大阪商業大学高等学校サッカー部

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前橋育英指揮官「サッカー通じ人間作る」

2018年01月09日 16時07分24秒 | 心・技・体
■就任36年 三度目の正直

優勝を告げる笛を聞いた瞬間、前橋育英の山田監督は両肩の力をすっと抜いた。「ほっとした」。就任36年目、3度目の決勝で手にした初めての選手権の戴冠(たいかん)。直後のお立ち台では、安堵(あんど)の末に湧き上がってきた喜びに声を詰まらせた。「選手が一生懸命やってくれた」。感涙にむせんだ。

 指導の根幹を「サッカーを通しての人間形成。いい選手は人間的にも素晴らしい」という。

 県外からの進学者が増えたここ10年は、家族と離れて生徒とともに寮生活し、「怒るのはサッカー以外がほとんど」と、生活の乱れに目を光らせる。

 長崎・島原商で、選手権を6度制した小嶺監督(現長崎総合科学大付監督)の指導を受けた。一人一人の選手と真摯(しんし)に全力で向き合う姿は、師と重なる。今回の優勝で一歩近づいたが、「偉大すぎて背中も見えない」。常におごらない姿勢が、生徒に慕われる一因だ。

 昨年4月から校長に就任。練習に顔を出せる時間が減った一方、「選手が自立してきた」と精神面の成長に目を細めた。過去に50人以上のJリーガーを輩出してきた名将が、初めて宙を舞った。(小川寛太)

「産経新聞 2018年1月9日掲載」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180109-00000059-san-socc

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前橋育英・榎本無心の一撃 私生活見直し涙の恩返し

2018年01月09日 16時06分53秒 | 心・技・体
<全国高校サッカー選手権:前橋育英1-0流通経大柏>◇決勝◇8日◇埼玉

 前橋育英(群馬)の2年生FW榎本樹が、千金弾で悲願の初優勝に貢献した。0-0で突入した後半ロスタイム2分、自身の右側にいたFW飯島陸(3年)のシュートが相手DF三本木達哉(3年)に防がれる。しかし、はね返りが目の前に転がってきた。迷いなくダイレクトで右足を合わせると「よく覚えていないんです」という無心の一撃が突き刺さる。チーム12本目のシュートがようやく結実すると、迷わず応援スタンドへ走った。「ずっと3年生に迷惑をかけてきたので…。喜びを分かち合いたかった。うれし泣きは人生で初めてです」と感謝した。

 「私生活ダメダメで」迷惑をかけてきた。昨夏の全国総体前に寝坊した。「朝7時半集合だったのに目覚めたら8時で…。大会前、メンバー入りギリギリで本当に大事な時に」。寮から練習場まで「普段は自転車で10分のところ、5分で着いた」というほど飛ばしたが、待っていたのは、あきれ顔の山田耕介監督(58)と3年生。「練習に参加させてもらえず、ずっと草むしりしてました」と振り返る。

 雑草を抜きながら自分と向き合った。「同じ時期、ほかにもやらかした生徒がいて」。一緒に、もうグラウンド周りの草がなくなるまで毎日2~3時間。トイレ掃除、部室掃除もした。1週間がたった時、山田監督から呼ばれて復帰を許され、総体メンバーにも滑り込んだ。しかし「外れた先輩からの『何でお前が』」という冷たい視線が突き刺さる。「結果を出して恩返しするしかない」。責任感を胸に迎えた総体で5ゴール。得点王に輝き、認めてもらった。

 元日本代表の山口素弘、松田直樹さん、細貝萌ら72人ものプロ選手を輩出した名門で「偉大な選手は松田さんみたいにメンタルが強いか、規則をしっかり守って生活している」と胸に刻んだ。私生活を見直し「その後は、やらかしてません」と今大会、2年生唯一の先発メンバーとなり、全5試合でスタメンに。準々決勝の米子北(鳥取)戦で1得点し、準決勝の上田西(長野)で3アシストした。

 この日もメンバー外の3年生から「決勝でも決めてこい」と送り出され、優勝弾で期待に応えた。過去4強4回、準優勝2回。昨年度は青森山田に0-5で大敗した。「勝負弱いと言われて見返したかったし、去年の決勝もスタンドから見ていて悔しかった。借りを返すために1年間やってきて、試合に出られなかった3年生と山田監督を日本一にすることができて本当にうれしい」。涙の恩返し弾で、群馬県勢としても初の頂点に導いた。【木下淳】

「日刊スポーツ 2018年1月9日掲載」
https://www.nikkansports.com/m/soccer/news/201801080000598_m.html?mode=all

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