みつからないんだ
ぼくの好きなミルクセーキ缶
紅葉が夕日に映えたあの日
たしかこの場所にあったはずなんだ
何度も逢ったはずなんだ
端からひとつひとつ確かめても
苦々しいコーヒーではなく
ぼくの好きな優しいミルクセーキ
気がつくと誰かを責めている
反論を先回りして
のべつまくなしの口ぶりで
オレが主役だと吠えるように
ここに居るぞと気づくように
そんな方法でしか
自分を見つけられなくなってしまった
脱ぎ捨てたトレーニングウェアに
光が降る
この隔絶された部屋
光にすがりつく
置き去りにされる
夜が訪れると
天上にふたたび光がまたたく
夢のなかで手をのばす
人間はいつも永遠に生きると
信じているから
ある日 フッと消えてしまったとき
いつもがく然として
現実を知るのだった
わるかったといって
詫びを入れるのだった