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JJY(40kHz)受信用 クリコンの製作

2022-03-07 17:45:20 | 電子工作

0-0.はじめに(その1)

 〔注意〕「0-0.はじめに(その1)」はこの「クリコン製作」の前段ですので、飛ば

して頂いてかまいません。「0-1.はじめに(その2)」からがクリコン製作の開始とな

ります。

 (自分の年齢のことも考え)そろそろ手持ちのパーツ類の整理をやり始めたら、初期の

TTL-IC (74LS192 等)が出てきました。あまり使ったことがなかったものの、捨てる前に何か

いたずらしてみようと考え、最も初歩的な「分周」をやってみることにしました。

 使い方等はすっかり忘れているので、「実用電子回路ハンドブック」を取り出しブレッド

ボード上に組んでみれば少しは思い出すだろうと考え、回路を探し始めました。ところが、

基本的な論理についてはなんとか理解できるのですが、"PRESET"と"CLEAR"端子の使い方が

分かりません。しばらく悩んで友人に聞いたところ、これらの端子を利用しないで分周できる

とのことでした。

 それではと言うことで、5,120kHzのX-talを発振させ、分周して行き160kHzを過ぎ80kHz迄行

きましたが、私のトランシーバ (JST-245) では受信できなくなります。もっともオシロで見れば

済むことですのであまり問題にはなりません。

 100kHz より下では、JJY が 40kHz で電波を出していたことを思いだしました。分周して得ら

れた80kHz の信号と JJY(40kHz) とで 120kHz が得られるので、JJY を受信できそうです。また、

80kHzの矩形波も fc が100kHz程の LC-LPF を通すと角が気にならない波形になるようです。

 ところが、私の思い込み(JJY は実際に小さな時計でも受信できているのだから、信号強度も

かなりのものだろう)もあり、あれこれ試したものの受信できるまでには至りませんでした。

 

0-1.はじめに(その2)

 JJY(40kHz)を120kHzに変換して受信することに失敗したのには、LF帯での測定器不足もあるの

ではないかと思い、HF帯へ周波数変換を行なうことにしました。HF帯であれば手持ちの測定器

が利用できるからです。

 ところが、ミクサーの直前にバーアンテナとキャパシタを組み合わせた 40kHz の同調回路を置

き、2.5MHzの局発とミックスさせても JJY(40kHz)の信号が受信できません。そこで、DDSで40kHz

を発振させてその信号をバーアンテナに接続すると受信が可能です。ここでやっと JJYの信号があ

まり強くないことに気が付いたしだいです。

 

1.クリコンの回路

 簡単に受信できると思っていたのに最初で躓いてしまいましたので、RF増幅を一段追加するこ

とにしました。なお、40kHzの同調回路はRF増幅部の頭だけにしてあります。

1)一般的なクリコンの回路ですが、40kHzの同調回路について若干説明します。

 コイルについては何を使おうか考えたのですが、市販の中波用受信コイル(AR-55X)のインダクタン

スが600μHと他のものに比べて大きかったのでこれを使うことにしました。

 このコイルのインダクタンスで 40kHzに同調させるためのコンデンサ容量は、C = 1/(ω^2 x L)

から計算すると 0.02638μF 程になります。手持ちのセラミックコンデンサから次のものを選ぶとと

もに、昔使った3連バリコンを組み合わせて最終的なコンデンサの組み合わせを決めることにしま

した。

 A.:0.022μF,  B:0.002μF x 2,  C:VC(max:1290pF)

 同調回路にDDSから 40kHzを加え、3連VCを可変してオシロで最大振幅になるところを探します。

ただ周波数が低く、コンデンサの容量が大きいので、L : 600μH と組み合わせるコンデンサ容量を

C1 : 0.026μF とすると f ≒ 40.3kHz、C2 : 0.027μF とすると f ≒ 39.5kHz となり 0.001μF(1000pF) 変化

しても 800Hz 程しか変化しません。つまり3連VC(max:1290pF)を変化させてもオシロで見る振幅の

変化はかなりブロードとなってしまいます。

 それゆえ3連VCでキャパシティの概略が分ったらちょっと少なめの固定Cをパラに追加します。

そして2連VCにして同じことをやり、さらに単(連)VCでも同じことをやって固定C(今回は 1,220pF)

に辿りつきました。実際は 0.001μF と 220pF となり、合計のキャパシティは 0.02722μF となりまし

た。計算上からは 39.38kHz程になるようですが、コイルの規格にも 600μH ± 20μH とあり、またコ

ンデンサも表示と実際の値には差がありますので、こんなものかなと思っています。

2)RF増幅、ミクサー、局発の各回路

 RF増幅は FET による何の変哲もないものです。局発は無調整の発振回路で BTR のエミッタから

2.5MHz を取り出しています。そして、ミクサーは局発を FET のソースに入れていますので、10pF

のトリマーで入力レベルを調整できるようにしてあります。また、ミクサーのドレインには FCZ-1R9

に 220pF を抱かせて 2,460kHz に同調させています。

 

