醸楽庵だより

芭蕉の紀行文・俳句、その他文学、社会問題についての評論

醸楽庵だより  755号  「肥前蔵心」を楽しむ  白井一道

2018-06-09 11:59:32 | 日記

 
  
    肥前蔵心を醸す山酒造さんの建屋

  名酒「肥前蔵心」を仲間と楽しむ

侘輔 今日のお酒は九州、佐賀県、矢野酒造さんが醸したお酒なんだ。
呑助 今まで佐賀県のお酒は初めてなんじゃないですかね。
侘助 そうかもしれない。佐賀県というと「窓之梅」という銘柄のお酒をいただいたことがあるかな。
呑助 九州というと焼酎というイメージがありますが、日本酒を醸している酒蔵があるんですね。
侘助 小さな蔵が多いようだ。どこの蔵も細々と経営している蔵が多いのじゃないのかな。
呑助 今日楽しむお酒の銘柄は、何ですか。
侘助 肥前蔵心(ひぜんくらごころ)という銘柄のお酒なんだ。
呑助 造りは
侘助 純米吟醸無濾過生原酒、季節商品のようだ。
呑助 季節商品というと酒販店を限定して販売するお酒だということなんですかね。
侘助 そのようだ。だから現在、この商品の在庫は蔵には一本もないらしい。すべて酒販店に売りつくしているようだ。
呑助 少しづつ首都圏で名が知られ始めてきているお酒なんですか。
侘助 坂長さんも問屋の試飲会で気に入り、仕入れするようになったお酒のようだ。坂長さん自身が「肥前蔵心」を買い求めている料飲店主と供に有明海を臨む佐賀県鹿島市にある矢野酒造さんを訪ね、酒造りを半日ほど手伝い、酒造り現場を体験してきているようだ。
呑助 家族で酒造りをしている蔵なんですね。
侘助 ネットに出ている写真を見ると戦前の日本の風景が偲ばれるような建物だ。県の有形文化財に指定されている蔵のようだよ。古い建物だから維持費が大変だと奥さんは話していた。
呑助 酒蔵はどこでもその地域の名望家ですからね。
侘助 今日楽しむお酒にはどのような酒蔵の心がこもっているんですかと、尋ねたところ、家族、蔵人全員が毎朝松尾大社から頂いたお札が上がった神棚に手を合わせ、酒造りができる幸せを感謝していると話していた。
呑助 酒造りは神様からの贈り物だと言う深い信心があるということなんですか。
侘助 毎年、京都嵐山、渡月橋を渡るとすぐ松尾大社がある。松尾大社は酒造りの神様だからね。酒蔵に行くとどこの酒蔵にも松尾大社を祀る神棚がある。
呑助 江戸時代から続く酒造りの伝統が守られているということなんですか。
侘助 戦前からの酒造りの道具を用い、手作りで酒を醸している。今は長男が跡を継ぎ、伝統を守り続けている。
呑助 手作りの味を賞味してほしいということですね。
侘助 酒造米は有名な山田錦、麹米も掛け米も全量山田錦。精米歩合は五十%。獺祭は精米歩合、五十%で大吟醸を名乗っている。それに比べて精米歩合、五十%で純米吟醸と言っている。良心的だと感じるな。
呑助 山田錦五十%の酒を今日は味わうんですね。
句郎 無濾過の酒だから、酒本来の味だ。生、火入れなしの酒。原酒、水で薄めていない。醸造量アルコールで薄めていない酒本来の味を今日は賞味しよう。県の有形文化財に指定された蔵の手作りの酒をじっくり味わって楽しもう。

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