秋雨

電車待つホーム秋雨の降やまず
川岸のコスモス雨に彩濃くす
鳶舞うや九月の空に熱気球

銀河

銀河濃し連れ立って行く峡の宿
廃線の駅に名残の秋桜
鰯干すしきりに動く猫の鼻

雁渡し

一湾の風の変りて雁渡し
秋澄むや山に登りて空へ着く
絵葉書に短き言葉柿一つ

鰯雲

鰯雲遠くに見えて漁師町
夕鵙の一声高き無人駅
遠雷の一とまろげして雨上る

秋の暮

秋の暮山寺に撞く鐘一つ
トンネルを抜け星に会う秋の暮
浜風に台風の雲流れゆく

秋の海

一湾の彩増しけり秋の海
潮の香の匂える浦の秋祭
むらさきに秋夕焼の暮れなずむ

秋の海

秋の海風を自在に帆引船
秋の夜の北斗七星濃く淡く
盆栽に水撒く音も秋立てり

秋日和

こきみよき水車の音や秋日和
浜辺に一つの句碑や鰯雲
秋めくや木曽三川の風匂う

鰯雲

海沿を走る電車鰯雲
秋風の一方に向く風見鶏
撫子や水子地蔵の風車