2.まとめ

 かなり手こずりましたが、なんとか JJY(40kHz) 受信用のクリコンができあがりました。プラケース

に入れたクリコンと調整に使った3連VC の写真は以下の通りです。

 そして、信号は弱いものの、トンツーで "JJY JJY" と何十年かぶりに聞くことができました。

 また、総務省のホームページにありますが、JJY は「タイムコードの送信テーブル」に沿って送信

されているようで、それを利用できるようなものを作るのはまだまだ先になりそうです。

 

 


144MHz λ/2 アンテナ(中央でなく、端からの給電)

2021-06-01 22:19:17 | Ham(RX,TX,Ant)

0.はじめに

 友人が「錆もだいぶ出てきたので屋根馬ともどもアンテナを降ろした」とのことで、しばらくオン

エアできなくなったようなので、ベランダ等に簡単に設置できるアンテナを作ってみようと考えまし

た。

 

1.144MHz用のアンテナの選択

 簡単な 144MHz用のアンテナということで、すぐ λ/2 の水平あるいは垂直のDPをイメージします

が、センタで左右(上下)に分割しなければなりません。

 そこで、ツエップアンテナのように端から給電できればセンタで分割する必要がないので、この方

式を採用することにしました。

 

2.アンテナの構造

 単純に、1mのエレメント( 144MHz で λ/2 )の端と同軸ケーブルを接続すれば良いのですが、ア

ンテナの方は単極のハイインピーダンスであり、同軸は50Ωですので直結することができません。

何らかの方法でインピーダンス変換をする必要があります。

 色々な方法があると思いますが、簡単にできる方法としては、LとCで共振回路を作り一つの端を

をアンテナに接続し、別の端のLとCを切り離して、この"Lの端"と"Cの端"に同軸を 接続する方法

があります。

 

3.アンテナの製作

 イメージとしては、ポールの先にエレメントを付けて、マッチングボックスを介して同軸に接続す

る、と言うことになります。

 1) 以下のようなものを用意しました。

 ・1m のエレメント:1cmΦ のアルミパイプ

 ・ L:空芯のコイル

 ・ C:同軸ケーブルを利用

 ・ マッチングボックス:LとCを入れ、同軸コネクタ(メス)を固定

 ・ ポール:水道用塩ビ管

 2) エレメントとポールの接続

 ・塩ビ管の内径が 13mm のものに外径が 10mm のアルミパイプを入れますが、隙間を埋めるため

  に手持ちのアルミパイプ 12mmΦ や薄手のアルミ板を使いました。そして、ビスでポールとエレ

  メントを固定します。また、エレメントからリードを出すためにはタッピングビスを使いました。

 3) LとCの作成

 ・まず、Cは同軸ケーブル(5D2V)を数cm の長さに切り、中心線と外被間でコンデンサとします。

  同軸の長さの調整は大変なのでこのCを固定とし、Lを調整することで 145MHz に共振させます。

 4) マッチングボックスは、LとCが入り同軸コネクタ(メス)が固定できるもの(今回は、タカチの

  SW-T75 を使用)を使いました。

 5) エレメントとポールの固定ビスでマッチングボックスを止め、ラグを付けたタッピングビスでエレ

  メントからのリードとします。

 *) アンテナの全景とマッチングボックスの中は以下の写真を参考にしてください。

3.使用感

 以前にも同様なものを製作しましたが、今回はあまり調整もせずに作ったものの 145MHz 前後では

SWRも 1.5 位ですのでローカルとのQSOであれば十分ではないかと思います。

 さらに、エレメント長の調整、そしてLやCの値の調整をすれば、もう少しSWRも良くなるのでは

ないかと思っています。

 


SONY RDR HX70 の電源部修理(追加)

2021-05-24 22:38:42 | 電子工作
0.はじめに
 HX70 の電源部修理に関してコメントを頂きました。
 ケミコンの規格を知りたいとのことですので、分かる範囲でお知らせしたいと思います。

1.電源部の写真
 電源部の写真のケミコンにナンバーを振り、ナンバー毎に容量と耐圧を記しますので、参考にして
頂きたいと思います(残念ながら、目視できないものがありましたので、ご容赦願います)。



 ケミコンのナンバー毎の容量と耐圧は以下の通りです。
A1 ~ A5 : 56μF 35V, B : 470μF 10V, C : 1000μF 10V, D : 2200μF 10V, E : 470μF 25V, F(*) : ? ?,
G : 35μF 50V, H : 470μF? 25V, I : 1000μF 10V, J : 680μF 200V, K(*) : 10μF 50V, L : 47μF 35V

 以上ですが、"F" については読むことができませんでした。また、"H" については斜めになり読むこと
が難しい状況でおそらく"470μF" だろうと思われます。
 それに、"F"(*) と "K"(*) ですが、他のケミコンは黒色の被覆なのに、この2つだけは茶色の被覆とな
っていて何か意味があるのかどうかは不明です。

 また、注意して容量と耐圧を読みましたが、メーカーの製品ですので何らかの理由で途中で規格の変
更があるかも知れません。製品によっては上記と同一でない容量と耐圧である可能性があると思います
のでご注意を頂きたいと思います。

