ヴィンテージ杏酒

梅の実がみのり、もうじき梅酒のシーズン。

スーパーなどで、梅の実といっしょに、

果実酒用のガラス瓶をはじめ、ホワイトリカーや氷砂糖も一緒に並ぶ。

当然、梅干し用の天日干し用のざるや、赤シソ，食塩なんかも並ぶ。

毎年、この梅酒／梅干し作りを恒例にしている方も多いのではなかろうか。

　

自分は梅酒を作ったことがない。

だが、数年前に作った、杏のお酒がある。

その年の盆過ぎ頃から飲みはじめたのだが、だんだんと果実が邪魔ですくえない量になり、

だからといって、もったいなくって果実は捨てることができず、

梅酒の梅の実と異なり、杏の実は一度に複数個食べるのは けっこうきついし、

そうして以来・・・放置。

あれからどれくらい経っているのだろうか？

　

　

昨年観た映画、綾瀬はるか主演の海街Diaryで、10年物の梅酒が登場する。

そのシーンで、自分もこの杏酒のことを思い出す。

いや、忘れていたわけではないのだが、もはや飲めやしないだろうし、

それを片付けるのも、なんだか億劫になり、放置していた。

ただ、10年経とうが梅酒が飲める、いや逆にまろやかになって美味しいらしい。

劇中では亡きおばあちゃんが作った最後の梅酒らしく、貴重なものとして画かれていた。

じゃあ、あの杏酒も、より美味しくなっているかもしれない。

　

　

だが、けっきょく面倒で、杏酒を引っぱり出すことはせず。

そうこうしていたら、さらに時は流れて一年近く経った。

先日、地上波初登場で、海街Diaryがテレビ放映された。

そうして再び思い出す。

いや、決して忘れているわけじゃあないんだけどね。

瓶は部屋の隅っこの目に着く所に置いてあるわけだし・・・。

まあ、なんだかんだで、いい加減これを開封しようと、重い腰をあげた。

　

　

杏酒を漬けたことを書いた記事の日付を確認したら、2012年の7月になっていた。

なんだ、ずいぶん長いこと放置してたつもりだったが、たった4年しか経っていない。

この程度じゃ、"ヴィンテージ"なんて大げさだな。

こりゃ、全然大丈夫だろう。

埃まみれになっていた瓶を引っぱり出し、きれいに拭いて、ふたを開けてみた。

ふわっと果実酒独特のアルコールの匂い。

果肉にも腐敗している様子はなく、お酒も濁ってなく、瓶にカビなども確認できない。

さっそく、飴色のきれいな杏酒を お玉ですくい、ロックで4年もののそれを味わってみた。

　

まろやかになっている・・・のか？

正直、できたて当初の味をほとんど覚えていないので、なんともいえない。

ただ、底の方なので、なにぶん濃い。

フルーティーさはあまりなく、ブランデーみたくとにかく濃い。

ロックでもきつかったので、炭酸水で割った。

できたてのときは、確か杏露酒のように、もっと甘くってフルーティーで軽かったはず。

ついでに取りだした果実も食べてみた。

　

　

これは・・・きつい！

いや、ドぎつい！

粒の大きさと果肉の柔らかさもあって、梅酒のそれとは比較にならない。

焼酎をたっぷりと含んだ、アルコールの爆弾。

グラスに二杯ほど飲み、4粒ほど果肉を食べ、そっとふたを閉めた。

　

前に梅酒の果肉を利用して梅酒ゼリーを作っていた方のブログ記事を読んだことがあった。

あれを参考に、残った杏の果実で、杏酒ゼリーを作ってみるか？

お菓子づくりなんてやったことがないから、どうなるか判らない。

そういや、やはり4年前になるのかな？

その年に同じことを思い立って購入していた粉ゼラチンが、棚の奥で眠っていた。

　

よし決めた。

今年こそ杏酒ゼリーをつくり、杏酒も飲み干し、空いた瓶で新たな果実酒をつくろう。

そうしてまた、一年で飲みきらずに、数年 寝かせてしまうのだろうな・・・。