それは、病院での使い方が間違っているのです。病院でドクターが使っているからと言って正しいという事はありません。このように間違った使い方をする用語というのは現場で多々あります。悪気があって間違っているわけでもないのでガヤガヤ言う必要もないのですが、そういう事も多々あります。
見当識障害というのは適切な表現です。見当識というものに障害があるから見当識障害と言うようになったわけです。その流れで二重見当識についてもなんとなく二重見当識障害と言うようになっただけのことでしょう。
二重見当識というのは、例ですが、自分は地球では両親の間で生まれてどこどこの学校を卒業し、現在精神病を抱え療養している山田太郎という名前の人間であり、そのように適切に理解しつつ普段暮らしている。一方で、火星では、火星の一番大きな国の大統領をやっている自分がいると信じて疑わない状態をも持っている事をいいます。後者は、本人にとっては確信に満ちた考えで、訂正不可能かつ、了解不能な考えなので、これは妄想ということになります。地球での自分のアイデンティティーは正常で、火星での自分のアイデンティティーは異常です。このような状態を両方持っていることを二重見当識を持っている、あるいは、二重見当識があるという表現をするのです。つまり、二重見当識を持つような状態そのものが異常な状態ですので、二重見当識障害というのは不自然なわけです。異常な概念にさらに障害を加えなくてもいいわけです。
見当識に関しては、見当識が障害された状態が異常という意味で、見当識障害というわけですね。これを見当識障害異常 とか、見当識障害病 という言い方は不自然ですよね。言う人がいるかもしれませんが・・・。
失二重見当識 って明らかにおかしいですよね。