飾焚

飾焚く火の美しく怪しかり

信之先生、正子先生、ご指導を賜りまして有難うございました。厚く御礼申し上げます。
皆様方よいお年をお迎えくださいますようにお祈りいたします。

小雪

化粧塩ほどの小雪や伊勢平野
初雪や人の生活を閉じ込めて
夜もすがら海鳴りを聞く年の暮

年の暮

世の流れ混沌とせり年の暮
冬凪の潮の流るるうねりかな
暁光の動くもの無き冬の海

落葉

森林浴深閑と澄む落葉道
するすると落葉を滑る裏の山
黒板の連絡事項聖誕祭

山茶花

山茶花の零れ散る故美しき
魚売る行商女や年の暮
束の間の湯ノ山跨ぐ冬の虹

冬銀河

潮騒の浜辺で仰ぐ冬銀河
忽ちに我が身を包めり冬の霧
冬うらら樹々に翳りのなかりけり

冬至

冬至の日絵手紙の柚の巨きかり
冬至湯の柚の香絞り切ってをり
ぶつぶつと冬至南瓜の煮えこぼれ

冬支度

盆栽を座敷に上げて冬支度
海に向き片頬熱き落葉焚
冬の雨旧街道の黒格子

冬夕焼

一刷毛の雲の流るる冬夕焼
一湾の冬夕焼やとびの舞う
山茶花の花に混じりて目白五羽

寒禽

寒禽や古刹の鐘の海へ打つ
時雨止むまでを借りたる堂の軒
神宮の五人がかりで注連飾る