諏訪山岳会公式ブログ

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ししヶ岩

2017年02月26日 | 八ヶ岳 マイナールート
ルート:ししヶ岩第一尾根
日時 :2月  4・ 5日 ンバー:O石、F見、U山
    2月25・26日 メンバー:F見、U山

この冬、久々にししヶ岩を訪れましたが、18年前の記憶との違いに混乱し、2度続けて敗退。敗退行ですが記録をUPしておきます。


<ししヶ岩 左 第一尾根 右 第二尾根>

ししヶ岩第一尾根は八ヶ岳の中のマイベスト3に入るルートである。
ここを訪れたのは18年前の2月のこと、初見参で、首尾よく日帰り完登した(ただし、2P目?から登りはじめ、南稜に抜けたのは日もとっぷり暮れた7時過ぎ)。
岩稜と岩壁が交互に現れるルートの構成、立場川に一気になぎ落ちる高度感、そうそう安易に取り付く気はなれない岩の悪さやそこそこの難しさ、これらの総合的な印象が良い方向に強く残り、ぜひ再登したいものと思い続けてきた。
 
そして、50周年記念として八ヶ岳50ルートの企画が挙がったときに真っ先に頭に浮かんだのがこのルート。
是非ともBlog記事を残しておきたいと思い、この冬の山行を計画した。
 
 
日時  :2月4・5日
メンバー:O石、F見、U山
 
先にも書いたが、18年前は、阿弥陀南稜に抜け出たのは日もとっぷり暮れて真っ暗になってからのことで、そんな経験をもとに、今回は、初日アプローチ偵察、二日目に登攀という余裕を持った計画を組んだ。
 
4日は諏訪を7時に出発。11時に立場山に着いて青ナギ手前にベースを設営。寒気が抜けた空はどこまでも青く美しい。
ただ、残念なことにこの好天も今日までで、明日は昼過ぎから雪が降り始める予報。
なので、今日はしっかりとアプローチを固め、明日は天気が本格的に悪くなる前に終わらせてしまいたい。

<青ナギを行く>

アプローチは大系では青ナギを下ることを推奨しているが、前回は無名峰への登りの途中からヤマカンで樹林帯をトラバースしながら下っていったらばったり第一尾根の2P目?に行きつけたので今回もそのパターンを踏襲してみることにした。
 
しかし、前回はラッキーだったのだろうか、今回は行く手に深くえぐれた沢が立ちはだかりトラバースをする気になれない。やむなく、無名峰頂上から立場川に続く財産区(四区)の目印に沿って尾根をゴルジュ帯上部まで下り、そこから半ば強引に斜面をトラバースしてゴルジュを巻いた。
 
谷に降り立ち、少し上流に進むと頭上にししヶ岩を仰ぐ基部に到着。
前回は途中から登り始めたので谷からの取り付きがよく分からないが、見当をつけて草付きを登ってみたところ、上までつながっていそうなところに出たので多分ここでいいだろうと偵察は終了。
 
トレースを登り返してテントに戻るころには日も落ちて、予想外にハードな偵察となってしまった。

<夕焼けの青ナギ>

酒宴兼夕食を済ませ、食後のお茶を飲みながらGPVを確認したら降り初め予想時刻が昼過ぎから朝の8時に早まっている。ルートの終盤ならまだしも、前半から降られる中を登るほど気合は入っていないので、その時点で、ししヶ岩は即中止。
でもそのまま帰るのももったいないので、O石、F見のトレーニングがてら、南稜をできるだけ上までピストンする計画に変更した。
  
明けて5日、会に計画変更の連絡を入れて7時前に出発。
出発時点ではまだ視界があったが、8時半ぐらいにP3ルンゼ入口でアンザイレンをしているとにわかに雪がふってきて、GPVの正確さには驚かされる。

<P3ルンゼ入口>

この先、リード、ビレイは二人に任せきりの気楽な行動。
P3に着いたときには本格的な雪になって、早々に下降を開始。下るにつれ風雪が強まり、P2から無名峰までの間は3ルンゼからの吹き上げの風でまともに目が明けられないぐらい吹雪かれた。
 
テントを撤収中して下ってみたら、船山十字路はともかく茅野、諏訪の市街地まで15cmほどの積雪。GPVのおかげで無理をせずにすんでよかった、よかった・・・。
 
帰宅後、アプローチについていろいろ考えてみたのだが、なぜ前回あんなに簡単に行けたのかどうしてもわからない。もしかして、もっと標高を上げてからトラバースをしたほうがよかったのだろうか?次回はそうしてみよう。
 
 
日時  :2月25・26日
メンバー:F見、U山
 
第2回目はF見君と二人の山行。
前回、立場川から南稜までの登り返しが思いのほかしんどかったので今回は取り付き付近にツエルト泊することにした。
 
25日も朝ゆっくりと諏訪を出て、快晴の元、青ナギを超える。
前回帰宅後の考察に基づき、今回は思い切って無名峰から下ってみたが、記憶の中にあるようなししヶ岩への(都合の良い)トラバースラインは見あたらず、結局、前回同様、立場川まで下ってゴルジュを巻くことになった。
 
基部について、中央ルンゼを少し詰めてみたらししヶ岩が全貌を現わして、しばし見とれる。

<ししヶ岩>

しばらくするうちに岩場に何か動くものがいるの気が付いて、よくよく見たら、カモシカが一匹、岩棚からこちらを見下ろしている。こんなに寒い何もない壁の中でいったいどうやって暮らしているのだろう?
 
この日は取り付き対岸の一段上がった平らな場所にツエルトを張る。F見君は冬にツエルトで泊まるのが初めてだったそうで、この晩は眠れることがわかって良い経験になったそうだ。
 
26日もいい天気。さっそく前回登った草付きにロープを伸ばす。
<3P目>

取り付きから3Pで大系の第二フェースと思わしき所に到着。
18年前は、ここから取り付いたのではないかと推測していたのだが、記憶の中の風景と眼前の風景は一致しない。
目の前の壁は20mぐらいで、何カ所かラインは取れそうだが、残置物は皆無。少し右に回り込んで、凹角に取り付き上の様子を探るが見渡す限り何も見当たらず、いろいろ様子を見ているうちにラインを外した時の手間のことばかり考えるようになってしまった。
 
こうなると気持ちが切れるのは時間の問題。いったんビレイ点まで戻って、逆側に回り込んでみたりしたのだが、やはり前回の記憶を呼び戻すような風景に巡り合えず、一旦出直そうと下山をすることになった。
 
帰りはラッセルを嫌って無名峰まで登り返し、バテバテになって南稜を下る。
わざわざ重い登攀具を背負って、ツエルトで泊まりに来ただけのなんともさえない山行になってしまったが、18年前のようなアプローチは期待できないことが分かったことや、取り付きからししヶ岩の全貌を仰ぎ見たことが今回の収穫といえば収穫か。
 
それにしても18年前の記憶と、今回の山行がこれだけ食い違うのは釈然としない。
あの時はどこか別のルートでも登ったのだろうか?
 
まあそれも、ししが岩の上で18年前の写真の風景を見ることができるかどうかではっきりするでしょう。結果をお楽しみに。

<18年前の登攀>


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