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週刊たけ馬 

競馬メインのページですが、最近馬券も買えないほど貧乏なのでいろんなこと書いてます。

『国際目玉焼き会議』の怪

2006-08-18 23:49:50 | Weblog
 皆さんはIFECという組織をご存じだろうか。IFECとは、INTERNATIONAL FRIED EGGS CONFERENCE の略で読み方は、インターナショナル フライドエッグ コ、コン・・コンフェ・・コンフェレ・・・まあ、そんな細かいことはいいじゃないですか(苦笑)。フライドエッグとは目玉焼きのこと。英単語を繋げると、IFECとは『国際目玉焼き会議』のことである。

 その『国際目玉焼き会議』とはなんなのか。事の発端はコミック『美味しんぼ』(小学館)の第7巻「黄身と白身」という話に出てくる。
 漫画なので許されるが、快楽亭ブラックという、いかにも怪しさ満開のアメリカ人落語家がIFECの委員の一人だというので、日本の目玉焼き事情について東西新聞社に訪れる。
「へえ、今日はフライドエッグ(目玉焼き)のサニイサイドアップとターンオーバーのことを日本語で何というか教えてもれえてぇんでゲス」
 そこで主人公の山岡士郎が一様にキョトンとしている仲間に
「サニイサイドアップとは片面だけ焼いた目玉焼き。ターンオーバーとは、ひっくり返して両面焼いた目玉焼きのことだよ」
 と説明する。日本にはそんな気の利いたネーミングなどない。そもそも目玉焼きを両面焼くなんて習慣はない・・・と思う。
 しかし、ここからバトルの火蓋はきって落とされるのであった。

「僕はターンオーバーとは言わないけど、いつもそうやって食べるよ」とか言おうものなら即座に「そんなのは邪道だよ!」と返ってくる。
 すると「黄身が固い方が旨いじゃないか」との意見に「わあ嫌だ、白身は固く、黄身は半熟、これが鉄則よ」とのお言葉が。次に食べ方編。

「俺はトンカツソースをかけて食べるのが好き」だとか「俺は固い黄身にケチャップを」なんて言う脇役達には容赦なく「きゃあ、変態!」との悲鳴があがる。
「やはり塩をパラリのコショウをパラリのでいきたいね」
 これが日本のもっともベーシック(基本的)な食べ方なのかだろうか。

 いや、私のベーシックはこうだ。
 もちろん黄身は半熟のサニイサイドアップ。塩をパラリ、コショウをぱらり。ここまでは同じだが、仕上げにフライパンの鍋肌に醤油をたらす。ここからがキモなのだが、即座に火を止め、蓋をする。すると微かに「チリチリ」という声が。そう、音ではなく声なのだ。そしていい塩梅に蒸らしたところで、おもむろに蓋を取る。そうすると
胸をすく醤油の焦げた香りと卵の匂いが渾然一体となって、
「ああぁぁ、シ・ア・ワ・セ」とエクスタシーを感じるのである。
 しかし、そんな私のイチオシも本文では「わあ、田舎っぽい!」とバッサリ。う~ん残念。

 つまり国際目玉焼き会議とは、上に挙げたような真剣な論議を全世界75カ国から、300人以上の委員を集めてケンケンガクガク議論するのである。
「暇な人達の集まり」といってコキ下ろすのは簡単だが、目玉焼きとは、全世界でもっともポピュラーで、しかも老若男女誰にでも作れる料理。一見単純に見えて実はもっとも奥が深い料理でもある。
 これを読んだあなたも、あなただけのイチオシがあるのではないでしょうか。


『国際目玉焼き会議』の概要はこのくらいにして、話は十数年前に遡る。
 当時、私は熱かった。同じく職場の友人も熱かった。今にして思えば青かった時代。なけなしのお金をかき集め、毎日行きつけの居酒屋で、仕事とは、人生とは、または理想の恋愛について語り合ったあの頃。

 当時から「美味しんぼ信者」だった私はこの『国際目玉焼き会議』のことを力説した。この話はウケた。かなりウケた。そう、ウケたが「漫画やろ?そんなもんあるか!」と一笑に付された。悔しかった。信じていただけに・・・。『美味しんぼ』だけは嘘をつかないと・・・。私の青春期のバイブルだったからだ。

 あれから十数年経った今日・・・というか、ついさっきネットで調べてみた。そう、ネットという便利なものを忘れていたのだ。ことの真偽はこれで明らかになる。柄にもなくドキドキした。
 いろんなサーチエンジンで検索した結果・・・。
 どうやら『美味しんぼ』の中だけの話らしいというのが色濃くなってきた。
 それが結果なら甘んじて受け止めよう。ショックだが、事実を受け止めるしか方法はない。私は青春に敗れたのだ。


 あくまで余談だが、検索の結果、日本のどこかで『卵かけご飯シンポジウム』なるものが実際に存在するらしい。う~ん、素敵だ。興味はあるが、それはまたの機会に。話は戻る。


 よく純粋な少年が「UFOは絶対いるんだいっ!」と頑なになるように「国際目玉焼き会議って絶対あるんだいっ!」と思っていた。いや、頑なに信じていた。
「え?いつまで?」
 うん、ついさっきまで。
「年齢は?」
 今年32歳です。何か問題でも?

 何かを、また誰かを心から信じて裏切られることは初めてではない。だからといって悔しくないわけではない。信じて愛する、そして黙って私から去っていく。それは数々のキャバクラ嬢に教えられたことでもある。そのキャリアは他の追随を許すものではない。「懲りない」ってことに関してはね(笑)。
 ビートルズの名曲『イエスタデイ』の中に「愛はゲームのようだった」という歌詞が出てくる(もちろん英語だが)。
 うん、そうか・・・ゲームか・・・うん、ゲームなんだね。
 8月18日。連日の猛暑はいまだ去らないが、暦のうえでは秋である。誰よりも先に秋風が心の中を駆け抜けていった気がする。

 今日、これを書いていて、いろいろな思い出が心を、頭の中をかすめていったが、けして寂しいのではないんです。夏と秋が混じったような夜。そう、不思議な夜なんです。
 こんな馬鹿なことをさも大袈裟に書いている、または、こんな馬鹿なことは私しか書けないということに幸せを感じています。
 
 皆さん、おやすみなさい!