今から六十年以上前のことだった。
夜中何かの気配を感じ目が覚めた。
気配のする天井の方に目をやると
そこに見慣れない顔が映っていた。
母の話だと彼はマア坊という名の
ぼくの生涯の守り神なのだそうだ。
マア坊はなにを語るわけではなく
ただぼくを見下ろしているだけだ。
ぼくから話しかけても反応しない。
困った時にも助けてなどくれない。
励ましたり光を当てたりもしない。
だけどそこにいるから安心できる
そんなものをマア坊は持っていた。
小学校の高学年に上がった頃から
ぼくにはマア坊が見えなくなった。
いやそれ以前からマア坊のことを
気にかけなくなっていたんだった。
あれから何十年経ったんだろうか。
マア坊を忘れていたぼくの記憶が
甦ったのは昨年の12月のことだ。
夜中眠れなかった時に照明の紐が
微かに振れているのに気がついた。
そういえば幼い頃にマア坊という
守り神がいつもぼくを見ていたと
思い出した途端紐が大きく振れた。
「ああ今でもマア坊は天井にいて
ぼくを見守ってくれているんだ」
そう思うと気持が落ち着いてきて
そのうち眠りに就くことができた。
目覚めた時の気持の良かったこと。
今日もマア坊は天井に住んでいて
じっとぼくを見守ってくれている。
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しんた

Unknown
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