続・とりあえずの映画鑑賞メモ

いつか読書する日(2004日本)


“すれ違う二人の視線、知られてはならない想い。美しい町で静かに燃えるたったとつの恋・・・”

2000年に観た邦画の中で私的ベストワンだった「独立少年合唱団」の緒方明監督の待望の新作なので期待していましたが、もうもう期待を裏切られない作りで最後まで目が離せませんでした。
独立少年合唱団の少年たちの世界から一気に中年の渋い話にというのが意外なようですが、ドキュメントタッチの本物志向とでもいうのか、急がない演出で丁寧に積み重ねながらきっちりと伝えたいことを語る、そんな姿勢が今作品にも見られて嬉しかったです。


そして主役の田中裕子さんの素晴らしいこと、「火火」でも打たれるものがありましたが、今回の、熱い想いを秘めた中年女性の役も良かったです、彼女が演じるとなんか突き抜けたたくましさみたいなものを感じるというか、重たい映画でも重さを感じさせないところがあるというか・・・。


相手役の岸辺一徳さん。このところ、この人の出ない邦画はないんじゃないかと思うくらいよく目にする俳優さんですが、こんなに出番が多い映画は私としては「死の棘」以来かも。
今回は“平凡に生きていく”ことに徹した、役所の職員役でしたが、決して美男でもないのに、中年の色気みたいなものがあって、これも演技というより自然に出ているみたいな雰囲気で説得力があったのは、若い頃サリーと呼ばれていたせいでしょうか・・・あ、わかる人にしかわからないんで読み流してください(笑)


仁科亜希子さんがまた、助演賞ものの演技で、彼女の涙には打たれました。

他にも、渡辺美奈子さんや上田耕一さん、あと、独立少年合唱団から続いて出演の香川照之さんなど皆さんいい味を出していて、男女の秘めた恋を縦軸に、幼児虐待、アルツハイマーなど、子供から老人までの問題を散りばめて奥行きのある作品に仕上がっていました。
そうそう、忘れていけないのがロケーションで、坂道の多い長崎の街の美しさも印象的でした。

というわけで、静かで強くて慎ましくて官能的で・・・大人な恋愛を演じた田中裕子、岸部一徳さんたち俳優陣と演出した緒方明監督に拍手です、パチパチ。

(主人公の男女二人がようやく気持をぶつけ合う時に言う名セリフがあるんですが、もったいなくて書けません、興味ある方はレンタルになってからでも観てください、謎)

ユーロスペース15:50~観客7割程/106席
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