またまたオークションの話になるが、金額そのものよりも事の経過と内容で、
私を驚かせた最大のもののひとつはあのLPレコードだろう。
あれは本当に日本で発売されたのだろうか。
全12曲?が彼女の歌唱による北京語でおさめられ、ライナーノートにも
日本語は全くない。
それでいて発売元は日本の大手レコード会社。
初めから「見本盤」と銘打たれ、未開封の新品だった。
「何日君再来」(ホーリンチンツァイライ)や「償還」(日本の曲名は「つぐない」)など
主なヒット曲を網羅的にピックアップしている初見の商品をヤフーに出品したところ、
2万円以上で落札されたのだった。
購入者は中国名で、送り先は香港。
落札者から来たメールはしっかりした日本語で、誰かに代筆させたのだろうか。
これをずっと捜していたという喜びのメッセージがつづられていたが、
それを読んでいるうちに私はなぜか申し訳なさを感じてしまったのだった。
なぜならあの盤は、どっかの教会のバザーで、100円で入手したものだったから。
このようなバックグラウンドがあったから、有田芳生著「私の家は山の向こう」
副題「テレサ・テン十年目の真実」を読んでも、素直に共感できたのである。
彼女は政治体制そのものへのこだわりより、自分たち「華人」がどうすれば一つになれるのか、
そのために自分は何ができるのかを真剣に考え、実行にうつしただけだ。
周囲から危なっかしく見られ、また政治的にどう受けとられようとも、
全く気にならなかったのはそのためだろう。
彼女の死因が暗殺だろうが喘息だろうが私にはどうでもいいことだ。
スパイ説などは論外なのである。
とにかくもう一度あの歌声を聴きたい。
今言えるのはそれだけだ。(2012.6.1記)
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