SONY RDR HX70 の電源部修理

2020-09-23 22:00:08 | 電子工作
0.はじめに
 アナログチューナーが入ったビデオデッキ(SONY RDR HX70)の電源が突然入らなくなり、DVD
を見ることができなくなりました。昨日までは見ることができていたのに、今日になって急に見る事
ができなくなったとのことです。

1.状況の把握
 状況から考えて電源部だろうと思ったので、とりあえずケースを外してみることにしました。中を
見ると以下のような配置になっています。


 古いこともあり、電源部が独立した基板になっているようです。そしてよく見ると頭部がやや膨ら
んだケミコン(なぜか、赤マークあり)が見えます。

2.「修理」の実施
 まず電源部の基板が簡単に外せるかどうか確認しようと、試しに基板を固定しているネジを外した
ところ基盤が動くようです。それではと言うことで、3ヵ所のコネクタを外して基板を取り出しまし
た。


 回路図がないので、膨らんでいるケミコンを取り替えても動かなければ、その時に考えることにし
ました。ケミコン(2200μF 10V)を外しテスターでチェックするも、充電後に徐々に充電電流が減っ
てきて(抵抗値が上がる)悪くなさそうにみえます。
 他に手段もないので、手持ちのケミコン(3300μF 16V)を半田付けし、基板をもとに戻しました。


 そして、ケースに収め電源を入れたところ、HDDのランプとDVDのランプは点灯するものの、電源
のランプが点灯しません。
 そのまま、映像・音声のケーブルをTVに接続し動かしたところ、HDDの内容もDVDも見ることがで
きるようです。
 「修理」とまでは行かないものの、一応動くことが分かったのでメモとしてBlogに書いておくことに
した次第です。


真空管テスト用電源の製作

2020-07-24 23:40:52 | 電子工作
0.はじめに
 友人が3A5で遊んでいて、電池を使っているがすぐ電圧が落ちてくるという話しをしていたので、
AC100Vから整流してB電源とA電源を作ったら電池の心配がないのではないかと思いました。例えば、
出力が24Vトランスを倍圧整流すれば無負荷なら67V程はとれるし、3A5に10mA程度の電流を流し
ても電圧はそれほど下がらないような気がします。またA電源(2.8V, 0.11A)も交流ではなく整流し
て直流電圧を与えたらハムの心配は要らないのではないか、と思ったしだいです。
 私も古い真空管を若干もっており、これらを使おうとすれば電源が必要となります。手持ち部品を
探してみたら12V(6-8-10Vも出ている)2Aのトランスがあったので、これを利用して真空管テスト用
の電源を作成することとしました。

1.電源の仕様
 トランスが12V 2Aなので、B電源は4倍圧整流でDC 67V程を取り出し、A電源は直熱管を想定しDC
6.3VとDC 2.8Vを切り替えられるようにし、さらにC電源もDC ー10V程度を取り出すことにします。

2.回路図
 なるべく手持ちの部品を利用することにして、以下のような回路を考えてみました。



 A) 上の列がB電源で、4倍圧整流回路です。LEDは電圧が出ているかどうかのチェック用で、1.1
  kΩで分流しているのはLEDに瞬間でも約67Vをかけないようにするためです。
 B) 中の列がA電源で、LM317 で2.8Vと6.3Vを作るようにしています。抵抗は手持ちのものを使った
  ため変則的な値となっています。
 C) 下の列がC電源で、ここでパイロットランプのLEDを点灯させています。グリッドバイアス用なの
  で、基本的に電圧の利用だけを想定しています。

3.製作過程での考慮等
 A) 4倍圧回路についてはHP等を参考にしましたが、ケミコンの極性等が逆になっていたものもあ
  り注意が必要なようです。
 B) A電圧はDC 6.3V max なので、当初トランスの10Vに接続しましたが、負荷に22Ωの抵抗を入れ
  てみたところ出力が6Vを割ってしまいました。それで、トランスの12Vに接続してDC 6.2Vを得て
  います。ダイオード(FR306)のVF(順方向降下電圧)が大きめということもあるのかも知れません
  が、上の回路でDC 6V以上とするには0.3A位が限度かも知れません。
  〔追記〕DCでは0.3Aと少ないので、AC 6V の出力端子を追加しました。
  なお、DC 2.8VとDC 6.3Vの切換えSWは、誤って手を触れないようにシャーシ内部においてあり
  ます。
 C) C電源は DC ー10Vもあれば良いと考えていましたが、上記のようにトランスの12Vから接続した
  ので、最大DC ー16V を得ています。

4.完成写真
 上部から見たものと、シャーシ内部の写真は以下のとおりです。




 シャーシ内部は雑然としていますが、中央あたりにかろうじてDC 2.8V/6.3Vの切換表示とSWが見
えるかも知れません。

5.その他
 CQ誌2020年8月号に「現代の真空管入門」(JAΦBZC著)として別冊付録が付いており、大いに参
考になりそうな内容のようです。