マザーグースの地球観測記

夢の世界で宇宙をとびまわって、きまぐれに心の中を映してていきます。

映画「いのちの食べかた」レビュー

2008-08-24 02:10:13 | 教養
 【告知】9月21日(日) 命と命を繋ぐ「心」を表現する祈りの音楽ライヴ。

※作品はコチラから


二宮の生涯学習センターラティアンにて「いのちの食べかた」を観て来ました。


感想は予想とは少し違った。

と、いうのも
「いのちの食べ方」という邦題は森達也の作品からとったようだけれど、それとは価値観にズレを感じる。



「食べる」という行為は生と死を繋ぐ「命の循環」そのものを表す。

でも、実際に映画の内容は、食べ物をその「循環」とは切り離して、ひとつの個体として捉えるように描いているようだった。


   「イノチ」


命のカタチしたもの

食品になるまでの全ての行程が分担され単調な作業が繰り返されていく。

そこには感情移入しにくい。



ひとつひとつのシーンが生理的に冗長に感じるのにも意図を感じる。


これは命を視点に描いた映画ではない。
生産者を視点に描いた映画だ。



「いのちのつくり方」と題された方がしっくりくるかもしれない。


作品の無感情さが際立って印象的だ。


作中で名前もわからない作業員が食事をとるシーンが何度か織り込まれるが、無表情にそこにあるものをむさぼる姿はまるで作業の一環のようにすら感じられる。
何を思っているのかもわからない。

ただ、人間が食べる為にそこにいるかのように見えてくる。


「生命」における「生きる」という本質がどこにあるのか…


一切着色されていないドキュメンタリー。
そういう意味では六ヶ所村ラプソディーと同じかも知れないが全く逆の印象を受ける。

作中からは人の葛藤が見えてこない。

そこに終始違和感を感じる映画


更に言えば、子供がこの作品を観た時に
仕事とはこういものだ、「食」とはこういうものだと、素直に受け止めてもらいたくはないと感じる。

それを訴えるだけの「何か」が今の社会にあるかといえば答えに詰まってしまう。


土の見えないハウスで栽培される野菜。
工場で生産されていく食肉
コンベアで運ばれる牛から無造作に採られていく牛乳


これが「栄養にいいのよ」とは思い辛くなる光景だ。



たった一口の食べ物からも心が見出せるという事を忘れさせる一時間

そこから無感情な人間が生産されていくかのような

そんな印象の映画でした。


そして、用が済めば何事もなかったかのようにキレイに掃除されていく。


オマケ
「地球を貪り食う」
http://jp.youtube.com/watch?v=gmNSkdPgxNc&eurl=http://mixi.jp/view_diary.pl?id=911192809&owner_id=5847771


ブックレビュー

2008-08-16 03:08:51 | アトリエ
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 【告知】9月21日(日) 命と命を繋ぐ「心」を表現する祈りの音楽ライヴ。


小説家としても活躍するakiraさんの著書を読みました。
神の肉テオナナカトル、cotton10%、アジアに落ちる、オラメヒコ


『アジアに落ちる』めるくまーる
読み終わると長い旅を終えた後のような感覚にフワフワと漂っていた。
夢の世界で文字通りアジアに落とされたようだ。
魂が覚醒するような死生観。
豊かで果てしなく愛に満ち溢れた世界が開かれる。
今、この作品を読めたことに感謝。



『神の肉 テオナナカトル』めるくまーる
マジックマッシュルームを求めるという物語の動機に先ず多くの人が強烈な先入観を覚えてしまうだろう。
興味を惹く人もいれば、敬遠する人もいるだろう。
だけど、その内容はやさしく。
だけど感想を書くのがむずかしい。
物語はバラバラで行き当たりばったり。
だけど全て繋がっていて。
akiraさんの生き方はakiraさんの生き方で。
僕は僕で。
理解しがたくも
世界は全て丸ごとひとつで愛しい。