風の中で 南天星
僕はいつもの様に自転車で街を走っていた。
その時は前方に自転車に乗った人の背中に気付いた。
もしや、、、僕の心は高鳴った。うしろ髪が風になびく、その髪型がなんとなくその人を連想させた。
もしやー、、からきっとそうにちがいないと思えてきた。
僕はその日、ある目的の用事があり、その方向へ向かっていた時であったが前方のその人のうしろにつかずはなれず同じ距離を保ってしばらく自転車を
こいでいた。
追い抜こうと思えば、、追い抜けるのだが、どう声をかけるべきかをあれこれ考えた。
どう声をかけようか。
それで偶然に見せかけようと意を決して追い抜きざまちらりとその人の顔を見た!
あれ、またじっと見たらちがっていた! よく似ているがうしろ姿はまさにその人だったが、前からはちがう人だった。
僕の高鳴る心はなえてしまった。振り向きざま「すみません、人違いでした」と照れくさそうに追い越して先へ行った。
おしまい