもしれない!

すぐにアクロス福岡へ向かった。

 

 

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アクロス福岡。

巨大なガラス張りの階段のような建物。

九州国立博物館ほどではないが、こちらもソーラーシステムミラーっぽい。

建設中(ミラー並べ中)のやつね、なので出力70%。 

 

天神の大通り、階段状の独特な形状をしたガラス張りの巨大な建物が見えてくる。

地下の専用駐車場に車を止めて、シンフォニーホールのある一階まで登ってくる。

1時間前だというのに、人混みができていた。

その多くが手にニンテンドーDS。

はは~ん、さてはダブルすれ違いのために、

みんな冒険者の便利ツールをいじってやがるな!

 

しばらく待つと、当日券売場が開き、ホールの入口も開いた。

どどっと人がホールに入ってゆく。

それにしても・・・3~40代が中心だろうか、ラフな格好に残念なヘアスタイル、

リュックやら大荷物の、明らかにそっち(いや、こっちか・・)系のおっさんが多い。

一見して、いわゆる“腐女子”と呼ばれるような、オタク系の女子も多数。

 

・・・と思えば、上品な出で立ちのマダムや紳士、きれいなおネエちゃん達も居るし、

子供を連れたお父さんや、夫婦、大学生カップルなんかも居る。

ドラクエということで来た人らと、純粋にオーケストラコンサートを鑑賞しに来た人、

これらが一緒くたになっているようだ。

老若男女、ブルジョワ一般・・・これだけ色んな層の人が集まるのは、“ドラクエ”だからだろう。

 

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コンサート・セットリスト。

CD、“交響組曲ドラゴンクエストⅩ目覚めし五つの種族”と同じ構成。

 

全席指定のホール、チケットに表示された座席に座る。

おお!これはド真ん中だぜ!

S席の中央ド真ん中!!

当日券の割にいい席が買えたぜ!!

 

・・なんて喜んでいたが、こういうオーケストラだと、

二階席なんかの方がよほどいいと、後から気付く。

現に二階,三階席の舞台の横らへんは、制服姿の女子高生らで埋められていた。

日曜なのに制服姿、ブラスバンド部とか、そういうのに所属している子たちかな?

あそこから鑑賞すれば、奏者たちの息づかいから指使いまで、はっきりと観察できるのだろう。

自分の席からは、オーケストラで中間辺りに座っていた、

フルートやクラリネット、ファゴットの奏者がよく見えなかった・・・。

 

自分の左側座席ふたつ向こうに、腐女子ふたり組。

DSを手に、ドラクエⅩの会話をずっとやっている。

それをサントリー・サタデー ウェイティング・バーの教授のごとく聞き耳しつつ、

二人の会話にかたりたい衝動を抑えるおっさん。

心のなかで相づちを打ったり突っ込んだりする、さみしいおっさん。

 

その腐女子ふたり組の横、自分の左真横には、

こぎれいで上品な格好の、いかにもお嬢様といった感じの女性二人組が座った。

受付でもらった開催予定のコンサートやイベントのパンフレットを見ながら会話。

いろんな指揮者や奏者とおぼしき名前が飛び交うが、よく判んねえ・・・。

どうやらこの二人はその身なりが示すとおり、

ドラクエに関係なく、純粋に音楽を鑑賞に来たのだろう。

 

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町のBGMでは、その町の営みが、プレイヤー達の声が聞こえてきそうだった。

 

真後ろにはオバハン二人組。

チラっと見ると、やっぱりこういうコンサート会場や美術館などで見かける、

あざとく着飾ったマダム二人組だ。

その会話内容がまた、

「**さんはどこのチーズでしたっけ?」

「うちはベルギーのビールしか飲まないから・・。」

「**さんなんか第三のビール飲んでるのよ! 信じられない。」

 

やれやれ、こんな会話もまた楽し・・・と思っていたら、

「あれね、全種類買って食べてみたのよ。」

「ふんふん、で?」

「味噌がいちばん美味しかったわね、もやし入れすぎて薄くなっちゃったけど。」

今度は何の話だよ?って聞いていたら・・・マルちゃん正麺

マダムは即席麺もブルジョワでした。

そういやまだ食ってねえな、マルちゃん正麺。

 

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花の民プクリポ・・・

プクランド大陸のBGMでは、トンブレロとの追いかけっこが。

 

周りを見ると、DSをいじっている人が多い。 

ここで自分もこっそりとポケットに忍ばせていたDSを取り出す。

すれちがいMii広場も、マリオカート7も、そしてドラクエⅩのおでかけ便利ツールも、

すれ違い10人マックス!そりゃそうだわ。

開演までの待ち時間に、どんどんすれ違いを確認しては、新しい10人を迎え入れる。

 

