「書道において用いられる集字システム」の紹介
背景: 書道を習う場合、私達ははじめ手本をみて練習します。教室や塾に通っていれば先生に手本を書いてもらいます。少し上達してくると古典を手本として練習するようになります。これを「臨書」といいます。
初期の段階ではその古典を先生に書いてもらったものを手本としますが、上達するにつれ自分で集字した手本を使います。やがて展覧会に出品するようになると字数も増えこの集字作業は大変な労力と時間を要します。
まず、素材となる漢詩を決め、誰の書体に倣って書くかを決めます。(例えば、杜甫の、壊素、米ふつ、張瑞図、王鐸・・・等)
次に自分の選んだ漢詩の一字一字に対し選んだ書家の字を、書道字典の索引からページを探し、その画像をコピーして鋏で切り抜き源字の横に糊で貼り付けていきます。これを繰り返しまとめたものを手本とします。
字が56文字以上あると、時間がかかり大変です(2~3日~?)。
そこでこの一連の作業を合理化すべく「エクセルVBA」で挑戦しました。
システムの概要:
Ⅰ まず素材となる漢詩集約60種集めました。(中国の古典等を選びスキャナでExcelに取込み)
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中国の古典が多く「唐詩選」等約60種、新たに取り上げたい詩(李白、杜甫、白楽天、王維、陸游、陶淵明、杜牧・・・・等)はスキャナで読み込み OCR でテキスト文字に変換しました。
Ⅱ 文字データベースを作成:漢字数約3500字、に対し「明清行草字典」「宋四家字典」「書源」(いずれも二玄社版)や「くずし字字典」等の、各該当ページの一覧表を作成しました。(各字典は約800~1000頁)
操作:
Ⅲ 漢詩の画面で、好きな漢詩を選び「展開ボタン」をクリックすれば、漢字一字一字に対する各字典ごとのページが「一覧表」で表示されます。(文字数×字典の数)
該当する漢字を一字ごとに「字典ボタン」(どの字典を使うか)をクリックすれば、該当する字典のページにジャンプすします。
目的の文字をトリミングして「貼り付けボタン」をクリックすれば、所定の場所に貼り付けられます。
この操作を取り上げた字数だけ繰り返すと写真のような「集字集」を作成します。これが手本となります。
これを更に実際の清書用紙にレイアウトして検討します。
以上従来の作業方法(糊と鋏)と異なり、すべてPCの画面上で出来るので時間を大幅に短縮できました。(2、3日?から1、2時間に短縮)
書道人口はマイナーなうえ、集字を必要としている人は比較的少数ですが、書道教室での需要は充分にあると考えられます。
ちなみに二玄社でも同様なソフトをDVDで発売していますが全体の字数は多いが該当文字が1字しかないのに対し、本プログラムでは複数のなかから選べます。
下の写真は私の作品です。(日本書道協会書道展で衆議院議長賞、会長賞各受賞)
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ご興味のある方は、下記にメール下さい。本プログラムを提供します(無償)
あなたが集字にお使いの字典又は生徒の手本の基となる字典等が使えるようカスタマイズします。
t-hirashima@.w2.dion.ne.jp