これは里親に突然突きつけられた家族の試練を描いたもので、1640日といえば5年近くも一緒にいた子供と別れるなんて、保護した猫と1週間一緒にいても別れは辛いのに、もう切なくて何度も涙が出てしまった。
里親制度のことをよく知らなかったので、今さら実の親が引き取りたいというのは勝手なのでは?とかずっと母親目線で考えていたけど、養子縁組した家族ではなく、実の親がちゃんと育てられるまであくまで里親として預かるということが前提ということはわかって、そこは譲るとしても、それは大人の事情で、じゃ子供の気持ちはどうなるんだろう、とか、ものごころつく前から一緒にいた里親である女性を本当のママのように慕う子供に思いっきり寄り添ってしまったのは子役の少年の可愛さと自然な演技あってこそかも。
そのシモンを演じたガブリエル・パヴィくんは公園で遊んでいるところをスカウトされて演技経験ゼロというからすごい!
なんか周囲の大人たちの気持ちを読み取りながらの不安そうだったり楽しそうだったりの演技が自然すぎて、里親が手放したくなくなるという設定に説得力を与えていたというか。
ファビアン・ゴルジュアール監督自身が子供の頃に、生後18ヶ月の赤ちゃんと里子として6歳になるまで一緒に暮らした経験をもとにしたんだそうで、なるほどそれもまた説得力があった要因のひとつかも。
その時に彼の母親がソーシャルワーカーから受けたアドバイスが“この子を愛しなさい、でも愛しすぎないように”という言葉だったとのこと、それがこの作品の核心で、下手すると重くなりがちな題材なんだけど、プロデューサーから参考にと勧められた映画が「キッド」「クレイマー、クレイマー」「E.T.」の3本だったそうで、なるほど言われてみれば全部入り?みたいなところもよかった、納得のラストは是非劇場で!
☆あらすじ☆
生後18カ月のシモンを里子として迎え入れたアンナと夫ドリス。夫妻の子どもたちとシモンは兄弟のように育ち、4年半の幸せな月日が流れる。ある日、シモンの実父エディが息子を手元で育てたいと申し出たことから、彼らが家族でいられる時間にタイムリミットが訪れる。「ディアーヌならできる」のファビアン・ゴルジュアール監督が、幼少期に両親が里子を迎えて4年半一緒に暮らした自身の経験を基に、家族の深い愛と絆を描き出す。
※映画.comより
キャスト
メラニー・ティエリー
リエ・サレム
フェリックス・モアティ
ガブリエル・パヴィ
イドリス・ロランタン=ケリフィ
バジル・ヴィオレット
ジャン・ウィレルム
フロランス・ミューレル
ドミニク・ブラン
監督
ファビアン・ゴルジュアール
原題 La vraie famille
102分
G
TOHOシネマズシャンテ1 17:15〜観客5割程/224席