だが、ここで問題が発生。

すれちがいMii広場とマリオカートはいい。

ドラクエのおでかけ便利ツールは、DSですれ違った人を専用のサーバーへ転送し、

WiiのドラクエⅩオンライン上でダブルすれ違いが達成できるようになる。

これの上限が30人・・・思い出の人リストを加えても50人ときたもんだ。

こんなんで足りるわけがねえ・・・。

泣く泣く途中で諦めた・・・。

せめて100人くらいに増やしてつかあさい。

 

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火の民オーガ・・・

オーグリード大陸のBGMでは、巨大なバオバブが。

 

壇上に奏者が現れた、ひとり、ふたり・・・ポツポツ現れては、各々楽器を吹いている。

デモンストレーションというか、ウォーミングアップというか、そんな感じ。

ここでまた後ろのマダム二人組の会話が聞こえてくる。

 

 

「“どらくえ”って知ってる?」

「ううん、知らないわ、子供達に人気なんでしょ、“どらくえ”。」

「みたいよね、みんな観てるらしいわよ、“どらくえ”。」

「すぎやまさんが指揮されるってことは、“どらくえ”に関わっているのかしら?」

・・・お前ら、そのステータスと身なりはこの会場にふさわしいが、

このドラクエコンサートを聴きに来るには、もっともふさわしくないわ! 

 

そうこうしていたら開演のチャイムとアナウンス。

さっきまでウォーミングアップしていたのだが、いつの間にか壇上から奏者がひとりも居なくなっていた。

ほどなくして、どっと奏者が両袖が登場し、会場内に拍手が鳴り響く。

一斉に持ち場について着席。

ひとりのバイオリン奏者が遅れてやってくる。

コンサートマスターとかいう、素人にはよく解らない役のひとらしい。

 

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土の民ドワーフ・・・

ドワチャッカ大陸のBGM、のどかなガタラ原野が浮かぶ。

 

いっせいに音合わせが始まり、それが止む。

そして・・・タクトを手に、小さな老人がひょこひょこと現れた!

ひときわ大きな拍手が一斉に起こる。

遂に、すぎやまこういち先生が現れた!

 

客席に一礼し、タクトを構え両手を大きくかざす。

一斉に構える奏者たち。

すぎやま先生の手が動くと同時に、ドッッッ!!と序章Ⅹの演奏が始まった!

オーガの女戦士に助けられた後、空を見上げて太陽光一閃、

大地の箱舟号に乗った人間の戦士・・・オープニングのあの光景が頭に浮かぶ。

もうこの時点で目が潤んできて・・・。

 

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風の民エルフ・・・

エルトナ大陸のBGM、アズラン地方の林が浮かぶ。

 

序章の演奏が終わり、マイクを手にすぎやま先生が挨拶。

自身の幼少の頃の音楽との出逢いや思い出を語る。

これが面白くて、会場から笑いが起こる。

その風貌からじゅうぶん伝わってきていたが、すごくユニークな方だ。

 

途中、こういったMCが、第一部に数回折り込まれた。

子守歌代わりに祖母に賛美歌を聴かされていたが、賛美歌なのにコブシが利いていたとか、

幼い頃にチンドン屋の後をついて行って迷子になってしまったエピソードやら、

自身が現在DSのドラクエⅦをプレイ中で、ようやくダーマ神殿にたどり着いたとか。

どれも聞いていて楽しい。

オーケストラ指揮者なんて、堅苦しくて気難しいようなイメージを抱いていたが、

すぎやま先生だったからなのか、そんなイメージが払拭された。

 

それから客席に向かって、すぎやま先生が問いかける。

「ドラクエⅩをプレイしている方、したことのある方、手を挙げてみてください。」

当然自分も挙げたが、これが・・・すごい人数!

うおお!こんなにプレイヤーがいっぱい。

「ではⅠからⅨまでいずれかでもやったことのある方・・。」

さっきのⅩで挙手した人を合わせれば、会場を埋め尽くすほどの手が!!

ここで隣の上品なおネエちゃん二人も手を挙げた!

 

おお!

こんなゲームなんて無縁そうなおネエちゃん達がドラクエを!?

テリーが嫌いでハッサンが好きなら友達になりたいです。

「ほぼ全員ですねー!!」 

驚き、そして喜ぶ、すぎやま先生。

俺の真後ろに、手を挙げられない二人組が居るぞ!

