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ひびのこと

日々忘却の彼方へと追いやられていく日常の断片を記録したものです。断片の集積の後に私という人間が見えてきます。

クローズZERO

2008-07-12 02:23:58 | レビュー



とにかく小栗旬演じる滝谷源治と山田孝之演じる芹沢多摩雄がカッコイイ映画。それに尽きる。日本映画を観て、俳優をカッコイイと感じることなど滅多にないので、それが貴重な体験だった。
小栗旬はスタイルからして良い。短ランに、少し下げ気味で履いたズボンを白いベルトで閉める。何もしていなくてもそこにいるだけでカッコ良かった。ヤクザである父親を越えるために、不良偏差値トップの鈴蘭制覇を目指すストイックさと世間知らずでどこか天然ボケな面をもつ魅力的なキャラクターを見事に演じていた。
山田孝之はなんと言っても、あのトローンとした目が良かった。鈴蘭最強と言われながらも、自ら戦うことはあまりせずにどこかのほほんと生きている。表面的なやる気のなさは、逆にキャラクターの得体の知れない感じを表していた。

ケンカばっかりしている映画かと思っていたが、意外とストーリーもきちんとしていた。小栗旬は力だけでは鈴蘭制覇はできないと知り、チンピラの片桐拳に知恵を借りる。片桐は強い小栗にこしぎんちゃくのようにまとわりつきつつ、自分にはないものを持っている彼に夢を託す。小栗は彼のアドバイスに助けられながらも、鈴蘭制覇のために必要な仲間を集め、そしてその大切さに気づいていく。

山田も友人の辰川時生の手術の成功を祈りながら、最後小栗と対決をする。手術といえば、時生が自らの足で歩いて手術室に入っていくシーンがとても良かった。

あと、そこかしこに見えたギャグにもなかなか笑わせてもらった。特に牧瀬隆史が良かった。合コンで「マジックみたい」と女の子に言われてしまうマッキーというあだ名や「ソープに行くか」と言われただけで射精してしまうような初心な面と強面のギャップが良かった。

逆に残念だったのが、過度な演出だ。
出演俳優の演技だけで十分ドラマは出来上がっているのに、そこに余計な演出を入れる。ケンカのシーンと黒木メイサのステージシーンとのカットバックや、最終決闘のシーンの漫画チックな夕陽の映像やスロー映像に白けてしまった。そう言えば、今おバカキャラでブレイク中の上地のドレッドヘアもホームレスにしか見えなかったな。そんな点を除けば、とても楽しめた映画だった。

物語はいずれ訪れるであろう源氏対芹沢の対決へと向けて次第に熱を帯びていく。見ているうちにどちらにも感情移入してしまい、決着がついてほしくないな、という気持ちになってきた。結局どちらかが勝利してしまい、残念だな、と思っていたところに、リンダマンが登場する。彼の存在がその残念な気持ちを吹き飛ばしてくれた。良いオチの付け方だと思った。


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