仏教：実践 苦を和らげる仏教 その３：未来という幻想に心を囚われて 1/2

文章が長く、分かり難そうなので、まず、最初に全体像をまとめておきます。
【現状の把握】
【原因の特定】→不安の二分類（現状不満／現状満足）
【処方・実践】→具体的行動指針
【処方・実践：仏教的】→良い心で
【疑問への回答】→「不正でも幸せに見える人」に対する反論
【まとめ】


聞き手：今回は、未来に対する不安についてです。

【①現状の把握】

著者：はい。どのような苦しみがあるのでしょうか。私も考えながら述べていきたいと思います。

著者：これについては、現在の状態がこのままの時間が経過すると、どのような嫌なこと、苦しみがあるのかを想定、想像し、それが自分の希望しないことであったり、許容範囲外であった場合、心配と不安を感じると思います。

聞き手：この現在の状況というのは、どういうものが考えられますか。

著者：例えば、非正規雇用で収入が不安定であったり、今の職場に将来性を感じられないとか、家族の中に何らかの問題がを抱えている家族がいて助けたくても助けられないとか、持病があり、直ぐにまたは一生治すことができないとか、現在の貯金額と収入額、年金予想額を想定したときに、老後資金が足りるのかなとか、急な出費が必要になった時に十分なお金がないとか、天涯孤独でいざというときに頼りにできる人がいないとか、世界政治や世界経済が不安定であるとか、色々色々あると思います。

聞き手：確かにですね。将来への不安は、本当に人それぞれですし、しかも多く抱えているものだと思います。一見して、我々からすれば、本当に幸せそうな、将来に対する不安なんて無いような人々でも、表に出さないだけで、実は、子供が家業を継がずミュージシャンになりたいと言っているとか、お金はあるけど家庭内は冷え切っていて毎日が生き地獄であるとか、そんなように基本的に誰でも一つや二つくらいは、現在、将来に対する不安を持っているんだなあと思ったことがありますね。もちろん、些細な不安だけで、ほぼ全く将来に対する不安がないという人もいるとは思いますが。

著者：はい。そういうほんの一部の例外を除いて、将来への不安という苦は、一般的なものとして認識することができますね。

【② 原因の特定】

著者：では、苦の原因ですが、まず、➊【現状不満】将来をある程度予想できるが、その予想した将来が自分にとって嫌で受け入れがたいものであること。もう一つは、➋【現状満足】現在は幸せで安定しているが、将来が不確定であるため、現時点では将来どうなるのか分からないということ。が原因と考えられます。
聞き手：あ、確かに、現在不安のない幸せな人でも、この幸せが将来においても同じように継続しているか、維持することが出来ているかということについて、将来は不確定であるので、今後何が起きるか分からず、今の幸せが減ったり無くなってしまうのではないかという不安を持っていると考えられますね。