 

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水の民ウェディ・・・

ウェナ諸島のBGMでは、美しい海岸が。

 

生のオーケストラはすごい・・・。

聞き慣れた町のBGMが、本当に息吹きが感じられる。

音楽とともに、そこかしこから、ジャンプするエフェクト音や、ドアの開く音、

ルーラストーンを使う音が聞こえてきそうだ。

加えて、「ありがとう」「またねー」とか、

「レベル35のさいほうさん~」とか、「くさりのあみごて☆☆☆ができた!」とか、

そんなフキダシさえ見えてきそうな臨場感。

 

王宮のBGMはより荘厳で、フルートはじめ管楽器のハーモニーと、

コントラバスとチェロの重低音と高音の混ざった重厚な音楽。

ドルワーム水晶宮やメギストリス城の豪華絢爛な装飾や、

ガートラント城の物々しい石像群に、ヴェリナード城の白亜の迷宮。

色んな光景が頭に浮かぶ。

 

戦闘BGMもすばらしい。

聞き飽きただのバリエーションが欲しいだの、ああだこうだ言われるザコ戦のBGMも、

オーケストラだと、危機迫る緊張感がたまらない。

暇そうにしていたトランペットがここで大活躍。

 

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ザコ戦,ボス戦ともに戦闘BGMはとにかくかっこよかった。

全体的に出番の少なかったトランペットが一番の見せ場になる曲。

 

そして各大陸の種族のテーマ曲。

花の民プクリポでは、綿毛が舞うなか、トンブレロやアルミラージが頭に浮かび、

土の民ドワーフでは、遺跡のある野原で、スカルガルーがウロウロ、

水の民ウェディでは、常夏の海岸で、ゆらゆらとしびれくらげ、

風の民エルフでは、涼しげな雑木林で、あばれこまいぬが徘徊し、

火の民オーガでは、ガートラント領のそびえる巨大なバオバブが頭に浮かぶ。

 

どの曲もたまらず、思わず涙がこぼれる。

なんだろう・・・感動したとかそういうんじゃなく、よく解らないが涙が出た。

映画のように客席が真っ暗になるわけじゃなく、明るいまま。

そんななか、客席のド真ん中で涙を流してオーケストラを鑑賞するおっさんひとり。

はたから見たら、完全にイッてる。

 

第一部が終了し、インターバル。

そこでまた後ろのマダム二人の会話が聞こえてくる。

「“どらくえ”観てる人達は、曲聴いててシーンが頭に浮かぶのでしょうね~。」

「私たち“どらくえ”観てないからね・・・。」

いいかげん、その“観る”って表現なんとかしろや。

さっき、すぎやま先生がDSでプレイしてるって、おっしゃってただろ?

あ、もしやゲームだと認識してないか・・・。

ここまでくると、DSだのWiiだの言っても「?」なのかもしれない。

 

後半の曲は判らなかった。

おそらく、ラストダンジョン~ラスボス~エンディング~エンドロールなのだろうが、

まだ聴いたことのない曲だったので、いまいちイメージが沸かなかった。

クリアしてひととおり聴いていれば、またここでも号泣していたかもしれない。

 

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カミハルムイやスイの塔の、純和風の雅楽テイストの音楽も演奏された。

琴や鼓,篳篥(ひちりき:神事でおなじみ東儀秀樹さんのあの笛)がなくても、

ハープやパーカッション、フルートなどで巧みに演奏された。

 

アンコールには、すぎやま先生が現在プレイ中のⅦから2曲。

客席から歓声があがった、きっと人気曲なのだろうが、

Ⅶは未プレイなため、こちらもよく判らなかったが、

曲タイトルからシーンの雰囲気が感じられる いい曲だった。

 

そして、再アンコール。

すぎやま先生の口から威勢良く、本当に最後の曲が発表される。

「最後にもう一度、序章やります!」

ドッと巻き起こる歓声と拍手。

これこれ、やっぱりこれが“ドラクエ”だ。

興奮醒めやらぬままに、ドラクエⅩオーケストラコンサートが終了した。

 

5月に東京八王子で、7月に京都で、9月には札幌で同コンサートが行われる。

ドラクエⅩプレイヤーで音楽に聴き惚れているひとは行くべし!

 

Cd

思わず・・・というかあれ聴いた後にゃ買ってしまうわ・・・。

Ⅹに限らず、これまでのドラクエのCDがずらりと販売されていた。

特典でジャケットを鳥山イラストに差し替えられるステッカーをいただいた。

 

いや~初めてのオーケストラコンサート、最高だった。

ホール出口でドラクエに限らず、すぎやまこういち氏関連のCDが販売されていた。

ドラクエⅩのオーケストラCDを購入したのは言うまでもない。

ホールの外では、あちこちでプチオフ会らしきものが行われていた。

きっとどこかで、プレイヤー同士が呼びかけあって会ったりしたのだろう。

 

うらやましいと思いつつ、そのプレイヤー達の間をすり抜けて、地下駐車場へ戻る。

駐車料金、1,600円也。

高ぇーーよ、アクロス!

映画一本観れんじゃねえか!

 

 

 

Photo

福岡のみならず、大分,熊本,長崎,宮崎,鹿児島・・・

沖縄,山口,広島,岡山,兵庫,・・・東京・・・広範囲の人とすれ違った。

 

そして、すれ違い人数も500人を突破し、ここにきて九州でずっと空白のままだった佐賀の人と、

ようやくすれ違い達成。それでもたった一人きり。

隣なのに、SAGA・・・。 

 

 

 



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